この画像を大きなサイズで見る地球が最終氷期の渦中にあった時代、ロシアのシベリアとアメリカのアラスカはベーリング陸橋によってつながっており、動物たちの移動ルートとして重要な役割を果たしたとされている。
ただその当時の環境は、これまで考えてられていた乾燥した草原地帯などではなく、かなり渡りにくいものだったそうだ。最新の研究で、水浸しの湿地帯が広がる複雑な地形であったことが明らかになった。
全ての動物がこの沼地を渡ることができたわけではなかったのだ。
現在は水中に沈むベーリング陸橋を初調査
現在はアラスカとベーリング海峡の間の海中に沈んでいるベーリング陸橋(ベーリング地峡とも呼ばれる)は、およそ3万6000年前から1万1000年前の最終氷期には海上に露出していた。
当時ここは草原に覆われた乾燥ステップ地帯だったのではないかとこれまで考えられていた。だが、「陸橋」が沈んでいる海底を調査した者は今まで誰もいなかった。
2023年、アラスカ大学フェアバンクス校の地質学者サラ・フォーウェル氏ら研究チームは、ベーリング海の海底から堆積物のコアを採取した。これはベーリング陸橋の古代の景観と気候を再現する初の試みだった。
この画像を大きなサイズで見るベーリング陸橋は草原ではなく湿地帯だった
その結果、かつての陸橋は草原ではなく、川が縦横に走り、湖が点在する湿地帯だったことがわかった。
採取した海底コアには、湖の堆積物、花粉、小さな化石、古代の有機物のDNAなどがはっきりと見られた。
花粉や化石の存在からこの地に木や苔が生えていたことが明らかになり、淡水甲殻類のミジンコの卵嚢も発見された。
この画像を大きなサイズで見る湿地帯を渡れた動物と渡れなかった動物
採取したサンプルから、大型哺乳類が移動した痕跡や、マンモスのDNAが見つかった。
陸橋が存在していた時代、バイソンがユーラシアから北米大陸に渡ったことは知られていて、逆に北米からは馬がユーラシアへと渡った。
ほとんどが水浸しの湿地帯だったとしても、草食動物がここに存在したのは確かだったのだ。
しかし、ユーラシア原産のケナガサイや北米産のラクダやアルクトドゥスというクマは、水気の多いこの陸橋の環境が適していなかったのか、大陸間を移動しなかったようだ。
この画像を大きなサイズで見る水が多く湿った地形は、そうした環境が苦手な動物の移動を妨げ、足止めした可能性があるが、水を得意とする生き物にとってはいい移動手段になったかもしれない、と米国地質調査所の地質学者のジョナ・ヒル氏は言う。
環境が渡りに及ぼす影響を理解するには、さらに研究が必要になってくる。
ベーリング陸橋が存在した当時、とくに北米の北部は氷に覆われていて食べ物がなかったと考えられている。
最初にこの橋を渡った人類はそのまま南下したとされていたが、陸橋が存在したずっと以前から、北米に人が存在していたという証拠も出ている。
最初の人類がどのように北米大陸に到達したかについては熱心な議論が続いている。
この研究成果は米国地球物理学連合(AGU)年次総会(2024年12月9日~13日)で発表された。
References: Bering Bog Bridge? New research rewrites key crossing’s landscape - AGU Newsroom / Ancient 'land bridge' that connected Siberia to US wasn't what it seems, scientists find | Live Science














場所が場所だけに、おいそれと調査できないんだろうね。
すごい研究だと感心しました。 今でもベーリング海峡って水深は 50m くらいと水位がちょっと下がると陸地になりそうなのですね。 ヒト種の移動は陸橋になる前に船で渡って、あるいは泳いで渡ったのかもなどと思ったり。
湿地帯が凍りつく冬なら自由に往来できるので渡れるか渡れないかを分けたのは水辺での適応性の他に冬季の活動性の差もあったんだろう
全部がずっと湿地帯だったのだろうか。1万年も陸地でピーク時は南北1600キロも゙あったと聞く。時期や場所によっては乾燥しているところも゙あったのでは、と想像しました。