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史上初、DNA鑑定によりライオンの殺害と密売で有罪判決(ジンバブエ)

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(著) (編集)

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 ジンバブエで起きた1件のライオン密猟事件が、野生生物にかかわる犯罪の捜査と立証のあり方を大きく変える可能性を示した。

 2024年、同国北西部のビクトリア・フォールズ周辺で、無線発信機付きの首輪を装着したオスのライオンが、密猟者の手にかかり殺害された。

 この事件では、ライオンのDNA鑑定が決定的な証拠として採用され、密猟者の有罪判決が確定したのである。

 ライオンのDNA鑑定が、このような形で刑事事件の有罪立証に用いられたのは、世界でも初めてのケースだという。

押収された部位のDNAからライオンの個体が特定される

  きっかけとなったのは、2024年にフワンゲ国立公園一帯で追跡調査が行われていたあるライオンの首輪から、突然信号が途絶えたことだった。

 異常に気づいた当局が、最後に信号が確認された地点を割り出して現場に直行したところ、ライオンの体毛が絡みついた違法な罠を発見した。

 周辺の聞き取り調査を行った結果、近隣の村に住む2人の男が、ライオン密猟の容疑者として浮上した。

 捜査当局は2人の事情聴取を行うとともに、肉の入った袋が3つ、ライオンの爪16本、歯4本を押収した。

 これらの部位は、ビクトリア・フォールズ野生動物トラスト(VFWT)の法科学ラボに送られ、DNA鑑定が行われた。

 ここで用いられたのは、SNP(一塩基多型)と呼ばれる遺伝的特徴を利用したDNA解析手法である。

 SNPは同じ種でも、個体ごとに異なる特徴を示す。この違いを分析することで、DNAがどの個体に由来するものなのかを高い精度で特定できる。

 この鑑定手法により、押収物が単に「ライオン由来」であるだけでなく、どの個体から来たものかを特定することが可能になったのだ。

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image credit: Instagram @traffic_wltrade

DNA鑑定の結果が証拠となり犯人に有罪判決が

 今回行われた分析の結果、押収された部位のDNAは、無線発信機を装着する際に採取されていた、行方不明のライオンのDNAプロファイルと一致した。

 このDNA鑑定結果は法廷で証拠として採用され、被告はライオンの違法殺害および部位取引に関する罪で有罪と認定され、24か月の実刑判決を受けた。

 野生生物を対象とする犯罪においても、人間の刑事事件と同様に、DNA解析による犯罪の立証が実現したのだ。

 VFWTの研究者は、この判決を受けて次のように語っている。

この技術が使えるようになる前は、私たちにできたのは種の識別だけでした。しかし、それだけでは不十分な場合もあります。

今では爪や製品を、探している特定のライオンの個体と一致させることができます。これは密猟に対する抑止力として機能します。

科学を武器として野生生物犯罪と闘う

 VFWTはジンバブエを拠点とする野生生物保護団体で、救護活動や研究に加え、法科学ラボを運営して野生動物のDNA鑑定を実施している。

 今回のDNA鑑定の背後には、ジンバブエの法執行機関はもとより、「TRACE」と「TRAFFIC」という、野生動物を対象とする犯罪と闘う組織の協力があった。

 TRACEは野生生物犯罪に対抗するための国際的な法科学ネットワークで、DNA鑑定技術の開発や各国への導入支援を行っている。

 そしてTRAFFICは、野生生物とその製品の違法取引を監視・調査する国際NGOで、政策提言や法執行支援を通じて密猟対策に関与している団体だ。

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image credit: Instagram @traffic_wltrade

 TRAFFICは今回の成功事例が、今後の野生生物犯罪の取り締まりにおいて、DNA法科学の活用拡大につながる可能性があるとして評価している。

今回の事件は、DNA法科学が野生生物犯罪の捜査と起訴において、決定的な役割を果たし得ることを示しました。

特定の個体を結びつける証拠があったことが、確実な有罪判決につながったからです。

今回のDNA鑑定は、押収された部位と現場で殺された動物を科学的に結びつけるものであり、今後の野生生物犯罪に対する強力な抑止力になると考えています

 従来の密猟事件の捜査では、押収された部位が「どの個体に由来するのか」を特定することが難しく、立証の壁となってきた。爪や皮といった部位があっても、目撃者がいないケースがほとんどだからである。

 今回のケースでは、DNA鑑定によって個体レベルでの関連性が科学的に証明されたことで、捜査と司法手続きの両面において大きな変化がもたらされた。

 この有罪判決は、単なる1件の成功事例にとどまらない。関係者はこれを、野生生物犯罪の捜査と訴追の在り方が大きく変わる転換点だと位置付けている。

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image credit:photoAC

宝くじからの資金で進む野生生物「法科学」

 また、TRAFFICのエグゼクティブ・ディレクターであるリチャード・スコビー氏は、この判決について次のように述べている。

この有罪判決は、単なる成功ではありません。野生生物犯罪の捜査・訴追方法に大きな変革をもたらしたのです。

People’s Postcode Lotteryの参加者の継続的な支援により、各国は科学に基づいた確かな証拠を法廷に持ち込める鑑識能力を獲得しました。

これはアフリカ全土におけるライオンの保護と、野生生物に関する法執行の強化につながっています

 People’s Postcode Lotteryとは、イギリスで運営されている慈善目的の宝くじで、郵便番号(ポストコード)をもとに抽選が行われるものだ。

 くじの参加者から集められた資金の一部が、環境保護や野生生物保全などの公益活動に充てられている。

 今回のライオン密猟事件では、この資金がTRACEやTRAFFICを通じて提供され、DNA鑑定を行うラボの整備や、捜査官・検察官への訓練などに使われた。

 People’s Postcode Lotteryの慈善部門責任者であるローラ・チョウ氏は、次のように語っている。

過去8年間で210万ポンド(約4億3,900万円)の支援が、ジンバブエをはじめとする地域の野生生物法科学の強化に役立ってきました。

その成果が、特定のライオンを殺害した密猟者を法科学的に立証するという、世界初の判決につながったのです

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image credit:photoAC

 なぜ百獣の王ライオンが、密猟の対象となってきたのだろうか。実はライオンは、世界で最も取引されている大型ネコ科動物の1つとされているのだ。

 その体の部位は、アフリカの一部地域では装飾品や文化的用途に使われ、アジアでは伝統医療の市場で取引されることもある。

 これまで野生生物の密猟事件を起訴までもっていくには、間接的な証拠に依存するケースが多かった。

 しかし今回の判決は、野生生物に関する事件でも、厳密な法科学的手法での捜査と立証が可能であることを示すこととなった。

 これは野生生物の密猟・密輸との闘いにおける新たな時代の到来を告げるものであり、科学が密猟者の逃げ道を狭め、責任を問う力を持ち始めたことを示す象徴的な事例だと言えるだろう。

References: Traffic

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この記事へのコメント 7件

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  1. それで肝心の刑罰は?

    • -12
  2. 24か月の実刑って・・・
    流石に軽すぎないか?
    もっと重くしないと、リスクの軽さから再犯や密猟しようとする奴が後を絶たなくなっているんじゃないの?

    • +17
    1. ほんとそれ、
      密猟なんて許せない。

      • 評価
  3. 次からは首輪がないやつを狙うんだろうな、
    貧困だからと違法な事をする奴は日本人でも外人でもみんな消えていい

    • +8
  4. 以前ケニアでは密猟者はその場で射殺できる法律があったはず
    このくらい厳しくしないと野生動物はどんどん滅びていく

    • +11
  5. 買い取り・仲介・客を重刑にしなきゃ
    無くならないだろうね。
    最もお偉いさんがストップかけるだろうが。

    • +8
  6. 三兄弟A「かーちゃん、お腹空いたー」
    B「オレも」
    C「オラもー」

    母(。。。。。)

    • 評価

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