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ヤギだってつらかろう…中世ヨーロッパで行われていたヤギに足の裏を舐めさせるという刑罰

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(著) (編集)

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 現代でもシンガポールではむち打ち刑なるものが存在するが、人類の刑罰の歴史において、罪人に「苦痛を与える」ことを目的としたものは古くからあった。

 反省を促すため、命を奪うことなく苦痛を与えるこれらの処刑は拷問とも呼ばれているが、中世のヨーロッパでは、人の手を汚さず、技巧を凝らす必要もなく、ただ罪人を放置しておけば悶絶するほどの苦痛を与える処罰法が存在したという。

 拷問官を負担とストレスから開放してくれる役割を担ったのはヤギである。処罰人の足の裏に塩を塗り、ヤギに延々と舐めさせたのだという。

中世ヨーロッパの刑罰

 ドイツのバイエルン州、ロマンチック街道沿いに、ローテンブルク・オプ・デア・タウバー(通称「ローテンブルク」)という街がある。

 かつては要塞都市として栄え、宗教改革の際にはカトリックとプロテスタントのせめぎあいの舞台ともなった場所でもあり、現在は中世の面影を残す城壁に囲まれた観光名所として人気である。

 この街には「中世犯罪博物館」というちょっとニッチな博物館があり、ドイツやヨーロッパの法律の歴史、とりわけ刑罰の部分にスポットを当てた展示が行われており、その所蔵品はおよそ5万点。、おそらくヨーロッパ随一なのではないだろうか。

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中世犯罪博物館 image credit:photoAC

ヤギに足の裏を舐めさせる処罰を描いた絵

 さて、この博物館に、一枚の絵が収蔵されている。犯罪博物館所蔵の絵なので、当然ながらこれも刑罰の様子を表したものである。

 右側に座っている男性が処罰を受けているのだが、足が木の箱のようなもので固定されていて、素足の足首から先が突き出ている。

 その足の裏を舐めているのはヤギだ。後ろからは子供が、草か何かで彼の顔をつついているようだ。

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Nan Palmero from San Antonio, TX, USA, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

紙やすりのようなヤギの舌で舐め続けられる苦痛

 実はこれ、「山羊の舌」という刑罰で、足の裏をひたすら山羊に舐め続けられる、というもの。なんじゃそりゃ?と思うよね。しかしこの刑罰は、世にも恐ろしい苦痛を伴うのだ。

 まず罪人の足を木箱で固定して足の裏を露出させ、塩水を塗って山羊に舐めさせる。山羊は慢性的に塩分不足な生き物なので、塩味がすれば延々と舐め続ける習性がある。

 切り刻むわけでも肉を削ぐわけでもなく、ただひたすら足の裏を舐められるだけ。もしかしてくすぐったい刑か?と思った人、いや、違うのだ。甘いのだ。

 紙やすりのようにざらざらした山羊の舌は、やがて皮膚を裂き始め、その下の敏感な組織を露出させていく。

 当然、出血が始まるわけだが、ご存じの通り血液には塩分が含まれている。山羊は喜んで血を舐め、さらにその舌で容赦なく肉を削っていく。

 おわかりいただけただろうか。肉が削げ、やがては骨が露出して、想像を絶する痛みに襲われても、山羊は舐めることを止めてはくれないのだ。

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image credit:Pixabay

ただし本当にこの処罰が存在したかどうかは不明

 このように身の毛がよだつほど恐ろしい刑罰なのだが、実はこの「山羊の舌」の刑が実際に行われていたかどうかははっきりしないという。

 歴史的な文献はほとんどなく、1502年にイタリアの修道士で法律家のフランチェスコ・ブルーニ・デ・サン・セヴェリーノが書いた、「証拠と拷問に関する論考」という文書で言及されているのがほぼ唯一といっていいだろう。

 そこでは「中世ヨーロッパ各地や中東の一部で行われていた可能性がある」と記述されているのみで、どれも伝聞の域を出ないのだそうだ。

 この拷問が実際に行われたとしても、命まで落とすことはほとんどなく、軽微な犯罪に対する刑罰だったと考えられている。

 無害そうな山羊に足の裏を舐められることが、むごたらしい拷問になるというのは想定外だが、本当に山羊の舌ってそんなにザラザラしているのかな?

 一応山羊を飼っている人に聞いてみたら、事実かなりヤスリっぽい舌をしているとのこと。

 ちなみにこのヤギの舌を使った処罰については、菅田将暉主演のTVドラマ「ミステリと言う勿れ」の中で、ネタ話として登場していた。

 当時この話を聞いて、「トラウマになりそう……」とゾワゾワした人も多かったようなので、覚えている人もいるかもしれないね。

見せしめのために恥の仮面をかぶる刑罰も

 ちなみにちなみに、上の絵の左側にいる女性たちは、長い耳と突き出た舌が特徴的なマスク、通称「恥の仮面」を被せられているのだが、いったいどんな罪を犯したんだと思う?

Shame Mask
image credit:flickr @Mike Anderson

 首から下げている札には「Der Hausdrache」、直訳すると「家の竜」と書かれている。この意味するところは、「噂好きで嘘つきで、盗み聞きを好む」罪を犯した人物、特に女性をいうのだとか。

 この仮面の造形は、「この舌と耳が悪いのだ!」と言いたいのかもしれないな。 

追記:(2025/01/23)本文を一部訂正しました。

References: The Gruesome Goat’s Tongue: Greatest Torture of All Time?

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. サムネは「三びきのやぎのがらがらどん」かな?

    • +2
    1. サムネ画像のヤギ人間怖すぎって思っていたけどそれ聞いて安心した

      • +3
  2. ヤギだって馬鹿じゃないんだから、自分に必要な分以上の塩分は摂取しないはずで、延々と舐め続けるっていうのはなんか眉唾な気がする

    • +8
    1. 腹一杯になるほどの塩はそりゃ舐めないだろうが、じわじわ染み出してくる血の塩分なんて微々たるものだから全然「必要以上」ではないと思う

      それより草食のヤギにとって舐め続けるほど血がおいしいのかどうかのほうが眉唾って感じ

      • +10
    2. 村中のヤギか次々と舐めに来たら大変かも
      でもすぐに味がしなくなって塩分追加係が持つバケツに群がると思う

      • +1
  3. むかーし「シティーハンター」で
    ニワトリに全身つつかせる拷問やってたのを思い出した

    • +5
  4. 「ミステリと言う勿れ」の方は知らないが、もっと前にラノベ「狼と香辛料」で主人公ロレンスが語っていたのは覚えている
    最近放送してたアニメの中では、その話が何故かぼかされて表現されてたが…

    • +3
  5. ヤギだって塩分だけ必要ってことはなく草を食べるだろうからずっと舐め続けるとは思えないな。
    ファンタジー拷問な気がする。ヤギが群れだったらあり得るかもしれんけど。

    • +1
  6. こういう実際にあったのかよくわからない拷問で日本で有名なのは、
    「ハリガネムシを爪の隙間に差し入れる」というもの。
    現代ではハリガネムシはカマキリの寄生虫として知られていて、姿はちょっと気味悪いけど爪の隙間に入り込むような構造も力も持っていないのでガセネタ扱いされている。
    しかし実は江戸時代にハリガネムシとはコメツキムシの幼虫のことを意味していて、
    こちらには肉食性の強いものが多く、鋭い顎で倒木を掘り進みそこに潜む虫の体表に食らいつき体液を吸いながら捕食する。
    もしかしたら、こっちは拷問に使われたかもしれない。

    • +6
  7. > 塩味がすれば延々と舐め続ける習性がある。
    > もしかしてくすぐったい刑か?と思った人、いや、違うのだ。甘いのだ

    塩なのに甘い?って一瞬思っちゃった…

    • +1
  8. まあ普通に考えたらヤギびっくりしちゃうよね
    怖がるか警戒するか

    • +1
  9. 本当に血が出るまで舐めるのかな?そこまで強い力なのか

    • 評価
  10. 日本でもそうだけど、あちらではとんがり帽子とか変なマスクとかつけさせて市中を引き回す羞恥心への刑罰があったらしいから、羊の刑もその意味のほうが強いんではないだろうか。

    • +4
  11. あんまりイヤすぎて
    四角い瞳になったそうだ。

    • -4
  12. うちのネコもよく舐めてくれるけど、長く続けられるとちょっと痛いよね。ネコは肉食なので獲物の肉をこそぎ落とせるように舌がザラザラしてるらしい。ヤギは草食なのになんでだろ

    • +1
    1. 眼の下とかやられると、ヒリヒリするよ
      愛情表現だけに断りづらい(最後は断るけど)

      • +1
  13. ネコさんに舐められた人は大勢いるけど
    ヤギさんに舐められた経験のある人がほとんどいないことに気づいたのだった

    • 評価

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