この画像を大きなサイズで見るアメリカの中学校で真夜中に火災が発生した。駆け付けた消防隊が煙の充満する教室にいたのは、体長約2.4mの巨大なニシキヘビだった。
消防当局の調査では、このニシキヘビが飼育ケースから脱走した際に保温器具を倒し、火災を引き起こしたとしている。
だが、ニシキヘビを飼育していた教師はこれに真っ向から反論した。
ニシキヘビが脱走する前に、火災はすでに発生しているというのだ。
果たしてニシキヘビは学校火災を引き起こした張本人なのか、それとも燃える教室から必死に逃げ出しただけなのだろうか。
夏休み中の中学校で火災が発生
2026年8月13日午前0時31分、バージニア州ベッドフォード郡フォレストにあるフォレスト中学校の火災警報が作動した。
およそ15分後に消防隊が到着すると、すでにスプリンクラーが作動しており、大量の水が流れ落ちる中、窓からはまだ炎や煙が噴き出していたという。
消防隊は校内に入ると、2階へ向かった。煙は1階と2階の2つの棟に広がっており、消火後も排煙に苦労するほどだったそうだ。
出火元とみられる教室に入った消防隊がそこで見たものは、体長8フィート(約2.4m)の大蛇が床をのたくっている姿だったのだ。
この画像を大きなサイズで見る隊員たちが教室に入ると、8フィートのニシキヘビに出迎えられました。彼らは飼い主が到着して元の場所に戻すまでの間、ニシキヘビを一時的に安全な場所に確保した上で、消火活動を行いました
この大蛇は火元となった教室の中で飼育されていた、「ナナー」という名前のメスのニシキヘビだった。
この火災による人的被害はなかったものの、火災自体と消火に伴う煙や水によって、8つの教室が被害を受けた。
また、残念なことに、火元となった教室で飼育されていたリクガメ1匹の死亡が確認された。
学校は夏休み中で、新学期は8月19日に始まる予定だった。学校側は被害を受けた教室の代わりとなる場所を確保し、新学期は予定通り始まる。
火災の原因はニシキヘビなのか?
消火後、ベッドフォード郡消防保安官事務所が原因を調査した。その結果、火災は故意ではなく事故によるものと判断された。
消防当局の見解によれば、ナナーが飼育ケースから脱出した際、リクガメの飼育設備に設置されていた保温器具を倒し、それが出火につながったという。
消防保安官のスティーブン・ウィップル氏は、次のように語っている。
「状況証拠」から判断するとヘビが火災の発生に関与したと考えています。ただし、ヘビ側に悪意があったとは思っていません。
ホロホロチョウなどが保温ランプを倒したケースなら経験がありますが、ヘビが火事を起こしたのは初めてです
もちろんニシキヘビに放火の意思があったと疑われているわけではない。だが火災原因調査の結果、ナナーの行動が出火につながったという結論になったのだ。
下は消防当局が投稿した火災時の様子。
ところが、この結論に異議を唱えた人物がいる。ナナーの飼い主で、火災が起きた教室を使用していた生命科学の教師、ブリタニー・ジェイコブス先生だ。
「ナナーは火事を起こしていない」飼い主の教師が反論
ジェイコブス先生は教師歴18年。もともとは爬虫類を専門とする獣医師を目指して大学へ進み、生物学の学士号を取得したそうだ。
教師になってからも爬虫類との関わりは続き、18年間にわたり教室でヘビ、カエル、カメ、リクガメ、魚、ウーパールーパーなどさまざまな生き物を飼育してきた。
生き物たちの飼育には自費で数千ドルを投じ、獣医師や爬虫類の専門家にも相談しながら、それぞれの動物に適した環境を整えてきたという。
この画像を大きなサイズで見るこれまでにも教室ではヘビやカエル、カメ、リクガメ、魚、ウーパールーパーなどさまざまな生き物を飼育し、実際の授業にも活用している。
火災から2日後の8月15日、ジェイコブス先生は自らのFacebookに投稿し、消防当局の説明に反論した。
ジェイコブス先生によれば、火災前日の午後に学校を出た時点で、すべてのヘビはそれぞれ施錠されたケースの中にいたという。
18年間、教室では様々な種類の爬虫類を飼ってきましたが、動物が脱走したことも、照明や保温器具が原因で火災が起きたことも一度もありません
消防当局が今回の火災の火元としたのは、リクガメの飼育ケースに設置されていた保温器具だった。
ジェイコブス先生によると、設置されていたのはランプタイプの保温球ではなく、光を発しない放熱式のヒーターだったという。
そしてこのヒーターは、リクガメの飼育ケースの側面にしっかり固定されており、床材が過熱しないよう十分な高さを取っていたと説明している。
しかも過去3年間、ずっと同じ場所に取り付けられており、簡単に倒れるようなものではなかったという。
火災後、その保温器具は外側の金属製カバーもソケットもなくなり、発熱体だけが残っていたそうだ。
ジェイコブス先生は残された状況から、問題の保温器具が倒されたことを直接示す証拠は確認できなかったとしている。
さらにナナー用を含め、同じカウンターの上にあった4つのヘビ用保温器具については、火災後も本来設置されていた場所に残っていたという。
この画像を大きなサイズで見る「炎が見えた20分後にナナーが脱出した」
さらにジェイコブス先生が反論の大きな根拠としているのが、学校の廊下に設置されていた防犯カメラの映像だ。
映像を確認したところ、まず教室のドアのガラス越しに炎が見え始めた。そしてそこから約20分後、ナナーが教室から出てくる姿が記録されていたという。
これが事実なら、「ナナーが先に脱走して保温器具を倒し、火災が起きた」という消防当局の説明とは食い違う可能性が出てくる。
また、火災後にジェイコブス先生がナナーの飼育ケースを確認すると、蓋を固定していた2個の金属製ロックが外れていた。
1個は流し台に、もう1個は壁とケースの間に落ちており、ロック自体も変形していて、元の位置に取り付けられない状態だったという。
彼女は外に出るため、金属製のロックが曲がるほど強く網を押しました。部屋から出たのは、そこがあまりにも熱かったからです。隣のケースが溶けるほどの熱さだったんです
救出されたナナーの顔には、飼育ケースの網目と一致する円形のすすの跡が残っていた。体を洗ってすすを落とすと、鼻先は紫色に腫れていたそうだ。
こうした状況から、ジェイコブス先生は「ナナーはすでに発生していた火災から逃がれるために、ケースを破壊して脱出した」と考えている。
この意見は、「ナナーが脱走したせいで火災が起こった」という当局の見解に、真っ向から対立するものだ。
今回、フォレスト消防署は火災現場の動画をFacebookで公開しており、そこには煙と水で荒れた教室の奥の床を這うナナーの姿が映っている。
だが、ジェイコブス先生が根拠とする防犯カメラの映像は、今のところ公開されていないようだ。
ナナーは教室から逃れようとしていたのか、それとも教室内を徘徊していたのだろうか。真相はおそらく、ナナー自身にしかわからないだろう。
教室の動物たちは生きた教材
そもそも、なぜ普通の中学校の教室に巨大なニシキヘビがいたのだろうか。
ジェイコブス先生にとって、教室の動物たちは単なるペットではなく、生徒が実際の生き物を観察しながら科学を学ぶための教材でもあった。
例えば、ヘビの体色の違いから遺伝について学び、ウーパールーパーから再生能力や適応について考える。
ヘビと魚などを比較して繁殖方法の違いを教えたり、ヘビの脱皮した皮を使って細胞と成長について説明したりすることもあった。
水槽では生徒たちが水質を検査し、窒素の循環について学ぶなど、実際に生き物を世話すること自体が授業の一部になっていたという。
また、動物たちは授業以外でも生徒たちに親しまれていた。気持ちが落ち込んだ時に教室へ来て動物を眺めたり、ヘビを膝に乗せながら課題に取り組んだりする生徒もいたそうだ。
動物たちは教材として役立つだけでなく、感情がうまく整えられない子供たちに安らぎを与えてくれます。
持ちを落ち着かせる時間が必要な時、教室の中を歩きながら水槽や飼育ケースを眺める子供たちがいました。
1時間目の授業へ行く前に、まず私の教室へ来ることを毎朝の日課にしている子供たちもいます。
家であった嫌なことはいったん教室の外に置いて、自分が幸せな気持ちになれるものに意識を向け、前向きな気持ちで1日を始めるためなのです
この画像を大きなサイズで見る実は火災が起きる前、ジェイコブス先生はナナーのために、床から天井まで届く大型のバイオアクティブケージを作る計画も進めていたそうだ。
バイオアクティブケージとは、植物や土壌、微生物、小型の無脊椎動物などを同じケージに入れ、自然界に近い小さな生態系を作る飼育環境のことだ。
ジェイコブス先生は教室の中で生態系のサイクルを再現し、生徒たちが生物同士のつながりを実際に観察できるようにしようと考えていたのだ。
そして、そのための助成金を申請する準備を進めていたところだったという。今回の火災で、ジェイコブス先生が描いていた夢は、少し遠のいてしまったようだ。
今回の火災で失ったもの
今回の火災で、ジェイコブス先生は、ゴルフボールサイズの頃から8年以上飼育してきたリクガメの「バウザー」を失った。
ナナーとは違い、飼育ケースをよじ登れないリクガメは、火災の中で逃げる術がなかったのだ。どんなにか苦しかっただろうと思うと、胸が張り裂けそうだという。
この画像を大きなサイズで見るさらに、ジェイコブス先生が18年間にわたって集めてきた教材の多くも、火災で永遠に失われてしまった。
いろいろな意味で本当に打ちのめされています。授業で使ってきた教材はすべて失われ、これまで多くの子供たちが得てきたような学びの機会を、これからの子供たちには与えられなくなってしまいました。
18年間かけて積み上げてきた教材が、すべてなくなってしまったのです
今回の事件に対して、ネット上ではジェイコブス先生に同情する声のほか、批判する意見も寄せられている。
- この動物たちは、行動面で支援が必要な生徒たちにも支えと安らぎを与えてくれていました。本当に感謝しています
- あなたの教室について、素晴らしい話しか聞きません。動物たちがいつか戻ってきて、子供たちの学びを助けられるようになることを願っています
- あなたは素晴らしい先生です! 私の息子たちは2人ともあなたの教室が大好きでした
- 私の孫も、この経験ができなくなる生徒の一人です。多くの保護者や地域住民が、元の状態に戻せるよう支援したいと考えています!
- 理科教師だからって、教室のケージでヘビを飼う必要なんてない。それは科学じゃない。ただペットのヘビをケージに入れてるだけだ。科学的な実験に使っているわけでもないなら、学校に置いておく理由なんてまったくないよ
- そもそも、あんなにデカいニシキヘビを学校で飼う必要ある? 脱走できたってことは適切なケージじゃなかったってことだし、おとなしい種類ってわけでもないだろ
- カエルや魚、マウスならまだわかる。でも2.4mのニシキヘビなら、野生か爬虫類用のちゃんとした飼育施設にいるべきだ。この先生、自分が何をやってるのかわかってないんじゃない?
火災が起こる前、この中学校に来客や来賓が訪れると、真っ先にジェイコブス先生の教室に案内されていたという。
それほどまでに、ジェイコブス先生の教室は、この中学校を象徴する教育の場だったのだ。
学校からすべての動物たちを引き取らざるを得なくなりました。里親探しは不可能なので、今は私の家で飼っています
現在、ジェイコブス先生はクラウドファンディングを立ち上げて、生き物たちのための支援を呼びかけている。
今年も新しい生徒たちを教室に迎え、決められた範囲を超えて、もっと多くのことを教えられるのを本当に楽しみにしていました。
何よりも、もうこの体験ができなくなってしまった生徒たちに申し訳なく思います。みんなのことを思うと、胸がとても痛みます
References: Escaped 8-foot python causes fire at Forest Middle School in Bedford County / 8-Foot Python Accused of Starting Devastating Virginia School Fire















