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クローンのクローンを作り続けると58代目に限界を迎えることがマウス実験で判明(日本研究)

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(著)

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Image credit: Victor Golmer
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 マウスのクローンからクローンを作り、さらにその個体から次のクローンを作る連鎖を20年間続けて行った結果、58世代目で限界を迎えることが判明した。

 日本の山梨大学の研究チームが発表したこの成果は、世代を重ねるごとに有害な突然変異が通常の交配の3倍も蓄積し、重い遺伝的ダメージが増える現実を明らかにしている。

 58世代目の個体は誕生したものの生後数日で死に至り、現在の技術ではクローンによる同一の遺伝情報を永遠に維持することはできないことが示された。

 この研究成果は『Nature Communications』誌(2026年3月24日付)に掲載された。

参考文献:

20年間の連続クローン実験で判明した「58世代目」の限界

 山梨大学の若山照彦教授らの研究チームは、2005年から20年間、クローンから次のクローンを作り続ける「再クローニング」実験を続けて行った。

 マウスの卵子のまわりを取り囲んで成長を助けている「卵丘細胞(らんきゅうさいぼう)」から「核」を取り出し、あらかじめ核を抜いた別のマウスの卵子に入れる「核移植技術」でクローンを誕生させ、そのクローンから同様の技術で新たなクローンを誕生させた。

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核移植技術でマウスのクローンを誕生させる Image credit:NPG Press / Youtube

 その結果、26世代目までは順調だった成功率が低下しはじめ、58世代目の個体が生後数日で死に至り、現在の核移植技術では特定の遺伝情報を永遠に引き継ぐことはできないことがわかった。

突然変異がクローンの遺伝子を破壊

 なぜ58世代目で限界がきたのか。

 解析の結果、クローンマウスは通常の交配で生まれたマウスに比べ、突然変異の発生率が3倍も高いことが分かった。

 核を移植する際や成長の過程で、DNAの設計図に「書き換えミス」が生じてしまうのだ。

 50世代を超えても生まれたマウスの見た目は健康で、寿命も変わらなかったが、目に見えないDNAの中では染色体の一部が入れ替わるといった深刻なミスが蓄積していた。

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56代目のクローンマウス Image credit:NPG Press / Youtube

 これまでクローンは提供者(ドナー)と「全く同じ設計図」を維持し続けられると考えられてきたが、実際には世代を重ねるほどダメージが蓄積し、修復不可能な状態になっていたのである。

有性生殖は突然変異を排除する仕組みを持っている

 この結果は、生物がオスとメスで子を作る「有性生殖(ゆうせいせいしょく)」を選択している科学的な理由を裏付けている。

 通常の交配では、精子や卵子が作られる過程や、それらが合体する受精のプロセスを経て、有害な突然変異が次世代に引き継がれないよう「クリーニング」される仕組みがある。

 しかし、現在のクローン技術には、この「不要なミスを取り除くプロセス」が全く存在しない。

 そのため、一度起きてしまったミスは世代交代をしても消えることなく、そのまま残り続けてしまうのだ。

 実際、限界が近いクローンマウスを「通常のオス」と交配させると、生まれてくる子の数や健康状態が回復することが確認された。

 有性生殖が、命の設計図をメンテナンスし、数万年以上も種を繋いでいたのだ。

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Image credit: Nigel Harris

クローン技術の新たな課題

 クローン技術は、優れた家畜を増やしたり、絶滅しそうな動物を救ったりするための重要な技術と考えられてきた。

 しかし、今回の実験により、現在の核移植技術で「クローンを連続して作る」ことには、DNA変異の蓄積という限界があることが示された。

 貴重な遺伝情報を永続的に守っていくためには、突然変異の発生を抑えたり、DNAを修復したりするための新たな技術改良が必要になる。

 山梨大学の研究チームによる20年間の記録は、クローン技術を実用化していく上で克服すべき具体的な課題が明らかになった。

References: Nature / Yamanashi.ac.jp

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この記事へのコメント 46件

コメントを書く

  1.  これ、マウスならオスは少しいればいい感じ? この突然変異を乗り越えて長期生き残ることができた者が別種になるのかな。 トラとライオンでは子ができるけどそこ子は子孫を残せないらしいので、今回の実験のようにオスを入れても補正されない差異(今回の実験でいうエラー)がある感じかななどいろいろ考えちゃいました。 しかし 20 年で 58 世代ってすごい研究ですね。 研究者の地道な努力に敬意を禁じ得ません

    • +29
  2. ルパン三世の劇場版でやってた話だな、コピーが完全じゃなくて周囲がボケてくるって言ってたか。

    • +43
  3. 人間が近親交配を続けるとエジプトの王朝やハプスブルク家の様に子孫に奇形の傾向が強くなる
    今回のマウスでは何らかの奇形が生じたのだろうか
    それは何世代経過してから発現したんだろう

    • +9
    1. 大正天皇も、ちょっとかおもじ(ー ー;)
      昭和天皇か、 一般人がお嫁さんになったとか。

      • -10
    1. いや、だんだんと負荷が蓄積されるとのことなので、実際は30台目くらいから普通ではないと言えるくらいの個体になっているのでは…?

      どの世代から異常が現れ始めたのか書いてないけど、58台目で生まれててすぐ死ぬってことは。

      • +6
  4. 『ルパン三世 ルパンVS複製人間』は50年近くも前にこの事を描いてたんだなぁ・・・

    • +40
    1. 別に『ルパンVS複製人間』が予言したわけではなく
      50年前にクローン技術が一般にも知られるようになった当時から盛んに指摘されていた問題。
      ルパンは既に世間で話題になっていたことを題材にしたに過ぎない。

      • +14
      1. 「当時から盛んに指摘されていた問題」という事ですが、何かそれを証明する情報源はありますか?
        仮にもしそうだったとしても、それをわざわざアニメ映画の題材にするという事自体が画期的であり、評価すべき事だと思いますけどね。

        • 評価
        1. アニメ以前に当時の様々な漫画でも取り上げられてますよ
          手塚治虫の「火の鳥」でもそうだし
          別にその時すでに画期的でもなんでもなくなってました

          • +1
  5. 自然界で自己クローンで世代を重ねてる生き物はどうやってその辺の課題をクリアしてるんだろう?

    • +47
    1. この研究は正確には核移植技術の限界であって、必ずしもクローン自体の限界ではないというところには注意が必要ですね。核移植では移植する核の状態を詳しく調べることなく使いますが、仮にここで正常な核のみを用いるなら原理的には延々と続けることは可能で、逆に言えば自然界の場合は何かしらの選別する機構を備えているので問題ないと言えると思います。

      • +40
      1. 私はテロメアの限界だと思います
        クローンがある程度大きくなり次の代のための核をとるころにはテロメアが減ってますから(ドリーはテロメアが短かった)
        それの繰り返し

        ただ他の部分も分裂段階で壊れていくでしょうから
        歴代の細胞標本を追いかけて調べる必要もあるでしょう

        おそらくテロメアの限界は細胞分裂が正常さを保たなくなるころに設定されているのだと思います
        そして50代以降は補修酵素、テロメラーゼが良く働いた個体達では?とも

        • +6
    2. 自然界でのクローンは、比較的単純な微生物が多い気がする。細胞分裂で2つに増えて、どちらが親(オリジナル)で子(コピー)だか、寿命の概念があるのか無いのか、よく分かんないようなのが多い。倍々ゲームで増えていくから、致命的な変異の奴がどんどん死滅して淘汰されていっても、大丈夫だった奴が増えていけば どれかは生き残る集団を維持できる感じの、「数で勝負」パターンじゃないだろうか? そのうち別種レベルの変異の奴が枝分かれしていく世代交代スピードも早そうだけど。

      植物なんかは、地下茎を伸ばして増えていく種でも、一応 花実も併用しているケースが結構ある。

      ある程度の大きさと機能区分が発達した体を持つ多細胞動物は、単為生殖でもクローンではなく減数分裂を経ていたり、クローンだとしても相手が居ない環境での急場しのぎ的な手段に過ぎないケースが多くなってくると思う。

      • +13
  6. ルパン対複製人間でマモーが言ってた「クローン連鎖は像がぼやける」ってのは当たっていたのか

    • +28
  7. 若い人は知らんだろうが、、昔は無修正の裏ビデオというのが
    あってだな、、ビデオテープからダビングを重ねまくって
    ほとんど何か分からない映像をみんな一生懸命見つめてたんだ。

    • +33
    1. 今も転送に転送を重ねられた画像はガビガビになるんだからなかなか変わらんなw

      • +5
  8. 記事の話では「正しくクローニングできていない」だけなので
    正しく複製できるクローニング技術が発展していけば、永遠になれるのかね

    それと…正しくコピーできていないのならば、それはクローンなのだろうか?

    • +25
    1. 生物は、もとから完全に正しく複製できることなんて期待していないというのが正解
      無性生殖では、複製される数が桁違いなんですよ
      失敗したものは、消え去るだけなんです
      逆にいえば、成功したものを進化した結果としてみているわけです
      クローンだとDNAの修復機構を正しく使えないとかもあるのかもしれません
      分業が行われている細胞内のDNAは、細胞の種類によって働く部分か違っているわけで、使っていない部分が壊れていても修復されないんですね

      • +1
  9. 天皇家は124代目だけど、
    家系図で見ると継体天皇から54代の孫だ。
    継体天皇は「確実に今の天皇家の祖先」だといえる人。聖徳太子のひいおじいちゃん
    そう考えれば58代は十分すぎると思うね

    • -24
  10. 一方、有性生殖の果ての末代がここに一人

    • +21
  11. つまり百十七世代を数え、一万年の時を生きたマモーは不可能というわけだな。

    • +5
  12. ルパン三世のマモーがああなったのは正しかったんだ!

    • +17
  13. コピーは所詮コピーに過ぎない、たった一種のウィルスによって全滅する可能性は否定できないし、
    なによりコピーでは個性や多様性が生じないのだ、より存在するために複雑多様化しつつ、時にはそれを捨てる。

    • +6
    1. コピーでもコピーミスは起きるから多様化はするけどね
      細胞分裂で増える単細胞生物も進化はしてる
      まあネズミと比べても世代交代が桁違いに早いから成せる面はあるけど

      • +11
  14. 植物はもちろん、動物でもギンブナみたくクローンで繁殖してる種もいるから
    そういう生き物を研究したら限界を突破する方法が見つかるかもね
    ネズミなら素直に有性生殖させた方がいいのかも知れないけど

    • +18
  15. 20年で58代かー
    初期の哺乳類もそんな感じだったかも
    進化も早いわけだ 

    某所にも書いたがテロメアの制限が約50回とか、この実験も妥当な回数だ

    交配すると新しい世代が生まれるだけじゃなく
    エラーの修復も直してることが確認できたね(xxがフォローできるのにxyはできないのに似てる)

    • +19
  16. 何匹のマウスで試したのか分からないけど
    1匹だけならそのマウスでは58代目が限界だったという事になる
    もっと早く限界を迎える事もあるし
    100代経っても大丈夫な事もあるだろう

    • -1
    1. リンクにある山梨大のプレスリリースを見たら、最初に選ばれたドナーマウスは1匹とのこと。
      確かに、ほかの個体だったら?というのは気になる。
      1匹でも研究としては十分と考えられているのには理由があるのかもしれないけど。

      • +8
    2. それに何の意味があるのかな?
      記録を伸ばす処置や投薬して効果を見る訳でもなく
      母数を増やして偶然に長生きしたものをほこる
      大体、クローンの繰り返し限界という基礎的な研究なのだからイレギュラーもあるよってのもわからない
      長生きした人を調べるのに似てるが違う
      こちらは個体の差が大きいから、そこを調べる(遺伝、食事、生活習慣など)意味はある
      せいぜいゲージが隅で人に触られずストレスが低いとか(真逆で程よく触られたからかもよ)
      特に後半からはケアが良くなるからね

      • -3
    3. 同じことを思ったわ
      例えばマウス100匹のそれぞれ何代目かを見ていって平均が58代前後ってんなら説得力あるもんな

      • +3
    4. 試しても見ずに結果を語るってやつだな

      • +1
  17. 紙の書類をコピー機でコピーしてそれをコピーするのを繰り返すと次第に劣化する
    コピーする時に何か失われるんだろうな

    • +6
  18. クローンで増えるクラゲはどんな仕組みなんだろうなぁ。

    • +6
    1. 無性生殖ってだけですね
      サンゴやクラゲは刺胞動物ですから似ている部分があります
      クラゲの場合だと、有性生殖で卵から孵るとサンゴのように岩みたいなものに張り付いて生活するポリプになります
      ポリプが成長するとお椀を重ねたような形ができてクラゲの形が完成すると切り離されて泳ぎだします
      このようにならないものもいるみたいです
      ベニクラゲだと卵を経ずにクラゲからポリプに戻ることができます

      • 評価
  19. 少なくともコピー初代から短命化した上、幾多の薬剤を常用しなければ身体機能も維持できないガンダムシードや、エヴァンゲリオンのような事にはならないという事なのでしょうか?
    ならば、ガンダムシードの金持ちのように、自分の肥大しきったエゴの拡張として自分のクローンを、という者も出て来るのではないかと。
    実際、体の冷凍保存、精神のデジタル化、サイボーグとアメリカの富豪連中は試していて、エプスタイン島のような「治外法権」もあるようですし。

    • -6
  20. 山梨大の若山教授といえばSTAP細胞の研究不正を告発で有名になったマウス研究の第一人者。ネットの陰謀論の連中に無駄に叩かれて気の毒だった。まあ何の素養も知識もないバカの人になんと言われても気にする必要もないんだが。

    • +4
  21. 乱雑性こそが健全を保つ、って捉えると真理な気もする
    地球から生命が発生するまでに限られた素材ではいくらシャッフルしてもそれは発生していなかった、とすれば生命という存在自体がアトランダムという基盤と構造をもって存在しているものなのかもね

    • +3
  22. スターゲート SG-1のアスガード「知ってた」

    • -2
  23. 何にせよ、20年58世代はすげえよ、
    この研究チームに敬意を。

    • 評価

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