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暗黒物質の正体が原始ブラックホールなら、火星の軌道の揺らぎで証明できるかもしれない

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 謎めいた「ダークマター(暗黒物質)」や「原始ブラックホール」の実在は、火星の揺らぎによって証明されるかもしれない。

 米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の物理学者チームによると、もしもダークマターの正体が原始ブラックホールならば、それは10年に1度の頻度で太陽系を通過していると考えられるという。

 その時、ダークマターが火星のそばを通過すれば、その重力によって軌道をふらつかせるため、それにより証明できるかもしれないという。

 それは惑星の軌道としてはほんのわずかな揺らぎだが、現代の観測機器によって十分検出できるものだ。

ダークマターの正体は極小の原始ブラックホールなのか?

 私たちの目に見える物質は、じつはこの宇宙にある物質のうち、ほんの2割にも満たないと考えられている。あとの残りは、絶対に目に見えない「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれるものだ。

 これは仮説上の物質で、今の時点ではまだ確認されていない。なにしろどの電磁スペクトルを利用しても、まったく見えないのだ。

 にもかからず、ダークマターがあるとされる理由は、その重力がなければ、この宇宙や銀河の振る舞いをうまく説明できないからだ。

 天文学者がその実在をかたく信じている一方、この謎めいた物質をどうにか検出しようという試みは、これまでのところすべて空振りに終わっている。

 ダークマターを探す研究者は、それが風変わりな”粒子”であると考えている。

 ならば、それが検出器を通過し、散乱・崩壊してくれれば、何らかの目にみえる粒子を作り出すかもしれないからだ。

 ダークマター検出器は、それを検出するよう設計されている。

 だが、それらがすべて失敗に終わっていることから、最近ではまた別の可能性が注目されつつある。

 それは1970年代に提唱された仮説で、ダークマターは粒子ではなく、小さな「原始ブラックホール」ではないかというものだ。

 原始ブラックホールとは、ビッグバン直後に密集したガスが崩壊して形成された極小のブラックホールのことだ。

 これもまた仮説上のものだが、その理論によれば、宇宙全体に散らばっているのだという。

 原始ブラックホールは原子1個分しかないほどに小さいが、小惑星ほども重いとされる。ならば、その重力の影響を検出できれば、存在を証明できるかもしれない。

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原始ブラックホールは10年に1度、太陽系を通過する

 本当に原始ブラックホールが存在し、宇宙に散らばっているのなら、私たち人間への影響はないのだろうか?

 今回の研究のきっかけになったのは、そんなふとした疑問だったという。

 MITのタン・トラン氏がざっと計算したところ、もしも原始ブラックホールが人間の1m以内を通過したとすると、その人は1秒間で6m押しのけられることがわかった。

 幸いにも、実際に原始ブラックホールが地球上の人間をかすめ飛んでいく確率は、天文学的に低いという。そんな超常現象のような出来事がニュースにならないのは、そのおかげだ。

 だが、もっと大きな天体はどうなのだろう? それが地球や月のそばをフライバイすることはないのだろうか? もしもあるのなら、何が起きるだろうか?

 こうして太陽系内のすべての惑星をはじめ、100万以上の天体が組み込まれた最新のシミュレーションが構築された。

 宇宙全体に散らばっているとは言え、原始ブラックホールは常に太陽系内にあるわけではない。

 それでも、宇宙に存在するとされるダークマターの量と、原始ブラックホールの質量(太陽系最大の小惑星と同等と仮定された)から計算してみたところ、10年に1度くらいの頻度で太陽系を通過すると推定できた。

 そのうえで構築したシミュレーションで、10年に1度、原始ブラックホールがさまざま角度で太陽系を通過する状況を再現してみたのである。

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原始ブラックホールの通過は火星の軌道を揺らす

 シミュレーションによると、地球や月の場合、推定秒速240kmで移動する原始ブラックホールがそばを通過しても、はっきりとした影響は現れないようだった。

 ところが火星は違った。もし原始ブラックホールが火星の数億km以内を通過したら、それによって火星の軌道が”揺れる”かもしれないのだ。

 それは数年で1mほどの揺らぎで、惑星の規模で考えるならごく小さなものでしかない。それでも現在の観測機器の性能ならば十分に検出することができる。

 仮にこのような揺らぎが観測されたとしても、それが原始ブラックホールの影響なのかどうか、直ちに断言できるわけではない。火星の周りにある小惑星の影響とも考えられるからだ。

 だが、通常の小惑星なら長年にわたって追跡されてきたので、その軌道を計算しつつ検証すれば、揺らぎが小惑星によるものか、それとも原始ブラックホールによるものか検証することができる。

 このアイデアを追求するために、研究チームは今、天体シミュレーションの専門家との協力を模索しているところだ。今から10年後には、ダークマーターと原始ブラックホールの実在が証明されているのだろうか?

 この研究は『Physical Review D』(2024年9月17日付)に掲載された。

追記:(2024/10/13)本文を一部訂正しました。

References: A wobble from Mars could be sign of dark matter, MIT study finds | MIT News | Massachusetts Institute of Technology

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この記事へのコメント 11件

コメントを書く

  1. 彗星がロストするのも小惑星が時に地球に落ちるのも原始ブラックホールの影響なんだな

    • +2
  2. うーん 原始ブラックホールって大きさ1㎛ぐらいの大きさなのかな?
    ホーキング博士の理論での蒸発して消える寸前だねw

    • +3
    1. “原始ブラックホール”はその成り立ちから通常のブラックホール生成とは違うので
      もう既に存在しないそういった小さな質量のサイズから、太陽の1~100倍(太陽3個分ぐらいが平均らしい)までがある…という理論だそうです

      • +3
  3. その常に蒸発し続けている筈の原始ブラックホールが火星に揺らぎを与える程ならば
    常に新しく原始ブラックホールが発生し続けている事になる
    その質量は何処から来たのか?なぜ発生し続けるのか?なぜそれらの原始ブラックホールは合体して成長しないのか?蒸発する時にガンマ線を放射するブラックホールだが原子サイズの原始ブラックホールでも常に発生し蒸発し続けているのであればガンマ線観測は可能ではないのか?等々興味は尽きないな

    • +3
  4. なんとなく強引に見える仮説だな
    とはいえそれいったら量子論も素粒子の性質も
    かなり奇妙だしな

    • +4
    1. 既知宇宙は宇宙全体からして5%程度分かっているかどうか。
      この記事の話にも通じる現在試算されている宇宙の総重量のうち、わかっているのは4%程度
      それ以外の判明していない96%は”わからない物質(ダークマター)”と”わからないエネルギー(ダークエネルギー)”に分類されています
      “原始ブラックホール”はこのわからない96%を埋める理論の一つなのですが、正解だったとしても現在の試算では1%程度解決できるかどうかだそうです

      • +1
  5. 普通の原子ですらこんなに偏在してるのに、それより遥かに重い原始ブラックホールがそんなに宇宙に満遍なくあるのかな?あったとしても銀河の中心とか恒星や惑星の中心に集まってそうな印象。

    • 評価
  6. ホーキング放射の見積もりが間違っている可能性もある
    負のエネルギー粒子と正のエネルギー粒子のうちで負のエネルギー粒子のほうが効率よくブラックホールに吸い込まれるのだろうか?
    正のエネルギー粒子が反重力粒子なのだろうか?

    • -1
  7. 「確率は、天文学的に低いという」

    いや、天文学の話のはずw

    • +4
  8. いやいや、火星の軌道を観測なんて面倒なことしなくても、そんな大質量が通過するなら現代の人類には LIGO と Virgo がありますよ。ざんねんながら KAGRA はまだ参加できないけど……

    • 評価
  9. ホーキング放射の赤外線で宇宙がアチアチになりそう

    • 評価

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