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数百年を生きるニシオンデンザメは視力も老いない。DNA修復の秘密に迫る

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ニシオンデンザメ Image credit:Ghislain Bardout
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 北極圏の深海に生息するニシオンデンザメは、脊椎動物で最も長寿な種として知られているが、最新の研究によって眼球の働きも衰えない可能性が浮上した。

 多くの個体は目に寄生虫を宿しているため長年、ほとんど目が見えないと考えられてきた。

 だが、実際には深海の青い光を敏感に捉えており、その網膜細胞は数世紀を経ても老化による衰えが全く見られない状態を保っていたのだ。

 この驚異的な細胞の老化を食い止めているのは、特定のDNA修復遺伝子の働きだという。

 この発見は、緑内障や加齢黄斑変性といった、人間の失明につながる目の病気を解決するための重要な手がかりとなる。

 この研究成果は『Nature Communications』誌(2026年1月5日付)に掲載された。

数世紀を生きる長寿な脊椎動物、ニシオンデンザメ

 北大西洋から北極海にかけての寒冷な海域に生息するニシオンデンザメは、地球上で最も寿命が長く、最も成長が遅い脊椎動物の一種だ。

 グリーンランド周辺に生息することから、英語では「グリーンランド・シャーク」と呼ばれている。

 過去に行われた眼球水晶体の放射性炭素年代測定によれば、彼らが成熟して繁殖可能になるまでには150年前後を要すると推定されている。

 寿命の推定範囲は272歳から512歳と幅があるが、統計的に最も可能性が高い数値でも400年近い。

 これは、現在生きている個体の中に、室町時代や戦国時代から北極の海を泳ぎ続けているものが存在することを意味している。

 これほどの長寿を可能にしているのは、極低温の環境下における極めて低い代謝率だと考えられてきた。

 代謝が低いということは、エネルギーをあまり使わず、体がゆっくりと時を刻むことを意味する。 

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長寿なことでしられているニシオンデンザメ public domain / Wikimedia

ニシオンデンザメの目は機能しているのか?

 その一方で、彼らの視力に関しては「ほとんど機能していない」というのがこれまでの定説だった。

 多くの個体の眼球に寄生虫が付着しており、物理的に視界が遮られていると考えられていたからだ。

 しかし、アメリカ・カリフォルニア大学アーバイン校の生理学者、ドロタ・スコヴロンスカ=クラブチック博士は、映像の中のサメが眼球を動かし、光を追っていることに気づいた。

もし本当に目が見えていないのなら、長い進化の過程で目は退化してなくなるはずです。進化論的に見て、機能しない不要な器官を持ち続ける生物はいません(クラブチック博士)

 博士は、サメが目を動かすことこそが視力を維持している証拠だと考え、その謎を解明するために国際的な研究チームを結成した。

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目が見えないと思われていたニシオンデンザメ Image credit: Hemming1952 /  Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

深海を生き延びるために特化された目

 2020年から2024年にかけて採取されたニシオンデンザメの眼球がラボに届いた際、博士課程のエミリー・トム氏はその大きさに衝撃を受けた。

 彼女たちが普段扱うマウスの目は植物の種のように小さいが、ドライアイスに乗っていたのは、推定200歳のサメから摘出された「野球ボール」ほどの大きさの眼球だったからだ。

 網膜の詳細な分析により、ニシオンデンザメは色を識別する「錐体(すいたい)細胞」を完全に捨て去り、暗所用の「桿体(かんたい)細胞」に特化していることが判明した。

 その感度は深海に届く唯一の光である「青色(波長458nm)」に合わせて調整されている。

 また、眼球にカイアシ類(寄生虫)が付着していても、角膜は依然として66%から100%の光を透過していた。

 ニシオンデンザメは目が見えないどころか、深海のわずかな光を逃さない究極の夜間視力を備えていたのである。

DNA修復遺伝子が網膜の老化を防いでいた

 今回の研究における最大の発見は、100歳や130歳を超える個体であっても、網膜に細胞変性の兆候が全く見られなかったことだ。

 通常、人間の網膜は加齢とともに劣化する。

 これまでサメの長寿は「代謝が低い」ことが理由だと考えられてきたが、それだけでは数世紀も細胞が劣化しない理由の説明がつかない。

 研究チームは網膜の分子レベルの解析を行った結果、細胞内で「ercc1」や「ercc4」といったDNA修復遺伝子が非常に活発に働いていることが判明した

 この修復遺伝子が網膜細胞を常にメンテナンスし続けることで、眼球の老化を物理的に防いでいたのだ。

 研究チームは、このメカニズムを応用すれば、人間が加齢とともに発症する緑内障や加齢黄斑変性といった、網膜の劣化によって視力を失う病気を根本から治療できる可能性があると考えている。

References: News.uci.edu / Nature

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この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. 老化の治療は早く実用化して欲しいもんだ

    • +14
  2. 視点が右往左往して何が主題なのかわからない記事

    • -20
    1. あんたは存在時代が右往左往してるけどな
      特大ブーメラン乙

      • -3
  3. サメは癌にもかからないって言うし特殊すぎる遺伝子持ってるんだろう

    • +9
    1. 何億年も前からあまり姿が変わらないのとか見ても
      「遺伝子の変化を抑制する力」が強いのかもね

      • +13
  4. 神経細胞が死滅してしまう問題にはどうやって対処しているのだろうな

    • +5
  5. 頑丈さ、長寿命さの秘訣はやはりメンテナンス…細やかな修復!
    寄生虫に物理的に邪魔されてなければ何の問題もなく見える目を数世紀に渡って維持できるなんてやっぱサメパイセンは違うぜ

    • +6
  6. 紫外線が届かないことと、酸素量が少なくて結果として体内で活性酸素が多く生じないことなどから、DNAの損傷自体も少なそう

    • +15
  7. 暗い海底で400年以上も生きるってどんな人生、
    いや鮫生だろうなぁ、、、

    • +13
    1. 青く差し込む光が美しいと思ってるかも
      暑くも寒くもなく、ご飯は美味しいし良い匂いもする素敵な場所なのかも
      長寿の秘訣にストレスが無いっていうのもありそうだから、彼らは楽園にいる可能性がある

      • +3
  8. ワニやペンギンのマークのブランドはあるけど
    サメのマークのポロシャツや靴下や車ってあんまり
    売ってるの見たことないな。サメはブランドのイメージに
    合わんのか。サメのマークの歯磨き粉や歯ブラシって
    売れそうだけど。大げさ・紛らわしいに該当するのかな。

    • +3
    1. 鋸のブランドでSHARK SAW(シャークソー) ってのがあるの。

      • +2
    2.  たしかに、あまりないですね。
       思い出してみると Wireshark (ネットワークの生データを可視化するソフトの名前)がサメの背びれをモチーフにしたロゴとかアイコン使ってるのを知ってるくらいかな。 仮に海で速く泳ぐとかそういったイメージだと体系的に似たイルカのデザインを採用しちゃうのではないでしょうか

      • +1
    3. マークではないけどsharkって名前まんまの掃除機がありますね
      掃除機本体の形が言われてみればサメっぽい感じで愛用してます

      • +1
  9. 性成熟まで150年もかかってて絶滅の恐れないのかな?

    • +8
    1. 出産可能なお年頃が長かったら
      種全体で産んだ卵の数がそれなりに多くなるだろうから
      別に大丈夫なんじゃね?

      • +3
  10. これは「青色(波長458nm)」のみに特化した修復として
    メンテナスを維持できていると思うべきなんだろう
    局所カスタマイズすればなんとかなるというのはとても受け入れやすい
    また「青色(波長458nm)」のみにこだわっていたからこそ自力で切り開けたんだろう
    寄生虫の関与があるのかどうかは気になるけど
    飛蚊症とさして変わらないのかもしれない

    • +4
  11. カイアシだったのか。。。
    寿命はオンデンより短そうだけど、眼球上で繁栄するのかしら

    • +4
  12. ニシオンデンザメ
    関西の練り物のおでんを思い浮かべた。

    • +2
    1. おなじく

      でも関西では「関東炊き(かんとだき)、関東煮(かんとに)」って呼ぶみたい?

      • 評価
  13. 錐体は衰退しました
    暗視ゴーグルみたいな視界なのね

    • +2
  14. ファンタジー世界の長命種が現実にいた!
    ということは定番のエルフもオンデンザメみたいに低体温なんだろうか?

    • 評価
  15. 「遺伝子を修復する遺伝子」だってタダでは済まん筈やが、あるだけでも寿命が段違いなんだろうな

    • +2

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