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軍や警察が使う5分間の簡単な呼吸法で身体的ストレス反応を抑えることができる

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(著)

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Image by Istock / zabelin
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 プレッシャーのかかる場面では不安が高まり、極度の緊張状態に陥りやすい。

 アメリカのテキサス州立大学の研究チームは、ストレスとなる状況の中で、軍や警察が訓練に取り入れている、2つの呼吸法を5分間行うだけで、心拍数の急上昇や不安感を軽減できることを証明した。

 この方法の利点は何も道具を必要としないことだ。ただ座ったまま、その場で行うことができる。

 この研究成果は『Comprehensive Psychoneuroendocrinology』誌(2026年6月25日付)に掲載された。

参考文献:

強い心理的ストレスで起きる闘争・逃走反応

 強い心理的ストレスを受けると、体に「闘争・逃走反応」と呼ばれる状態が起きる。

 これは、危機に直面した動物が、戦うか逃げるかをすぐ選べるようにするための仕組みで、迫り来る脅威に対処するために備わった進化上の利点である。

 交感神経が働き、心拍数と血圧が上がり、呼吸が速くなる。筋肉に優先的に血液が送られて、いつもより強い力が出せるようになる。

 その一方で消化の働きは抑えられ、視野は狭くなり、判断力も落ちてしまう。この状態が長く続くと、高血圧から心臓病を招いたり、免疫の働きが落ちたりする。

 現代では生命の危機に直面する以外にも、極度のプレッシャーでこの身体反応が引き起こされることが多い。 

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Image by pixabay / geralt

軍や警察も使う2つの簡単な呼吸法を検証

 警察官や消防士、軍人のように、切迫した状況に日常的に向き合う職業の人にとって、極度のプレッシャーをどう抑えるかは重要な課題となっている。

 テキサス州立大学のマシュー・J・マカリスター氏らの研究チームは法執行機関や軍の職員に取り入れられている2つの短い呼吸法の効果に着目した。

 1つ目は「ボックス呼吸」と呼ばれるものだ。4つの動作をすべて同じ4秒で行うため、四角形になぞらえてボックスと呼ばれている。

ボックス呼吸法(これを5分間繰り返す)

  • 4秒かけて息を吸う
  • 4秒間、息を止める
  • 4秒かけて息を吐く
  • 4秒間、息を止める

 2つ目は「長めの呼気」で、リセット呼吸法とも呼ばれる。ため息をつくと少し楽になる感覚を、意識して作り出すやり方だ。

リセット呼吸法(これを5分間繰り返す)

  • 鼻から3秒かけて深く息を吸う
  • すぼめた唇から6秒かけてゆっくり吐く
  • これを30秒に1回だけ行い、合間は普通に呼吸する
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Image by Istock / Sinenkiy

スピーチの直前に呼吸法を試す

 研究チームは大学生66人を対象に、2つの呼吸法がストレス反応にどう影響するかを検証する実験を行った。

 参加者は「ボックス呼吸」「リセット呼吸法」の他、対照実験として「通常の呼吸」の3つのグループに均等に分けられた。

 まず全員の心拍数と、自己申告による不安度を測定し、唾液を採取した。

 唾液に含まれるアルファアミラーゼという酵素は、神経が高ぶると分泌が急増するため、ストレスの度合いを客観的に知る指標になる。

 その後、学生たちは審査員に向けて、自分が特定の仕事にふさわしいと売り込むための5分間のスピーチを準備するよう指示された。

 スピーチ本番の直前に、各グループは指定された呼吸法を5分間実践した。通常呼吸のグループには何の指示も出されず、いつも通りに呼吸させている。

 そして学生たちは、無表情でメモを取る審査員に向けて、ビデオ通話で5分間のスピーチを行った。

 審査員は事前に録画された映像で、質問にも反応にも一切応じないことは、あらかじめ伝えられていた。

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Image by unsplash / Vitaly Gariev

呼吸法がストレス反応の上昇を防ぐ

 実験の結果、通常の呼吸をしていた対照群の学生たちは、心拍数、不安度、唾液中のアルファアミラーゼのレベルがはっきりと上昇し、スピーチ課題による極度のストレス反応を示した。

 一方、ボックス呼吸法やリセット呼吸法を行ったグループの学生たちには、ストレスの極度な上昇が見られなかった。

 5分間の呼吸法を実践しただけで、プレッシャーによる身体の過剰な反応が抑え込まれたことになる。

 なお、認知テストの成績については3つのグループの間に差がなく、呼吸法は思考のスピードを助けも妨げもしなかった。

 落ち着かせると頭の回転まで鈍るのではないか、という心配は要らないことになる。

 研究チームは、ストレスレベルが上がること自体を防げた点に意味があると述べている。

 強いストレスを受けた直後にすぐ立ち直る必要のある場面では、体の反応が跳ね上がらずに済むこと自体が大きな利点になるからだ。

 研究の限界点として、生身の人間ではなく録画映像の審査員を使用した点と、参加人数が少なく男女差を分析できなかった点が挙げられている。

 それでも今回の研究は、特別な道具を使わず、プレッシャーのかかる直前にどこでも実践できるストレス対策として、短時間の呼吸法が実用的であることを裏付けている。

 2つの呼吸法はどちらも同じように上昇を防いでいるので、自分に合うほうを選べばいい。どちらも所要時間は5分だ。

 リズムに乗ってやりたい人ならボックス呼吸法(4秒かけて息を吸い、4秒間、息を止め、4秒かけて息を吐いたら、また4秒間息を止める)を使えばいい。

 人目が気になる人や、息を止めるのが苦手な人は、リセット呼吸法を使えばいい。3秒で吸って6秒かけて吐く呼吸を、30秒ごとに1回。5分間で合計10回になる。

 次にプレッシャーのかかる場面が来たら、その直前に呼吸法を試してみよう。

References: doi.org/10.1016/j.cpnec.2026.100360

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