メインコンテンツにスキップ

宇宙でひき逃げ事件?現場に残された謎の十字サインと倒れた超大質量ブラックホール

記事の本文にスキップ

9件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

。この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
Advertisement

 地球から8000万光年離れた銀河でひき逃げが発生したようだ。犠牲者はブラックホールである。

 チャンドラX線観測衛星からの”通報”によると、事件現場には倒れた超大質量ブラックホールと謎めいた十字のサインが残されていたという。

 容疑者はまだ特定されていない銀河だと考えられており、米国エイムズ研究センターの天体物理学者たちは犯人の捜索を続けている。

8000万光年先で謎めいた十字サインを発見

 宇宙のひき逃げ事件は、地球からおとめ座の方向に8000万光年離れたレンズ状銀河「NGC 5084」で発生した。

 チャンドラX線観測衛星の通報によると、NGC 5084銀河から十字に放出される謎めいた煙が上がっているという。

 それは銀河の上下と左右に放出されるX線で、これまで天文学者が見たこともないものだった。

 捜査に乗り出した米国エイムズ研究センターの天体物理学者パメラ・マーカム氏は、プレスリリースでこう述べてる。

 「1つの銀河で2組のX線プルームが見つかることは滅多にありません。その異常な十字形と倒れた降着円盤の2つから、この銀河の歴史を垣間見ることができます」

 本来この事件は、誰にも気づかれないまま、闇に消えてくはずだった。それが明るみになったのは、新たに考案された画像解析技術「SAUNAS(Selective Amplification of Ultra Noisy Astronomical Signal)」のおかげだ。

 この技術でチャンドラのデータを調べたところ、そこに低輝度X線放射が捉えらえていることが判明。しかもミステリアスなことに、そのX線は十字を描いていたのである。

 一般に巨大な銀河から放出されるX線は、均等に広がるために高エネルギーの光球のように見える。そして、それが見つかれば、過去に何やらスゴイことが起きただろうことがうかがえる。

 では十字のサインが意味するものは何なのか? それを知るために捜査チームは、2基の強力な望遠鏡に助っ人を依頼することにした。

この画像を大きなサイズで見る
銀河 NGC 5084 の構造を示す画像。チャンドラ X 線観測衛星のデータが銀河の可視光画像に重ねて表示されている。紫色で示されたチャンドラのデータにより、銀河の中心で「ひっくり返った」状態で回転する超大質量ブラックホールから放出される4つの高温ガスの柱が明らかになった。Credits: X-ray: NASA/CXC, A. S. Borlaff, P. Marcum et al.; Optical full image: M. Pugh, B. Diaz; Image Processing: NASA/USRA/L. Proudfit

銀河によるひき逃げか? 犠牲者はブラックホール

 ハッブル宇宙望遠鏡とチリのアルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)の協力の下、データの解析を進めたところ、NGC 5084銀河の中心では、何やらほこりのようなリング状の物質が横向きに回転していることが判明した。

 それはブラックホールである。ただのブラックホールではない。NGC 5084銀河に対して90度に倒れた超大質量ブラックホールだ。

 その後の追跡調査では、NGC 5084銀河と倒れたブラックホールをさまざまな光波長で観測することに成功している。

この画像を大きなサイズで見る
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したNGC 5084銀河の核。中央付近にある暗い垂直の線は、核を周回する円盤状の塵があることを示しており、そこに倒れた超大質量ブラックホールがあることがうかがえる。ブラックホールはひき逃げの犠牲者であるようだ/Image credit: NASA/STScI, M. A. Malkan, B. Boizelle, A.S. Borlaff. HST WFPC2, WFC3/IR/UVIS

 エイムズ研究センターのアレハンドロ・セラーノ・ボルラフ氏によれば、それは「いろいろな種類の光で犯罪現場を見るようなもの」だったという。

すべての画像を組み合わせると、NGC 5084銀河では、そう遠くない過去に大きな変化があっただろうことが明らかになりましたボルラフ氏

 得られた証拠から、捜査チームはそこでひき逃げ事件が起きたのだと考えている。

 最大の容疑者は、かつてNGC 5084銀河と衝突したまた別の銀河だ。その衝撃で、NGC 5084銀河の上下にプラズマの「煙突」が形成され、超大質量ブラックホールは倒れ込んだ。

 こうしたNGC 5084銀河の興味深い形状を作り出した事件の詳細を知るには、さらなる捜査が必要になる。

 だが今回の発見は、30年分のアーカイブデータが今もなお新しい発見をもたらしてくれることを伝えている。

 この研究は『The Astrophysical Journal』(2024年12月18日付)に掲載された。

※追記:(2024/12/26)本文を一部訂正しました。

References: NASA Finds ‘Sideways’ Black Hole Using Legacy Data, New Techniques - NASA

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 9件

コメントを書く

  1. 自分、宇宙パトロールなのでちょっと行ってきます

    • +5
  2. 推理小説の被害者は時に血文字でヒントを残すが、宇宙規模のひき逃げでは被害者の超大質量ブラックホールがX線で手がかりを残すのだな。犯人?もただでは済んで居なさそうだが天文学者は見つけることができるだろうか。

    • +5
  3. つまりブラックホールは縦に回転しているのに、
    周りのブラックホールに吸い込まれているガスや惑星は横回転しているという事か。
    宇宙すごいな…

    • +2
  4. バーロー!ひき逃げ事件と聞いて聞いたら宇宙とは俺でも無理だ

    • 評価
  5. 10年以下の懲役または100万円以下の罰金ですよ。

    • 評価
  6. ブラックホールが倒れるって表現は違うんじゃないかな

    • 評価
  7. ブラックホールって、星雲の回転方向に対して、直角じゃダメなんですか

    • -1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。