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宇宙の死角をAIが暴く。紫外線を用いた初の全天マップが完成

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(著)

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Image credit:Anthropic
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 宇宙の星や銀河を、地球から見上げた空全体で1枚に描いた「全天マップ」は、電波や赤外線、目に見える光など、さまざまな種類の光で作られてきた。

 だが、紫外線を用いた全天マップだけは、観測されていない空白が多く、穴だらけのままだった。

 2026年、AnthropicのAI「Claude」は、アメリカの天体物理学者の指示のもとで、過去の衛星の観測データを1枚につなぎ合わせた。

 さらにClaudeは、紫外線で一度も観測されていない空を、ほかの光のデータから予測して埋め、紫外線で見た史上初の全天マップを完成させた。

参考文献:

紫外線の全天マップだけが穴だらけだった理由

 天文学者たちはこれまで、電波、赤外線、可視光(目に見える光)、X線など、さまざまな波長の光を用いて全天マップを作ってきた。

 だが、紫外線の全天マップだけは観測できていない空白が多く、宇宙を観測するうえでの死角になっていた。

 地球のオゾン層は、宇宙から届く紫外線の大部分を、地上に届く前に吸収してしまう。

 紫外線で宇宙を観測するには、宇宙空間に望遠鏡を打ち上げるしかない。

 NASAの紫外線天文衛星GALEX(ギャレックス)は、2003年から2013年まで稼働し、約3万8000回の観測で全天の約3分の2を撮影した。

 ただしGALEXは、強い光で検出器が壊れるのを防ぐため、星が密集する天の川の帯など、特に明るい領域をあえて避けて観測していた。

 NASAの別の観測衛星や、ヨーロッパや韓国の観測データが空白の一部を埋めたものの、紫外線の全天マップはつぎはぎのままだった。

 空の約3分の1は、一度も紫外線で観測されていなかったのだ。

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空白を埋める前の、GALEXの観測データ。黒い部分は紫外線で一度も観測されていない領域で、天の川の帯や明るい星の周りにあたる。金色は、波長の長い紫外線が強く写っている部分。Credit: NASA GALEX GR6/7 (MAST/STScl) – UV-BKGD (Murthy 2014) • Swift-UVOT (NASA HEASARC) • FIMS/SPEAR (KASI/MAST) • TD-1 • ESA Gaia DR3 (DPAC) • Planck & Ha templates for gap-filling.

ばらばらの観測データをAIが1枚につなぎ合わせる

 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で天体物理学を教えるブリス・メナール氏は、授業で学生に紫外線で見た宇宙を見せるたびに、穴だらけの全天マップしかないことを謝らなければならなかった。

 メナール氏はAnthropicの研究者でもあり、2026年の夏、Claudeを研究に使えるツール「Claude Science(クロード・サイエンス)」で、紫外線の全天マップを完成させることにした。

 Claudeは作業を複数のAIに分担させ、インターネット上で公開されている紫外線の観測データを探して集めた。

 集めたデータは、衛星や観測時期ごとに明るさの基準がばらばらだったが、Claudeは基準をそろえ、明るい星のまぶしさや背景のムラを取り除き、すべてのデータを1枚の全天マップの上に並べ直した。

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紫外線の全天マップが完成するまでの流れ。実際に観測したデータはそのまま残し、黒い空白だけを順番に埋めていった。1:GALEXの観測データ(2003〜2013年)、2:データを整え、空白の一部を補ったもの、3:天の川の帯に、粗い紫外線データを追加、4:完成したマップ Credit: data from GALEX and Swift-UVOT (NASA), FIMS/SPEAR (KASI), TD-1 (ESRO), Planck and Gaia (ESA) / Anthropic

紫外線で観測されたことのない空をAIが予測で埋める

 空の約3分の1は、可視光や赤外線、電波ではすでに観測されていたが、どの紫外線望遠鏡も観測したことのない領域だった。

 Claudeは、紫外線で観測済みの空の約3分の2を使って、紫外線の明るさと、可視光、赤外線、電波での明るさとの関係を学び、空白の領域に当てはめ、それぞれの場所が紫外線でどう見えるかを予測した。

 メナール氏は、予測の正確さを確かめるため、紫外線の本当の測定値がわかっている領域のデータをわざとClaudeから隠し、隠した部分を予測させるテストを行った。

 改良を重ねた結果、Claudeの予測と本当の測定値との差は約10%以内に収まった。メナール氏によると、人の目ではほとんど見分けがつかない差だという。

 さらにClaudeは、欧州宇宙機関(ESA)の観測衛星Gaia(ガイア)が可視光で測定した1億個以上の星のデータから、それぞれの星が紫外線でどのくらい明るく見えるかを予測し、全天マップに書き加えた。

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明るい星の周りの観測データを補正し、空白を埋めるまでの流れ。左は観測1回ごとの範囲がうっすらとした円として見え、中は補正後も円が一部残っている。右はClaudeが追加の補正を行い、空白を予測とGaiaの星のデータで埋めた完成版。Credit: NASA GALEX GR6/7 (MAST/STScl) – UV-BKGD (Murthy 2014) • Swift-UVOT (NASA HEASARC) • FIMS/SPEAR (KASI/MAST) • TD-1 • ESA Gaia DR3 (DPAC) • Planck & Ha templates for gap-filling.

AIの見落としを人間が見抜き、史上初の全天マップが完成

 ある晩、メナール氏は、全天マップのいちばん暗い領域に、周りより少しだけ明るい円や暗い円が並んでいることに気づいた。

 円の模様は、AIによる2回のチェックをすり抜けていた。

 メナール氏が修正を頼むと、Claudeは、GALEXの1回ごとの観測データに地球の大気のかすかな光が残っていたことを原因として特定した。

 Claudeは3万8000回分の観測データすべてを補正し直し、数時間後には円の模様が消えた。

 メナール氏とClaudeは、全天マップを10回以上作り直して最終版を完成させた。

 人の手なら何週間もかかる作業は、数日で終わった。

 メナール氏が次の作業の計画を立てると、Claudeが何時間も計算を続け、メナール氏はClaudeの計算中にほかの研究に取り組んでいたという。

紫外線でみた全天マップ完成版 Image: data from GALEX and Swift-UVOT (NASA), FIMS/SPEAR (KASI), TD-1 (ESRO), Planck and Gaia (ESA) / Anthropic

 完成した全天マップには、若く明るい星の周りで光るちりの雲や、重い星の爆発で吹き飛ばされたガスの泡の縁をなぞる、巨大なちりの輪が写っている。

 天の川銀河のすぐ近くにある2つの小さな銀河、大マゼラン雲と小マゼラン雲も写っている。

 全天マップでは、実際に観測した部分とClaudeが予測した部分が区別されており、予測の誤差の目安も示されている。

 メナール氏は、完成した全天マップが、学生が天の川の豊かな構造を学ぶための教材になると考えている。

 メナール氏はAnthropicの研究者でもあるため、今回のプロジェクトには、AnthropicのAIツールの能力を示す宣伝としての側面もある。

 成果は同社のブログで発表されたもので、まだ論文として専門家の査読は受けていない。

 それでも、穴だらけのままだった紫外線の全天マップは初めて、空白のない1枚の全天マップになったのだ。

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この記事へのコメント 11件

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  1. 紫外線を用いた宇宙の全天マップをAIを使って作成し、
    誤差がやや大きく研究には必ずしも使えないけど、学生の教材にはなるということかな。

    >Claudeの予測と本当の測定値との差は約10%以内
    >人の手なら何週間もかかる作業は、数日で終わった。
    >学生が天の川の豊かな構造を学ぶための教材になると考えている。

    手間と効果の天秤で手付かずだった未解決分野の面倒な作業を、
    人の代わりにAIが埋めてくれることが今後増えるかも知れませんね。
    (イグノーベルのようなのも増えるかな)

    • +13
    1. 問題は内容が正確なのか確認がとれたのかと🤔

      • -2
  2. > さらにClaudeは、紫外線で一度も観測されていない空を、ほかの光のデータから予測して埋め

    いつものように適当に埋めたんやろうな
    AIが根拠もない、いい加減なデータばかり捏造しているからもはや信頼性がない

    • -11
    1. マイナスついてるけど分からなくはない
      画像生成AIが出発する画像は、あくまで「WEBにアップされてる画像」の、さらに人間の好みに合わせてるし
      ただこう言う研究用にカスタマイズされたAIは違う基準で生成してるんじゃないかな?
      人間の思考や好みは加味されず、あくまで研究結果だけで可能性の高いイメージを出してくれてると思う
      第二、第三候補とか条件変えるとまた違う結果出してくれるだろうし

      • +1
    2. 今でも調べものした時、杜撰な内容の返答返してくるから困る😅

      • 評価
  3. このぐらいの信憑性でも、何かの役に立つのかね

    • +1
    1. 今のAIがどの程度正しかったり、しくじったりしてるかの統計採れたり?🤔

      • +1
  4. 実測と予測がわかるようになってるのにホッとした。
    今日び何でもAIが上手いことやってくれちゃうから、いつか「こんなはずじゃなかった」みたいなことが起こるんじゃないかっていう漠然とした不安がある。

    1/3を実測で埋まる日が楽しみ。

    • +4
  5. かこさとしの「宇宙」は写真が取れていない部分は囲って空白にしてあった

    • +1
  6. 『紫外線の明るさと、可視光、赤外線、電波での明るさとの関係を学び』、『紫外線の本当の測定値がわかっている領域のデータをわざとClaudeから隠し、隠した部分を予測させるテストを行った。』上に、うまく行ってない部分を人間が見つけてClaudeが原因特定して直した結果だから授業の教材として使う分には十分な精度なんじゃねーかな。

    これを大元の論拠とした研究論文がでたりしちゃうと困るけど。

    • +3

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