メインコンテンツにスキップ

端麗でモデルのような美脚を持つヘビクイワシだが、獲物のしとめ方は強烈!

記事の本文にスキップ

10件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Image by Istock / johan63
Advertisement

 目やクチバシのまわりはオレンジ色、長いまつげ、頭には冠のような飾り羽、すらりと伸びた長い美脚を持つヘビクイワシは、鳥界のモデルのように洗練された美しさを持っている。

 だがその優雅な目とは裏腹に、獲物のしとめ方は強烈だ。

 その美脚こそが最強の武器となる。獲物であるヘビなどの頭めがけて脚に全体重を載せ、思いっきり叩きつけるのだ。

 頭蓋骨は叩き割られ、獲物は何が起きたのかもわからないまま絶命するという。

参考文献:

モデルのような美しい容姿を持つ猛禽類「ヘビクイワシ」

 ヘビクイワシは、タカ目ヘビクイワシ科ヘビクイワシ属に分類される唯一の鳥で、アフリカのサハラ砂漠より南の草原やサバンナに暮らしている。 

 タカやワシと同じく、生きた獲物を捕らえて食べる猛禽類だ。

 顔には羽毛がなく、目のまわりから頬にかけて、シャドウやチークを入れたようなオレンジ色のグラデーションの鮮やかな色の皮膚が見える。

 後頭部からは黒く長い飾り羽が何本も突き出していて、冠をかぶっているように見える。

この画像を大きなサイズで見る
Image by unsplash  / James Lee

 ヘビクイワシの顔を近くで見ると、目のまわりに長いまつ毛が並んでいる。

 鳥は羽毛以外の毛はもたないため、このまつ毛は羽毛でできている。

 鳥の羽毛が変化してできたまつ毛は、飛んだり走ったり穴を掘ったりするときに、ゴミや砂ぼこりが目に入らないようするため守っていると考えられている。

 そのため、地面を歩き回って狩りをするヘビクイワシと、砂漠で暮らすダチョウなどにはとりわけ長いまつ毛がある。

この画像を大きなサイズで見る
Image by unsplash / Martin Bargl

 体を覆う羽毛は白っぽい灰色で、そこからすらりと細長い美脚が伸びている。タカの仲間のなかで最も長い脚を持つ。

この画像を大きなサイズで見る
Image by Istock / ottoduplessis

 立ったときの高さは約1.2mあり、翼を広げれば2mを超える。それだけの大きさがありながら、体重は2.3〜4.2kgしかない。

 同じタカ目の仲間でありながら、ヘビクイワシはほとんど飛ばない。だが飛べないわけではない。

 木の上の巣に戻るときや求愛のときくらいしか空を飛ばず、あとはひたすら草原を歩き回って暮らしている。

この画像を大きなサイズで見る
Image by Istock /GoDogPhoto

美脚は狩りの最強の武器となる

 ヘビクイワシという和名は、ヘビを食べる習性に由来しているが、ヘビが主食というわけではない。

 ヘビも食べるが、実際に良く食べているのは昆虫やクモ、ネズミなの小型哺乳類だ。他にも鳥や卵、トカゲ、カエルなどを食べる。

 ほかのタカの仲間は空から急降下し、鋭い爪で獲物をつかんで押さえ込むが、地上を歩くヘビクイワシの脚には鋭い爪がない。

 その代わり、この美しく長い脚が最強の打撃の武器となる。

この画像を大きなサイズで見る
Image by pixabay / GabruPawPixels

脚を振り上げ獲物の頭を叩き割る

 昆虫などの小さな獲物ならくちばしでくわえて捕らえることができるが、相手がヘビなど大きくなってくるとこの美脚の出番だ。

 ヘビクイワシは長い脚を高々と振り上げ、ヘビの頭めがけて全体重を叩きつける。

 頭蓋骨は叩き割られ、ヘビは何が起きたのかもわからないまま絶命する。

 コブラのような猛毒のヘビであっても、毒牙を突き立てる前に頭を叩き割ってしまえば、噛まれることはない。

 その優雅な見た目からは想像もつかない蹴りの威力を、イギリスのロイヤル・ホロウェイ大学(ロンドン大学)などの研究チームが実際に計測した。

 研究チームは、猛禽類保護施設で暮らすオスのヘビクイワシ「マデライン」に、ゴム製のヘビを蹴らせて力を測った。

 マデラインが叩き出した蹴りの力は195ニュートンで、自分の体重のおよそ5倍にあたる。

 獲物に足が触れている時間は、わずか15mm秒しかなかった。

 人間がまばたきをするのにかかる時間は約150mm秒なので、その10分の1の速さで蹴り抜いている。

 長い脚は、獲物の反撃から自分の体を遠ざけるとともに、体重の5倍の力で獲物の頭を叩き割るための武器なのだ。 

 ヘビクイワシの蹴りには、もう一つ厄介な事情がある。

 15mm秒はあまりにも短いため、蹴っている途中で自分の脚の位置を感じ取り、軌道を直す余裕がまったくない。

 ヘビクイワシは目で狙いを定めた瞬間に蹴りの動きをすべて決めてしまい、あとは計画どおりに脚を振り抜くしかない。

 狙いが外れても途中で修正はできず、外したなら、もう一度蹴り直すことになる。

この画像を大きなサイズで見る
Image by Istock / Kneonlight

強く美しいが絶滅の危機にある

 美しく、そして毒ヘビすら一撃で倒す強さを持つヘビクイワシだが、その未来は明るくない。

 国際自然保護連合(IUCN)は2020年、ヘビクイワシの危機の評価を引き上げ、絶滅危惧種(EN)に指定した。

 野生に残る個体数は6,700〜67,000羽と推定されており、今も減り続けている。

 ヘビクイワシを追い詰めているのは人間の活動だ。

 人間が草原に木を植えたり農地や牧草地に変えたりすることで、狩りをする場所がどんどん狭くなっているのだ。

 さらに人間による狩猟でも数を減らしていった。

 他にも農薬に汚染された生き物を食べて中毒を起こしたり、飛んでいる途中で送電線にぶつかって命を落とすこともある。

 南アフリカでは、20年間に94羽が送電線に衝突して死んだ記録が残されている。

 そこに気候変動による干ばつが追い打ちをかけた。

 サバンナを颯爽と歩き、毒ヘビの頭さえ一撃で叩き割るヘビクイワシ。この美しくも強いハンターが野生で生きていく姿を、この先も見続けられるとは限らないのだ。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 10件

コメントを書く

  1. 手塚治虫の火の鳥感まんさいバード

    • 評価
  2. 名前からしてヤバいヤツって分かるやん

    • 評価
  3. ポワポワ関羽かわいい

    • 評価
  4. 農薬の中毒ってすごくかわいそう。

    • 評価
  5. 手塚治虫先生の代表作の一つ「火の鳥」のモデルという話もありますね。
    是非とも末長くその美しい姿を見せて欲しいです。

    • 評価
  6. ドラァグクイーンみたいな鳥だな

    • 評価
  7. 美しく色っぽい鳥だよね、羽ペンの様な頭の黒い羽根で書記官鳥とも呼ばれるそうだね。
    鳥の中には本当に美しい種が多いが恐竜もカラフルな種が居たのではないかと考えるとロマンだねぇ。
    クジャクやキンケイやキジは美しい鳥としては身近だが構造色で虹色に輝くミノバトやヒノドハチドリから豊富な色調で美しいライラックニシブッポウソウやブル-ジェイやニジキジ、中でも南米グァテマラやコスタリカい住むケツァナールの美しさは神の介在さえ感じる*

    • 評価
  8. 五分丈のレギンスを履いている…

    • 評価
  9. 色合いが鶴っぽいけど鶴の方が美しいかな
    モデルウオークとかユニークなのが良いね

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。