この画像を大きなサイズで見るフィリピン北部・ルソン島の山岳地帯にある街バギオは、冷涼な気候から避暑地としても人気のある観光地だ。
週末をこの街で過ごそうと、宿泊先を探していたある女性が、ネットで見つけた宿泊施設に問い合わせてみた。
だがなんと、そこはホテルではなく女子刑務所だったのだ。
彼女はよりにもよって刑務所に、「空きはあるか?」と聞いてしまったのである。
宿泊施設と勘違いして刑務所に空室の問い合わせ
2026年7月24日、フィリピンの刑務所管理・刑罰局(BJMP)が管轄するバギオ市の女子刑務所が、公式のFacebookである女性とのやり取りを公開した。
その会話の内容は次の通り。
女性:こんにちは、まだ空いている部屋はありますか?
刑務所:こちらは女子刑務所ですよ
女性:あっ、すみません
なんとこの女性、週末を涼しい避暑地のバギオで過ごそうと部屋を予約しようとした際に、どういうわけか刑務所のDMに誤爆してしまったのである。
すぐに誤解は解けたのだが、予想もしなかった問合せを受けた刑務所側は、女性の了承をとった上で、このやりとりをこんなメッセージ付きでSNSで公開した。
さあ、ステイケーションの準備は万端。次の週末、今度こそバギオ旅行が実現します!
ここでひとつお知らせです。BJMPの刑務所施設はホテルではありません
もっとも刑務所側はジョークだけで終わらせず、本来の役割についてもきちんと説明している。
しかしながら、私たちはBJMPの指示に従い、受刑者への適切かつ人道的なケアを確保するため、施設の安全と安心、衛生状態を維持するよう引き続き努力してまいります。良い週末を!
うっかり名称を読み間違えた可能性
しかしいったいなんでまた、この女性は刑務所を宿泊施設だと思い込んでしまったのだろうか。
公式の説明は出ていないが、この施設の英語の名称「Baguio City Jail Female Dormitory(バギオ市刑務所女性宿舎)」の「Jail(刑務所)」という単語だけを読み飛ばしてしまった可能性が浮上している。
それなら「Baguio City Female Dormitory(バギオ市女性用ドミトリー)」となり、女性専用の安価な宿泊施設と間違えてしまったのも理解できる。
ドミトリーとは、もともとは寮や宿舎なんかを表す言葉だが、旅行界隈では複数人で部屋を共有する、相部屋形態の安い宿泊施設のことを言う。
まさに「うっかり」から生まれた誤解だったのだとは思うが、よりによって刑務所に「空室はないか」と問い合わせてしまうとは、なかなか強烈な事案だったわけだ。
この珍事はあっという間にフィリピン中に広まり、テレビのニュースやSNSで広く拡散されることになってしまった。
- 刑務所が反応するなんて愉快だね
- 無料の食事と宿泊に、365日24時間体制の警備員がいるんだから、安全この上ない
- 支払いは不要だし、警備もあって、食事も出るんだから最高だよ
- オレンジ色の寝間着もついてるよ!
- たぶん「バギオ ドミトリー」で検索して、出てきた施設に何も考えずにコンタクトをとったんだろうな
- チェックインは無料。ただしチェックアウトはできません、ってか
この画像を大きなサイズで見る実は「空室」などない?フィリピン刑務所の過酷な実態
フィリピン政府の広報機関Philippine Information Agency(PIA)が2026年7月13日に公表した資料によると、現在のバギオ市刑務所は総床面積1601m²で、男性収容施設が1295m²、女性収容施設は306m²しかない。
その女性収容施設には49人が収容されており、定員を206%も上回る状態となっているそうだ。内部の様子はここで見られる。
この状況を改善するため、バギオ市では現在、新たな刑務所を建設しているところだそうだ。
新しい刑務所はもっと広い敷地に建設され、現在の施設より広い空間を確保するだけでなく、収容者の教育や職業訓練、医療などの環境改善も期待されている。
これまでフィリピンの刑務所といえば、「超過密」「無法地帯」といったイメージで報道されることも多かった。
実際に過剰収容がもたらす問題は深刻で、2019年には国内最大規模のニュービリビッド刑務所で、年間約5,200人が死亡したと報道されている。
2026年7月3日にBJMPがが公表した資料によると、全国の収容超過率は2023年の330%から2025年には292%、2026年には281%まで低下したという。
状況は多少改善されつつあるようだが、平均すると今も平均で定員の約3.8倍の受刑者が収容されているとのこと。
今回の出来事は笑い話で済んだが、実際のバギオ市刑務所は当分の間「満室」状態で、「ゲスト」を受け入れるどころではないようだ。
日本とも関係の深いバギオ
20世紀初頭、バギオの道路建設に日本人労働者が携わっていた。また第二次世界大戦では日本軍が米軍を相手に地上戦を行い、激戦地となった過去がある。
このためバギオには、戦前から戦中・戦後にかけての日本・フィリピン両国の歴史が、今も色濃く残っている。
例えばバギオの街には、日本の赤い鳥居が2つ建っていて、現地の人にも人気の観光スポットになっているらしい。
鳥居はバギオ植物園のフレンドシップガーデンと、ミラドール・ヒルに建てられていて、後者には「平和の鐘」が吊るされている。
この鐘は戦時中の爆弾を利用して作られたのだそうで、太平洋戦争終結75周年を記念する平和のモニュメントとして設置されたという。
日本よりも夏は涼しく冬は暖かい。治安もわりと良いことから、バギオは現在、日本からの語学留学先として人気だそうだ。
References: Woman looking for hotel accidentally tries to book a room in prison: ‘Ma’am, this is a jail for women’















