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大西洋の海底に隠された古代の小惑星衝突のクレーターの詳細が地震データで明らかに

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(著) (編集)

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地震データを用いて明らかになった大西洋に眠るクレーターをイメージした画像
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 地震学者によって、ギニア西沖の大西洋の海底に隠されていたクレーターのこれまででもっとも鮮明な3D画像が公開された。

 「ナディア・クレーター(Nadir Crater)」と名付けられた海底クレーターは、水深300mの海底に残された直径9kmのお椀のような形状をしていた。

 これは恐竜を絶滅させた隕石の衝突とほぼ同時期となる6600万年前、直径450~500mの小惑星の衝突により作られたと推測されている。

 3D画像の解析から明らかになったことは、凄まじい衝突の様子だ。その瞬間、周囲にあった岩石は液状化し、800mを超える津波が大西洋全域を横断したという。

地震波のデータから詳細が明らかとなった海底クレーター

 ナディア・クレーターは、2022年にその存在が明らかになった。

 英国ヘリオット・ワット大学のウイスディーン・ニコルソン博士がギニア海岸沖の地震反射データを調べている際、そこに何やら窪地のようなものを見つけたのだ。

 窪地の直径は8.5kmで、小惑星の衝突によるクレーターに思われた。

 実際その後の調査でも、おそらく6600万年前の白亜紀末に地球に衝突した小惑星のものだろうことが示唆されていた。

 その時点で、小惑星の衝突クレーターであるとまでは断言できなかったのだが、今回の3D画像は、当初の推測が正しかったことを裏付けている。

 画像は、地質学データや関連サービスを提供する多国籍企業「TGS」の協力のもと、高解像度の3D地震データをもとに作成されたものだ。

 ニコルソン博士によれば、世界には確認ずみの海洋クレーターが20個ほどあるが、これほど詳細に描き出されたものはほかにないという。

 その技術は、エコーで妊婦のお腹の中にいる赤ちゃんの様子を確認するようなものだ。

 しかも少し前のぼやけた画像ではなく、最新のエコーのはっきりと鮮明な画像だ。おかげでナディア・クレーターをあらゆるレベルから観察できるようになった。

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ナディア・クレーターの位置と地震・掘削孔データ / Credit: Communications Earth & Environment (2024). DOI: 10.1038/s43247-024-01700-4

衝突後の凄まじい衝撃、岩石が液状化し、800mの津波が発生

 ナディア・クレーターの3D画像の分析からは、小惑星が衝突したときの壊滅的な出来事が描き出されている。

 まず小惑星の大きさだが、当初直径400mと推定されてきたそれは、さらに大きく450~500mだったろうことが明らかになった。

 それは北東から飛来し、20~40度の浅い角度で衝突した。その時のスピードは、秒速20km(時速7万2000km)というとんでもないものである可能性が高いとのこと。

 その衝突の瞬間、中央に隆起が形成。さらに土が排出されてできた空洞へ向かって、周囲にあった柔らかい堆積物が流れ込み、目にみえる”ふち”が形成された。

 衝撃による地震も凄まじく、台地全体の堆積物を液状化させ、海底に断層が形成。大規模な地滑りも起きている。

 また800mもの津波が発生し、大西洋を横断した。しかもクレーター周囲に逆流の痕跡があることから、一度は遠ざかった津波が再び戻ってきただろうと考えられている。

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恐竜が絶滅したのとほぼ同時期に小惑星によって形成された、大西洋の下にある直径約9kmのナディア・クレーター。詳細な3D画像により、クレーターの形成と、大規模な津波を含む広範囲にわたる地質学的影響について、これまでにない洞察が得られた。 image credit: Communications Earth & Environment (2024) DOI: 10.1038/s43247-024-01700-4

小惑星の衝突を知る貴重な資料に

 ニコルソン博士によると、人類はこれまでこのレベルの小惑星の衝突を直接目撃したことがない。だから今回の3D画像は、小惑星の衝突によって起こる現象やその影響を検証する貴重なサンプルになるという。

 人類がこのクラスの衝突をもっとも肌身に感じたのは、1908年の「ツングースカ大爆発」だ。

 これは直径50mの小惑星がシベリア上空で爆発し、東京都とほぼ同じ面積の森林がすべて薙ぎ倒されたと言われている。

 気になるのは、近い将来、これに匹敵する小惑星が地球に衝突したりはしないのかということだ。

 今、地球のそばにあって一番危険な天体の1つとされているのが、直径約400mのベンヌ小惑星だ。

 NASAによれば、それが2300年までに地球に衝突する確率は1750分の1(0.057%)であるそうだ。

 またもっとも危険な日は2182年9月24日で、この日の衝突確率は2700分の1(0.037%)と推定されている。

 この研究は『Communications Earth & Environment』(2024年10月3日付)に掲載された。

References: Five-mile asteroid impact crater below Atlantic captured in 'exquisite' detail by seismic data / Astounding New 3D Images Reveal Ancient Asteroid Crater Hidden Beneath Atlantic Ocean

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この記事へのコメント 13件

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  1. 太陽の伴星ネメシスがオールトの雲に襲来して
    小惑星を内惑星系に放り込むことで絨毯爆撃の小惑星衝突が起こったそうな

    • -5
    1. 昭和オカルト話って現代でも十分通用するよね

      • +3
  2. 6600万年って、1万年を6600回繰り返すんですよ。

    • +7
  3. 白亜紀の大量絶滅は隕石によるものって知識はあっても具体的にイメージわかなかったけど
    津波800mって数字を見たら「そら絶滅するわ」って納得した
    これ自分みたいな知識が浅い人間にはすごいデータだと思う

    • +11
  4. ツングースカの時も思ったけど 明日にでも隕石によって都市が壊滅してもおかしくないんだなって ミサイルとかで撃ち落とすの物理的に無理らしいやん?

    • +3
    1. 落下時間や位置がわかれば、サイズによってはミサイルで隕石を分裂させる可能性もあるだろうけど
      それ以前の問題として隕石が、どこに、何時落下してくるかが現在の技術では全く把握できない

      • +2
    2. 数百mクラスの隕石にミサイルなんて命中させたところでどうにかなるもんじゃない
      むしろ破片が散弾みたいに広範囲に降り注いで被害が拡大するまである

      • 評価
      1. ミサイルなんぞ撃ち込む必要は無いんよ。
        質量のある物体をぶつけて軌道を逸らすだけでいい。
        実際そういう実験を行って、既に成功している。

        • +4
    3. そう言う隕石対策の研究で、十分な距離があれば1メガトンの核弾頭で直径4㎞までの隕石なら軌道変更させてそらせることが出来るという研究結果が出てるそうな。
      この場合核爆発によって生まれる強力なX線などの放射線で隕石の表面を加熱しガス化させ、それによって生まれる隕石表面の膨張圧を推力に隕石の軌道を変える訳で、ミサイルで粉々に破壊するとか爆発の衝撃を使うとかではないらしい。
      問題は軌道修正して回避に間に合う距離で危険な隕石を発見する事と、1メガトンの核弾頭をそこまで運び確実に起爆させることだそうだ。

      • 評価
  5. 何もかもが途方もなさ過ぎて宇宙ヤベーなって思ったズラ
    大質量の物体が桁違いの速度で衝突とか

    • +5
  6. 同年代だと、チクシュルーブ・クレーターを造った天体が大気圏で分裂した可能性もあるな

    • +2
  7. 直径500mの隕石で起きる津波が800mの高さだとすると、直径10km以上とされるチクシュルーブ・クレーターの隕石の破壊力は想像もできないな

    • 評価

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