この画像を大きなサイズで見る世界各地で発生している野生動物の密猟は、自然保護の観点からも、依然として見過ごすことのできない大きな問題となっている。
世界中で、今この時も密猟者の銃が動物たちの命を奪い続けている。だがジャングルの奥で響く銃声は、人間の耳には届かず、監視の網をすり抜けてしまう。
今、その「音」を手がかりに、密猟者の位置を特定するシステムが誕生しようとしている。AIがジャングルの「音」を解析し、銃声を検出して位置を割り出すのだ。
このシステムが実用化されれば、密猟者たちの居場所をリアルタイムで特定し、迅速な摘発に繋げることが可能になるかもしれない。
銃声で正確な位置を割り出すシステムを開発
このAI音響システムは、2025年12月1日からハワイで開かれていた、アメリカ音響学会(ASA)と日本音響学会(ASJ)の第6回合同大会で発表された。
開発したのは米コーネル大学・生物音響保全センターの、ナヴィーン・ダール氏が率いるチームである。
彼らは Elephant Listening Project(ELP)と協力し、違法な密猟の銃声を検知するための、新しいAI音響システムの実用化を目指しているという。
これは中央アフリカの熱帯雨林に設置したマイクと、軽量なニューラルネットワークを組み合わせ、リアルタイムに「本物の銃声」だけを選び出そうというものだ。
象の鳴き声でその位置を割り出すシステムは、すでにELPが長年使ってきたものだ。下の動画は、ガボンの森で鳴く象の位置を、音の到達時間の差から割り出す様子を示したアニメーションである。
自然音と銃声の区別の難しさ
本来は森林に暮らすマルミミゾウの生態を調べるための音響研究だったが、設置した音響レコーダーが密猟の銃声を頻繁に拾うようになったことから、研究チームは銃声検知用の人工知能へと応用を広げたという。
ASAによると、同様の仕組みで銃声を検知する音響センサー「自律型録音装置(ARU)」は、既にジャングルの各所に設置されているんだそうだ。
理論上、これらのセンサーネットワークは密猟の際に発生した銃声を拾い、法執行機関や保全担当者に位置を知らせるはずだった。
しかし実際には、熱帯雨林にあふれる自然音と銃声を区別するのが難しく、その精度は十分とは言えなかった。
例えば鳥のさえずりなどは簡単に区別できるが、枝が折れる音や木が倒れる音などの破裂音は、しばしば銃声と混同してしまう。
その結果、誤報だらけになってしまい、実用的とは言えなかった。誤報と判断するにも、音声を人間が一つひとつ聞いてチェックしなければならず、大変な手間とコストがかかってしまうのだ。
そこでダール氏のチームは、最新のニューラルネットワークの計算能力を活用する方向に舵を切ることに。
彼らはリアルタイムで銃声とそれ以外の音を迅速に区別できる、センサーといっしょに設置できる小型デバイスを開発を目指すことにした。
この画像を大きなサイズで見るセンサーとAIがリアルタイムで銃声の位置を特定
この新しいシステムは、ARUの一台一台が、小さな「耳+脳」として機能する。まず、すべての音声から「銃声と思われる」信号をフィルタリングし、ARUのマイクロプロセッサに送信する。
このマイクロプロセッサには、軽量の銃声検出モデルが搭載されており、AIが銃声かどうかの判定を行う。
ここで銃声と判断された場合、ARUはその情報を中央ハブに送り、ネットワーク上にあるほかのデバイスからのデータ収集を開始する。
もしも離れた地点にある複数のデバイスが、ほぼ同時刻に同じような信号を拾っていれば、それは本物の銃声である可能性が高くなる。
中央ハブが各ARUから届いた音声ファイルを収集・保存・照合し、最終的に銃声だと判断した場合は、その位置を正確に特定し、「密猟への即時介入のためにレンジャーに座標を知らせる」のだ。
言ってしまえば、これは「ジャングル版の銃声検知システム」だと言えるかもしれない。
この画像を大きなサイズで見る類似の銃声検知技術はすでにアメリカで実用化、その課題
同じような銃声検知技術は、すでにアメリカの大都市では実用化されている。
ビルなどに設置されたマイクが銃声を検知しすると、音の到達時間から発砲地点を割り出し、数十秒以内に地図上に表示。警察に通報する仕組みである。
もっとも、誤検知や費用対効果をめぐる論争が続いており、契約を解除する都市もあるという。
精度向上を目指してモデルを拡張
この装置が、今後進むであろうIoTインフラの改良や材料費の削減と結びつき、地球上のどこでも使える、低コストでオープンソースの「リアルタイム検知システム」として普及することを期待しています
このシステムは現在まだ開発中だが、実地テストを行う前に、発砲音から銃の種類を判別したり、チェーンソーやトラックなどの他の人為的な活動音も識別できるよう、モデルを拡張したいと考えているそうだ。
将来的には、この装置はレンジャーや自然保護管理者のツールとして使用され、密猟者の時空間的傾向に関する低遅延データとともに、現場での介入のための正確で検証可能な警告を提供できるようになるでしょう
この研究の詳細は、2025年12月2日に米国音響学会(ASA)が発表したプレスリリースで紹介されている。
References: Acoustics














密漁するよりこの高性能なマイクやら送信設備盗んで売った方が金になるわいってなりそう。
密猟者に銃を売るほうが実際に儲かるからね。
象牙は禁止されてもゾウを殺せる威力の銃は禁止されない。
アフリカの象牙密猟は、もはや単なる密猟者レベルではなく、武装勢力の資金源になっている。
イラクやリビアなど、独裁国家が崩壊した影響で軍隊レベルの武器が流出しており、密猟を取り締まるレンジャー隊程度の戦力では太刀打ちできないのが現実です。
以前は象牙の輸入国として印鑑材料に使う日本があったけど最近の人って象牙の印鑑とか作るんかね?
密猟者もそれを雇ってる奴らもどんどん見つけ出して始末してほしい
密猟地に銃声のAI識別が必要な中央アフリカ森林 ⇒ 残念なことだが、まぁ解る
都市部に銃声のAI識別が必要な先進国アメリカ ⇒ えぇ……
銃声から方角を探るシステムはWW2ではすでにあるシステムで、特段新しいシステムでもない。今回はAIがと言う部分が革新的という話し。音は温度や湿度で微妙に変化するので、方角がわかっても正確な距離の判別が難しかった。それが今回はかなり正確な位置まで簡単に絞り出せるということ、そして軍のように高額な設備投資も不要ということで素晴らしいねって話し。ちなみに米軍もイスラエル軍も銃声から方角や位置はもとより銃の種類まで識別できる。別に銃じゃなくても高射砲でもミサイルでも識別できるし、まさかの飛んできた方向や場所も割り出せる。
戦場ではそこまで進んでるんですね。 参考になります。 原理でいうと三か所で拾えればその音源の水平位置が確定できますね。 ジャングルの中で銃声と区別が難しい音ってそんなにあるのかななどとちょっと疑問ですが、 AI 利用で見つけられれば急行しやすいなと。 たとえばドローン飛ばしてそこにいる人を、保安官が到着するまで追跡できたり、あるいはアジトを発見できるかも?
そういえばAIの誤検知でポテチの袋持ってた少年が銃を持ってると勘違いされて制圧された事件あったよね。精度が高ければ便利だけど誤検知がね…
アメリカの都市部で実用化されているのは、発砲事件が起きても通報されないというのが理由の一つ。その点は密猟も同じだね。
問題は、都市部では既存のスマート街灯のネットワークを流用してコストを下げているけど、ARUのネットワークをどう構築するか(スターリンクでも使う?)と現場に行っても後の祭りにならないか。
マルミミゾウ…
メスが日本に居たら
必ずマルミと名付けられる宿命