この画像を大きなサイズで見るジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のデータを用いた国際研究チームが、宇宙の骨格構造「コズミック・ウェブ」をこれまでで最も鮮明に描き出した地図を完成させた。
16万4000個の銀河を追跡し、宇宙誕生からわずか10億年後まで遡るこの地図は、ハッブル宇宙望遠鏡では見えなかった細部を初めて可視化したものだ。
宇宙137億年の歴史をひとつの地図に収めた、天文学史上最大規模の成果である。
この研究成果は『The Astrophysical Journal』(2026年5月6日付)に掲載された。
参考文献:
- Astronomers produce most detailed map of the cosmic web
コズミック・ウェブとは何か
宇宙には、銀河が無秩序に散らばっているわけではない。ダークマター(暗黒物質)とガスが織りなす巨大な糸状の構造「フィラメント」に沿って銀河が連なり、クモの巣のような広大なネットワークを形成している。
これが宇宙の骨格構造「コズミック・ウェブ」だ。
フィラメントとフィラメントの間には、銀河がほとんど存在しない巨大な空洞「ボイド」が広がっている。
2021年12月に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、骨格構造の全体像を詳細に地図化するうえで威力を発揮した。
JWSTは赤外線で観測するため、宇宙塵(宇宙空間に漂う微細なちりやガス)を透過して、従来の望遠鏡では捉えられなかった遠く暗い銀河まで見通すことができる。
カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)を中心とする国際研究チームは、JWSTの観測データを最大限に活用し、宇宙の骨格構造の地図作りに挑んだ。
史上最大の観測サーベイCOSMOS-Webとは
研究チームは、JWSTで実施されたこれまでで最大規模の観測プログラム「COSMOS-Web」を用い、16万4000個の銀河を一つひとつ分類・配置し、宇宙の骨格構造を調べた。
COSMOS-Webは、満月およそ3個分に相当する広さの空の領域を深く・広く観測するために設計されたプログラムだ。
各銀河までの距離を精密に測定することで、それぞれを宇宙の歴史の正確な時点に当てはめることができた。
その結果、宇宙誕生からわずか10億年後という、これまで観測が届かなかった時代まで遡った地図が完成した。
筆頭著者でUCRとカーネギー天文台の大学院生、ホセイン・ハタムニア氏は、宇宙が10億歳だった頃から現在に至るまで、銀河団やフィラメント状構造の中での銀河の進化を初めて研究できるようになったと述べている。
この画像を大きなサイズで見るハッブル宇宙望遠鏡では見えなかった構造を鮮明に再現
今回の地図の精細さは、先代のハッブル宇宙望遠鏡による同じ空域の観測データと比較すると一目瞭然だ。
UCRの物理学・天文学特別教授でハタムニア氏の指導教員でもあるバーラム・モバシェル教授は、以前のデータでは一つの構造に見えていたものが、JWSTのデータでは複数の独立した構造に分解されて見えると説明する。
ハッブル時代には平滑化されてぼやけていた細部が、今では明確に識別できる。
JWSTには2つの強みがある。
同じ天域でより多くの暗い銀河を検出できること、そしてそれらの銀河までの距離をはるかに精密に測定できることだ。
この2点が組み合わさり、地図の解像度が劇的に向上した。
16万4000銀河のデータを世界に公開
研究チームは今回、地図の作成に使ったデータ処理システム、16万4000個の銀河とその宇宙密度のカタログ、そして宇宙の骨格構造が数十億年にわたって進化する様子を示す動画を一般公開した。
この画像を大きなサイズで見る米国・デンマーク・チリ・フランス・フィンランド・スイス・日本・中国・ドイツ・イタリアの科学者が参加したこの国際共同研究は、欧州連合(EU)のホライゾン2020研究・イノベーションプログラムの助成を受けている。
宇宙の骨格がどのように形成され、どう進化してきたかを知ることは、銀河の誕生と死のメカニズムを理解するうえでも欠かせない。
今回完成した地図は、137億年分の宇宙の歴史を収めた最も精細な記録として、その解明を目指す天文学者たちの研究を後押ししてくれるだろう。
References: DOI: 10.3847/1538-4357/ae5bac
















最先端の宇宙望遠鏡でずーっと先に見つけた惑星は“地球”だった、とか
フィラメント?
何言っているのかわからない
そしてボクは途方に暮れる