この画像を大きなサイズで見る約1億5000万年前のジュラ紀を生きた「始祖鳥」は、恐竜から鳥への進化を解き明かす上で最も重要な生物の一つだ。
アメリカ・シカゴのフィールド自然史博物館を中心とした研究チームによる最新の調査で、始祖鳥の化石の内部に現代の鳥と全く同じ「口の構造」を発見した。
この発見は、始祖鳥が不完全ながらも自力で羽ばたいて飛んでいたという仮説を裏付けるとともに、飛行に費やす膨大なエネルギーを賄うため、口内が「咀嚼を省き、瞬時に飲み込むための構造」に進化していた可能性を明らかにしている。
この査読済みの研究成果は、『The Innovation』誌(2026年2月2日付)に掲載された。
始祖鳥とは
始祖鳥(Archaeopteryx)は1861年、ドイツのバイエルン州にあるジュラ紀後期(約150,000,000年前)の地層から最初の骨格化石が発見された。
全長は約50cmで現代のハトに近い大きさだが、顎の歯や翼の鉤爪、長い尾の骨といった恐竜の特徴を色濃く残している。
爬虫類と鳥類の中間的な特徴を持つ進化論の重要資料として、発見当時から注目を集めてきた。
かつては現生鳥類の直系の先祖とみなされていたが、現在は、現代の鳥へと続く系統から枝分かれし、そのまま絶滅した「現代の鳥の親戚」という立ち位置が定説となっている。
現代の鳥の直接の祖先ではないが、恐竜が空へと適応していった当時の進化の到達点を示す極めて貴重な標本である。
始祖鳥の飛行能力については、長年議論が続いてきた。
現代の鳥のような強力な胸筋を支える「竜骨突起」がないことから、高い所から飛び降りるだけの滑空しかできなかった(滑空説)とする見方がある一方、羽の左右非対称な構造や骨の強度から、不完全ながらも自力で羽ばたけた(羽ばたき説)とする説も有力視されている。
もし羽ばたいて飛んでいたならば、地上を走行するよりも圧倒的に多くのエネルギーを消費したはずであり、生存には効率的な栄養摂取が不可欠となる。
この画像を大きなサイズで見る最新技術で発見された「光るトゲ」と「舌の骨」
今回の研究に使われたのは、2022年に博物館へ届いた「シカゴ・始祖鳥」と呼ばれる13番目の標本だ。
化石のクリーニングを担当するフィールド自然史博物館の新谷明子氏らが1年以上かけて岩石を少しずつ取り除いた。
この画像を大きなサイズで見るその作業中に紫外線(UVライト)を当てたところ、頭蓋骨の中で「光る点」が見つかった。分析の結果、これは現代の鳥の口の天井にある「口内突起(こうないとっき)」という肉のトゲであることがわかった。
さらに精密な調査を進めると、始祖鳥の口内には現代の鳥に近い高度な仕組みが揃っていた。
人間の舌には骨がないが、現代の鳥には舌を支える骨のセットである「舌骨(ぜっこつ)」がある。
始祖鳥の化石からもこの微細な骨が見つかり、筋肉がつく場所も確認された。
これにより、始祖鳥が現代の鳥のように舌を器用に動かして、獲物を効率よく喉の奥へ押し込んでいたことがわかった。
また、発見された口内突起には、捕まえた獲物を逃がさず喉へと誘導し、食べ物が間違って気管(空気の通り道)に入らないように守る役割があった。
加えて、CTスキャンで調べたところ、クチバシの先に神経が通る小さなトンネルが見つかった。
これは「ビル・チップ・オルガン」と呼ばれる器官の跡で、暗い場所や泥の中でも獲物を正確に探し当てるための高性能なセンサーとして機能していた。
この画像を大きなサイズで見る「飛ぶ」ために進化した「口の構造」
空を飛ぶという行動は、歩いたり走ったりするのと比べて、最も多くエネルギーを使う。
今回の発見は、恐竜が空へ進出する際に、翼という外見の進化と並行して、現代の鳥と同じ「口の中の仕組み」をすでに完成させていたことを示している。
これにより始祖鳥は、単なる滑空ではなく、不完全ながらも自力で羽ばたいて飛んでいたという仮説を裏付けるものとなった。
なぜなら、もし始祖鳥が羽ばたいていなかったのであれば、これほどまでに現代の鳥にそっくりな「食事の効率を極限まで高めるための口の構造」を、わざわざ進化させる必要がなかったからだ。
本論文の筆頭著者であるフィールド自然史博物館のジンマイ・オコナー博士は、噛んで咀嚼する時間を省き、すぐ丸呑みして素早くエネルギーに変えるこの仕組みこそが、激しくスタミナを消費する「羽ばたき飛行」生活を支えるための不可欠な条件であったと述べている。
翼という外見の進化と、現代の鳥と同じ補給システムという内面の進化。
この2つが揃っていたという事実は、始祖鳥が実際に自力で空を飛ぶためのエネルギー要求に応えていた何よりの証拠になるという。
References: Elsevier.com / Eurekalert
















うーんエネルギーの話なら、消化にエネルギー使っちゃってるのでは?他の動物が噛み砕くのは、消化を助けるためだから、飲み込むのが効率いいなら他の動物もそうするのでは。蛇もそうだし。
重い歯や顎の筋肉を捨ててバランスを取った、てのが定説だったような。
丸呑みしたあとは砂肝ですり潰してるものね。ああ砂肝食べたくなった
逆に今の鳥が飛ぶために丸飲み派なんだと知れた記事だった。
「効率的な口の構造」というのは飛ばなくてもメリットあるだろうから
自力飛翔していた証拠としては少し弱い気もするな
もちろん始祖鳥が自力飛翔していた可能性は十分あるだろうけど
始祖鳥もやっぱり食べると鳥の味なんやろうなあ、、
始祖ジュラ
ダチョウは飛ばないで、走り回ってる。雉もよっぽどのことがなければ、飛行しない。ヤンバルクイナは歩き回って、陸上が好き。でも、あの嘴。
口の構造が現代の鳥に似てるからって、それだけで、飛行できた、飛行していたと言えるのか。
天邪鬼で、ごめんなさい。
そりゃだって例として挙げている鳥たちは飛べる鳥から枝分かれしたものだし。変える必要のない部分はそのままなだけかと。
飛ぶのは物凄い労力が必要。小鳥を飼えば解るけど、鳥は飛ぶ必要が無くなる(飼育下で外敵から逃げる必要もなく、探しに行かなくて食べ物が手に入る)と、ほとんど歩いて移動するようになる。
鳥は「飛ぶことで生存競争を勝ち抜こうとした」戦略に従い飛行能力を確保・進化し
広く拡散した後に生息域によって、飛ばなくても生存できる生き方を確立した種がいる”だけ”なの
ようするに、「種全体は飛ぶ進化」をしたが、そのあとで一部が「飛ばない選択」をしただけです
そもそもで最初から「飛ばない」進化をするならば、前足を翼の形状に変化させることが非効率
四つ足を効率的に使える方が、生存上ははるかに有利だし、効率的なのです
鳩さんくらいのサイズなんですね。
ということは鳩を少し恐竜風にコスプレさせれば始祖鳥のイメージになると…。
結構かわいいかも。
化石の形見たら鳥としか思えんから今更これ見よがしにそんなこと言われても何の感動もないわw
DNA分析などができない化石の分類などは
そういった古典的系統分類学を元にやるしかないけど
細かく分析できる試料があるのに「単純な見た目で終わり」で済ませるのは
分類上のミスを誘発するし、そもそも学問ではないですね。子供のおつかい
歯の有無と飛行能力の関係、興味深い!
関連してぐぐったところ、こちらの記事も面白かったです。
https://buna.info/article/3518/
あと、始祖鳥とは別系統ですが、翼竜は咀嚼と飛行の関係はどうだったんだろうと気になりました。
プテラノドン 歯が無い たぶん滑空スタイル 大型種が多い
→軽量化のために歯を捨てた?
ランフォリンクス 歯がある 羽ばたき飛行の可能性あり 小型種が多い
→体が軽いから歯があっても飛べた?
空中で昆虫を逃がさないために歯が必要?
古い種なので歯を無くす途中だった?
人間含めて生物の形が変化する動機やメリットがひとつとは限らないし、正解が分からないまま無限に推理を楽しめるところも恐竜の魅力なので、やっぱり古生物はおもしろいです
足の骨の感じから、木登りしてたよりは走ってたまに滑空していた、という解釈が妥当に思える。口の形状は、栄養効率のためっていうのはピンとこなかった。丸のみしても結局消化には時間とエネルギーは必要だろうから。むしろ飛翔に必要な全体の筋肉バランスの都合上、咀嚼筋や大きな歯の並んだあごが不要な形態になったんじゃないかな。
骨格的に羽を強く動かす為の骨が無いのはどう説明してくれるのかな?
新しい発見があったのなら知りたいです。
嘴でも噛めるように進化したオウムの仲間は丸呑みした餌の硬い殻を筋胃ですり潰すよりも効率よい食事が可能になったんだろうか 鳩や鶏が猛烈に餌を飲み込むのに対してひと粒ずつ噛み噛み食べるインコを見てると何とも言えない