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翼の折れたインジェニュイティの新たな使命!火星気象観測者として再挑戦

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(著) (編集)

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NASA/JPL-Caltech
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 翼が折れ、一度は火星の大地に沈み一度は任務を終了した「インジェニュイティ」だが、まだ諦めてはいなかった。

 インジェニュイティは、人間ではない。NASAの火星ロボットヘリコプターだ。3年にわたり火星の空を飛び続けたが、2024年1月18日の72回目の飛行中に墜落し、引退を余儀なくなされた。

 だがNASAジェット推進研究所の研究チームがその体をチェックしたところ、翼は折れても、まだまだ闘志が消えていないことが明らかになった。

 センサー類はしっかりと生きており、今後20年間、火星の気象観測ステーションとして再び活躍する日が来るかもしれない。

墜落しローターが破損、翼の折れたインジェニュイティ

 インジェニュイティは、NASAの「マーズ2020ミッション」の一環として運用された小型のロボットヘリだ。

 2021年4月に火星でのフライトに成功し、地球以外の惑星ではじめて飛行することに成功した記念すべき航空機となった。

 以来、3年にわたり火星の空を飛び回ってきたが、2024年1月18日に行われた72回目のフライトで墜落。その衝撃でローターが破損して、二度と飛べない体になってしまった。

 NASAジェット推進研究所の担当チームは、インジェニュイティが墜落した原因を究明するべく、数か月にわたる調査を行った。

 そして判明したのは、墜落には火星の地表のあまりの単調さが関係しているということだ。

 そのせいでインジェニュイティのナビゲシステムは十分な情報を得られず、それが墜落のきっかけの1つになってしまったようだ。

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右端の白っぽいのがインジェニュイティの機体、左端の粒のように見えるのが折れた翼 NASA/JPL-Caltech/LANL/CNES/CNRS

飛ぶことはできなくても他は十分に機能することが判明

 一方、この調査では、嬉しい事実も判明している。

 確かにインジェニュイティは空には戻れない体なってしまったが、それ以外の部分は健康そのものだったのだ。

 センサーやバッテリーはしっかり生きており、飛ぶ以外のことなら十分に行うことができる。

 これについてインジェニュイティのプロジェクトマネージャー、テディ・ツァネトス氏は、「インジェニュイティのヘルスシステムに問い合わせれば、絶好調だと答えるでしょう」と、述べている。

 しかもインジェニュイティの内蔵ストレージは、まだ20年間分のデータを記録できるだけの余裕がある。

 こうしたことを踏まえれば、飛べない体になったインジェニュイティは今後、地上から火星の様子を日々計測するという第二の使命に挑むことが可能なのだ。

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インジェニュイティの影に注目すると、ローターが破損していことがわかる/Image credit: NASA/JPL-Caltech

集めたデータを伝えることができない孤独な戦い

 ただし、その挑戦はこれまで以上に孤独なものになるだろう。と言うのも、せっかく集めた火星のデータをすぐさま地球に伝える方法がないからだ。

 現在、インジェニュイティのデータは、そこから3km離れた地上探査機パーセバランスが中継して、地球に送られている。だが、この手段は1月もすれば使えなくなると予測されている。

 となると、せっかくの火星のデータはどうなるのか?

  ツァネトス氏によるなら、20年後に宇宙飛行士が直接取りにいくか、サンプルリターン計画で回収しない限り、永遠にそのままになる可能性があるという。

 念のために言っておくと、インジェニュイティは非常に優れた成果を残している。

 元々の目的は火星でたった5回だけ実際に飛行できることを実証することだった。それなのにその後72回もフライトを繰り返したのだから、花丸をつけてあげたいくらいの大成功を収めているのだ。

 だから仮にこれがインジェニュイティとの永遠の別れになったとしても、その優れた設計DNAは、次世代のロボットヘリに受け継がれていくことだろう。

 ジェット推進研究所では、インジェニュイティの20倍重く、数kgの科学装置を搭載できるきる6ローター機の構想を練っているそうだ。

完成すれば、1日に3km移動し、火星の遠い地まで単独で探索するようになるという。

 今回の調査は、2024年12月11日(水)に開催されたアメリカ地球物理学連合の年次総会で発表された。

References: After accident crash on Mars, NASA's Ingenuity helicopter could live on as a weather station for 20 years | Live Science

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この記事へのコメント 8件

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  1. プロペラで揚力を得て飛ぶことができるだけの大気があることは知られていたけど本当に飛べるかはやってみないとねということで大成功でしょう。  6 ローターなら場所にもよるけど 2 個までは故障しても飛べる可能性があるかな。 こういう発展の話を読むのは大好きですわ

    • +11
  2. 使えるものは何でも使うという姿勢は大事よね。
    いつの日かデータを回収できると良いな。

    • +11
  3. なんと言う孤独。
    機械なのに感情移入してしまうわ。
    火星との間に中継機いっぱい置いて繋いでやってくれよ。

    • +1
    1. それが理想だけどそれができる程度に火星探査が身近になったら、やっぱり引退なんですわw

      • +2
  4. とは言う物の、過去の”気象観測ステーション”になった火星探査機って、その後は
    比較的短期間で運用停止になってる問題。

    • -1
  5. もし 俺がヒーローだったら
    悲しみを近づけやしないのに

    みんな飛べないインジェニュイティ

    • +2
  6. はやぶさ「おまえならできるよ! あつくなれよ! じぶんをしんじろよ!(修造感」

    • +4
  7. 火星って暴風がすごいとか聞いたことあるけどヘリ飛ばせるんだな。

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