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史上最も鮮明なダークマターの分布図を公開。銀河、惑星の形成に与える影響が明らかに

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暗黒物質(ダークマター)の分布 Image credit:Dr. Gavin Leroy/COSMOS-Webb collaboration
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 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、宇宙の約85%を占める謎の物質、ダークマター(暗黒物質)の過去最も鮮明な分布図を公開した。

 これにより、見えない重力の網が星や銀河、生命の足場を築いた宇宙の設計図が明らかになった。

 イギリス・ダラム大学の最新研究によれば、ダークマターは宇宙を押し広げるダークエネルギーとは異なり、重力によって普通の物質を繋ぎ止める役割を果たしているという。

 目に見えないこの物質こそが、天の川銀河を崩壊から守っているというのだ。

 この研究成果は『Nature Astronomy』誌(2026年1月26日付)に掲載された。

ダークマターが宇宙の構造を形作る仕組み

 ダークマター(暗黒物質)は、光を放出も反射もしないため直接見ることはできないが、重力によって宇宙の他の部分と相互作用する。

 宇宙が始まった当初、ダークマターと普通の物質はまばらに分布していたと考えられている。

 最初にダークマターが自らの重力によって塊を作り、その後に普通の物質を吸い寄せることで、恒星や銀河が誕生する場所が生まれたと推測されている。

  イギリスのダラム大学の研究者らを含むチームは、この見えない物質がどのように天の川銀河や地球のような惑星の形成を助けたかを明らかにしている。

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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Webb)のデータにより作成された、過去最も詳細なダークマター(暗黒物質)の分布図 Image credit:Dr. Gavin Leroy/COSMOS-Webb collaboration.

80万の銀河が描き出すダークマターの精密な分布図

 研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の最新データを用い、宇宙を糸のように貫くダークマターの過去最高解像度の分布図を作成した。

  観測されたのは「ろくぶんぎ座」の方向にある「コスモス領域」と呼ばれる範囲だ。 空全体のわずか10万分の1程度、面積にして約0.5平方度という極めて限定的な範囲だが、約255時間の観測により約80万個もの銀河が特定された。

  その多くは今回初めて発見された銀河であり、分布図にはハッブル宇宙望遠鏡の2倍、地上観測所の10倍もの銀河が含まれている。

  ダークマターの質量が空間を歪ませ、遠くの銀河の光を曲げる様子を観察することで、この精密な分布が導き出された。

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ハッブル宇宙望遠鏡(左)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(右)が観測したコスモス(COSMOS)領域におけるダークマターの分布図。右側のウェッブ望遠鏡による最新の画像では、宇宙の構造がより鮮明に捉えられている Image credit:Dr. Gavin Leroy/Professor Richard Massey/COSMOS-Webb collaboration

天の川銀河を崩壊から防ぐ重力の絆

 ダークマターは幽霊のように普通の物質を通り抜けるが、その重力は銀河を繋ぎ止めるために不可欠である。

 ダラム大学のリチャード・マシー教授によれば、天の川銀河の周囲にあるダークマターの巨大な雲がなければ、銀河は自らの回転の勢いでバラバラに飛散してしまうという。

 この分布図は、見えない構成要素がいかにして見える物質を構築し、最終的には生命そのものを出現させる環境を整えたかを示している。

  ダークマターの重力によって銀河や恒星の形成が早められたことで、生命を誕生させる元素が集まる条件が作られたのである。

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ハッブル宇宙望遠鏡(左)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(右)が観測したコスモス(COSMOS)領域のダークマター分布図。重なり合う等高線は密度が等しい場所を示しており、青い部分は目に見えないダークマターが最も濃く集まっている領域を強調している。 Image credit:Dr. Gavin Leroy/Professor Richard Massey/COSMOS-Webb collaboration

宇宙の歴史を解明する新たな観測の基準

 今回の研究では、中赤外線観測装置(MIRI:Mid-Infrared Instrument)を使用して、宇宙の塵に隠された銀河までの距離がより正確に測定された。

 研究チームは今後、欧州宇宙機関(ESA)のユークリッド宇宙望遠鏡や、NASAが計画しているナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡を活用し、宇宙全体のダークマターの謎に迫る予定だ。

  今回調査された領域は、今後のすべての分布図作成において、微調整や比較を行うための重要な基準となるのである。 ダークマターは宇宙の真の設計者として、私たちが望遠鏡で観察するあらゆる構造を徐々に組み立てていったのだ。

References: Nature / PHYS / Scitechdaily

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この記事へのコメント 12件

コメントを書く

  1. 先史時代の壁画か地上絵みたい……はっ!!

    なんてね。

    • +5
  2. なんかアート作品みたいで壁に飾っておきたくなるな

    • +7
    1.  何なんでしょうね。 わかった瞬間からその物質はダークじゃなくて名前がつくはずです。 さらに言えば一つじゃなくて複数の種類が絡み合ってる場合にはダークマターの一部がわかって、たとえばそれまでダークマターのうちの 75% が○○とすると計算が合うので、新たな説ではのこりの 25% 分が依然としてダークマターでありさらに追及が進められることになるのだと思います。 現時点ではその辺に重力源(おそらく物質または何らかのエネルギー)が存在することにしないとつじつまが合わないので、そのなんだかわからない「たぶん物質」を総称してダークマターとね。 もしかすると三次元+時間に住んでいる我々には認識できない何か(つまり高次元では観測できるともいえる)かもしれません。 あくまでの素人の想像ですけどね

      • +3
  3. ダークマターは直接観測できないけど、光の挙動で間接的に観測してるってことだよね。
    もし宇宙に光も届かない領域があるとしたら、ダークマターどころか存在すらわからないってことかな。

    • +3
  4. ダークマターはハート形をしてて欲しい

    • 評価
  5. コスモス領域というのは、Cosmic Evolution Survey (COSMOS) という調査で
    ハッブル宇宙望遠鏡(HST) が調査した領域なんですね
    今では、たくさんの地上や宇宙の望遠鏡が協力しているそうです
    COSMOS のホームページ
    https://cosmos.astro.caltech.edu/

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