この画像を大きなサイズで見るメキシコのコスメル島に生息する絶滅危惧種、ピグミーアライグマの子の姉妹が、紙ゴミを水と砂で丸めてボールを作り、遊び道具にしている姿が確認された。
これは、米マイアミ大学の研究で明らかになったもので、野生動物が遊びのために物を作り変え、作り方が仲間へと受け継がれていく「新しい文化」の芽生えをとらえた貴重な記録となった。
この研究成果は『Wild』誌(2026年8月25日付)に掲載された。
参考文献:
- These Adorable, Critically Endangered Pygmy Raccoons in Cozumel Are Teaching One Another to Turn Trash Into Toy Balls
- Critically endangered pygmy raccoons observed making their own paper toys
コスメル島の希少な固有種「ピグミーアライグマ」
メキシコ東海岸沖のカリブ海に浮かぶコスメル島には、ピグミーアライグマ(コスメルアライグマ、Procyon pygmaeus)が生息している。
北米大陸・中米原産のアライグマ(Procyon lotor)とは遺伝的に異なり、この島にしか存在しない固有種で、希少な存在だ。
体重は約2.7kgから4.1kgと人間の新生児ほどの重さしかなく、一般的なアライグマと比べると非常に小柄である。
現在、コスメル島には、成熟した個体が200匹未満しかおらず、現在も個体数を減らしている絶滅危惧種だ。
通常はカニや果物、昆虫などを食べるが、生息地の観光地化が進んだことで、ゴミ箱をあさったり人間の食べ残しを食べたりする姿が日常的に見られるようになっている。
この画像を大きなサイズで見るゴミ箱の紙と水を使って手作りボールを完成させる
2026年1月、島のビーチクラブ周辺の観光地が野生動物の健康に与える影響を調査していたオハイオ州マイアミ大学のネッシー・オニール氏らの研究チームが、ピグミーアライグマの新しい行動を目撃した。
ここには、ピグミーアライグマの母親と2匹の若いメスの姉妹の子が暮らしていた。
1月19日、姉妹の1匹が、ゴミ箱からレシートなどの紙切れを取り出し、水の入ったボウルに運んだ。
この子は紙を何度も水に浸し、前足を使って砂にこすりつけながら転がし、ざらざらとした固いボールを作り上げ、完成したボールを地面で叩いたり追いかけたりして遊び始めたのである。
アライグマの子は人間の出したゴミを使って、自分のおもちゃを作りだし、それで遊んだのだ。
この画像を大きなサイズで見る作ったボールで一緒に遊ぶアライグマとハナグマ
もう1匹の姉妹は、ボールを作る行動を注意深く見て手順を学ぼうとしていた。
さらに驚くのは、島固有のハナグマの亜種であるコスメルハナグマ(学名Nasua narica nelsoni)の子供2匹も遊びに加わったことだ。
この画像を大きなサイズで見るアライグマとハナグマの子供たちは、ボールを奪い合って鳴き声を上げたり、互いに打ち合ったりして遊んでいたという。
動物界では、チンパンジーが木の枝で虫を捕るなど、実用的な目的で道具を使う行動はよく知られている。
しかし、純粋に遊ぶことが目的で道具を作る行動は極めて稀である。
アライグマは非常に触覚が発達しており、手を使って環境を学ぶ。
最初は偶然の産物だったかもしれないが、アライグマ属(Procyon)で、自らおもちゃを作って遊ぶ行動が記録されたのは今回が初めてとなる。
最初にボールを作った個体を襲った悲しい現実
とても愛らしい行動だが、悲しい出来事があった。
ボールを最初につくった個体は健康状態が悪化し、治療のために現場から保護されたのだ。
オニール氏によると、近くの新しいビーチリゾート建設によって生息域の一部が破壊されており、人間由来の有毒な汚染物質の摂取や栄養失調が原因で体調を崩した可能性が高いという。
この個体は懸命な治療の甲斐なく、そのまま息を引き取った。
この画像を大きなサイズで見るボールづくりは受け継がれていた
知識を持った個体がいなくなれば、文化も消滅する恐れがある。
だが、保護された約5日後の1月29日、生き残ったもう1匹の姉妹がゴミ箱からハンバーガーの包み紙を拾い出し、自力でボールを完成させて遊ぶ姿が確認された。
この画像を大きなサイズで見る同じ日には母親もボール作りに挑戦したが、水に入れた紙を取り出せずにあきらめてしまったようだ。
直前に人間の飲み残しの約30mlのマルガリータを飲んでいたことが影響したのかもしれない。
だが、遊びの文化は、生き残った姉妹へと確かに受け継がれたのだ。
別の場所にいるアライグマのグループでは、ボールを作る行動は確認されていない。この家族の中で生まれた文化である可能性が高い。
絶滅の危機に瀕する個体群の中で芽生えた新しい文化が定着するのか、それとも環境破壊によって消滅してしまうのか、研究チームは継続的な観察と保護活動の強化が必要だと訴えている。
References: doi.org/10.3390/wild3030033
















アライグマの子供が道具を作り出して遊ぶというのはすごいが別種の生き物が遊びに参加するというのはもっとすごいと思う
地味にきますよね。
割と仲いいのかなって。
人間の専売特許だと思われていたものがゆっくりと自然の生き物たちの手に渡っていくこの微妙な感覚…。
ちっちゃいアライグマかわいーっておもってたらちっちゃいハナグマまで出てきてかわいいが許容量を超えました(息も絶え絶えおじさん)
あら微笑ましい、と思ったら悲しい結果が待っていた。
また人間のせいで…胸がギュッとしました。
残された子が技術を継承してくれたのがせめてもの救いだった。
またハナグマの子と遊んでほしいな。
ボールは友達、種は違っても一つのボールを追いかければ仲良くなれる
byハナグマ
アライグマが賢いのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』観たから知ってる
手を使うから賢くなって行くのかな?
人は空間把握の脳領域を削って(割振りし直して)言語を獲得した感じだが
彼らは???
遊び(前頭葉)器用さ(小脳)の能力は高いし、モデリング学習ができる(ミラー細胞)ことはわかった
本家アライグマは凶暴でダメだが
ピグミーはペット化できる気がする
やはりガーディアンズは正しかった