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光るキノコの仲間にアカチシオタケが加わった!スイスの森で緑色の発光を確認

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(著) (編集)

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Photo by:iStock
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キノコの世界に新たな光が灯った。すでに様々なキノコが生物発光されているのは知られているが、日本でも見かける「アカチシオタケ」が、スイスの森で緑色に光っているのが確認されたのだ。

 アカチシオタケはこれまで非発光性と考えられていたが、人知れずひっそりと森の中で発光していたようだ。

 キノコの発光現象は長い間維持されているので、何らかの機能があると考えられるが、その詳細はまだ謎につつまれている。

アカチシオタケとは?

 「アカチシオタケ(Mycena crocata)」は、アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカなど世界各地に自生する「ラッシタケ科クヌギタケ属」の仲間だ。もちろん日本でもその存在が確認されている。

 よく見られるのはブナをはじめとする紅葉樹の切り株や落ち葉で、夏から秋にかけて5~15cmの細長いキノコをヒョロリと生やす。カサの直径は2cmほど。

 根本は明るいオレンジ色だが、先へと向かうにつれて淡い黄やクリーム色へと変化する。

 ユニークなところは、傷をつけると濃いオレンジ色の浸出液を出すことだ。この点で、赤黒い浸出液を出すチシオタケとは大きく異なる。

 また、カサの表面に放射状に入った条線がある事も特徴のひとつだ。

 アカチシオタケの液の色は、料理に使われるサフランにも似ており、英名は「サフランドロップ・ボネット」という。漢字で書くと「赤血潮茸」と、ちょっと怖い。

 アカチシオタケは無毒とされているが、全体的に肉がついておらず味も美味しくない為、食用にされる事はないそうだ。

アカチシオタケが緑色に光ることを確認

 ヤコウタケやツキヨタケなど、世界には100種以上の光るキノコが存在するが、アカチシオタケは、これまで生物発光するとは考えられていなかった。

 スイスのアーティスト、ハイディ・バッゲンストス氏とアンドレアス・ルドルフ氏は、夕暮れの中、光るキノコを探すため、チューリッヒの森を散策した。

 そのときのことを両氏はこうニュースリリースで語っている。

わざわざ遠出しなくても、スイスの森にも生物発光するキノコが存在することを証明したいと思っていました

 キノコの生物発光は、肉眼ではわからないほど弱いことがある。そこでバッゲンストス氏らはカメラを覗きながら散策していたところ、そこに緑の光が映し出されたのだ。

 最初、光るキノコは、すでに生物発光することが知られている「チシオタケ(Mycena haematopus)」だと思われていた。ところがきちんと調べてみると、別種のアカチシオタケであることがわかった。

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培養したアカチシオタケが放つ蛍光色の光/Heidy Baggenstos/AndreasRudolf

 その後、Swiss Federal Institute for Forest, Snow and Landscape Researchの研究者、レナーテ・ハインツェルマン博士と共同で、アカチシオタケの生物発光を詳細に調査した。

 デジタル画像撮影や光電子倍増管を用いて、キノコの発光特性を調査し、そのゲノムに発光関連遺伝子を確認した。

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ハインツェルマン博士らは、 アカチシオタケにおける生物発光の証拠を報告した。ゲノムには真菌の生物発光に関連する遺伝子が完全に備わっていることを示している。 image credit:Heinzelmann、doi: 10.47371/mycosci.2024.03.001。

キノコが光るメカニズム

 菌類が生物発光できるのは、「ルシフェラーゼ」という酵素のおかげだ。この酵素が「ルシフェリン」という発光化合物を酸化させる過程で、エネルギーが光として放たれる。これが怪しい緑色の光だ。

 今回の研究では、アカチシオタケのキノコは、根元以外ほとんど光らないことが明らかになっている。

 光るのは、地下に植物の根のように張り巡らされている菌糸の部分だ。だからアカチシオタケがとりついた朽ち木が、裂けると緑色に輝くことがある。

 この輝きは、木が乾燥するまで最大4時間続き、実験室で最適な条件を整えてやれば164日間光り続けるという。

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光っているのはキノコの根元の部分。主に光るのは地下に張り巡らされた菌糸なので、地上からは見えない/CREDIT: Baggenstos/Rudolf

キノコが光る理由は依然として不明

 だが、そもそもキノコがなぜ光るのかよくわかっていない。キノコが生物発光する理由は、昆虫を引き寄せ、胞子を広げてもらう可能性が推測されている。

 ところが、クヌギタケの仲間の胞子は風に乗って飛ぶ。またアカチシオタケは地下の菌糸しか光らない。そのため、この仮説はうまく当てはまらないのだ。

 とは言え、生物発光の機能が今も失われずにあることから、まだ知られていない何らかの役割があるだろうと考えられている。

2023年の研究によると、紫外線下で体が光る哺乳類は想像以上に多かったことが確認されている。だがこちらもなぜ光るのか?その理由は完全に解明されていない。

 なお今回の研究では、クヌギタケ属のキノコに共通する生物発光遺伝子が確認されている。このことから、この系統の生物発光能力はこれまで見過ごされてきた可能性が高いという。

 研究チームによれば、こうした光るキノコは今後もっと発見されるだろうとのこと。キノコの生物発光に関する研究は不足しており、探せば探すほど新発見があると期待できるそうだ。

 何ならほとんどの生物が生物発光してたりする可能性なんかもあるかもしれないな。人間も、一部の限られた人に限りその能力が備わっていたりして。

 この研究は『Mycoscience』(2024年5月21日付)に掲載された。

References: Glowing mushrooms: an intrigue for artists and scientists alike

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この記事へのコメント 5件

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  1. ルシフェラーゼ…MGS3の無線でパラメディックが解説してくれて覚えたな
    光るキノコを食べたらバッテリーも回復するってネタとともにw

    • +3
  2. ♬赤い血潮はその色の真っ赤な夕陽 背に受けて みるみる変わる姿こそ…
    夜になるとその真紅の体が緑に変わるのか

    月夜茸の話
    山で見たことあるけど、たいがい2m以上の高さのところ、木の幹に生てる、肉厚で美味そうな毒茸だ
    椎茸に似てるけど必ず半円(木肌につくから)、軸も無いし密集して生えているから間違えそうになかった、
    調理過程で切れば必ず根元のしみに気づくしね(割ってみた)
    ただ、まだ生え始めの幼菌は、その形の椎茸もあるから、丸ごと調理すればわからないかも
    続く

    • +4
  3. 続き

    ここで昔の話
    祖父は木こりの棟梁だったが、山小屋に仲間で泊まった時の話
    月夜茸を食べた奴がいて(周りは止めたが酔いもあって言うことを聞かず、まあ死ぬことはないだろうと放置)
    案の定、具合が悪くなり、水を飲ませて吐かせて快方したという
    吐かせたそれはぼんやりと光っていたとか(襞の部分が光るからその名がついた)
    翌日、彼は仕事にもならず、辞めてもらったそうだ
    幼い母に話したという(くわしく書こうと思ったけどやめておく)

    なお、山で見つけた月夜茸には手を触れず
    うちは飲食店なので月夜茸とか大笑茸とかは持ち帰ることはしなかった
    多くの人が調理にかかわるし欠片でも混ざると大変なので

    • +7
    1. 続き 2
      読んでいて誤解を招く書き方に気づいた
      「手を触れず」「割ってみた」だがホント
      太短い枝を投げて落として、触るのは怖いから足で割って見たんだよ
      (で余計なことするな、あそぶなはぐれるぞ、と怒られた)
      以上

      • +4
  4. 「ルシフェリン」と「ルシフェラーゼ」発光するものと発光させる酵素って意味しかないんでそろそろもっと良い説明を考えて欲しい

    • 評価

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