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ウミガメの密猟ネットワークを暴け!GPS内蔵の偽の卵で追跡調査(コスタリカ)

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(著) (編集)

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GPSを内蔵した偽の卵でウミガメの密猟業者を追跡 /iStock
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 砂浜で懸命に卵を産むウミガメの姿は、どこか胸を打つものがある。しかしながら、そうしてこの世に生を受けた子供たちにはいくつもの試練が待ち構えている。

 孵化する前に食べられてしまう子もいれば、海を目指している途中、命を落とす子もいる。海にたどり着いてもそこには多くの捕食者が待ち構えている。運よく大人になれるのは、孵化した子供1000匹のうち1匹程度しかいないという。

 それが自然淘汰というのなら仕方がない。だが、そのカリキュラムに含まれていない脅威があるとすれば問題だ。人間の密猟業者の存在だ。

密猟によりウミガメの数が激減

 現在、違法な野生動物の取引は、年間およそ8400億~2兆8000億円に達すると推定されている。しかし、警察などの対応は後手に回っており、取締りは思うように進んでいないのが現状だ。

 人間が乱獲することで、ウミガメの個体数は減少する一方で、このままでは海の生態系が完全に壊れてしまう。

 そこで、おとりを使った潜入捜査で、そうした密猟による被害を食い止めようと考える科学者たちが現れた。

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ウミガメの赤ちゃん / Pixabay

偽の卵にGPSを搭載した潜入捜査官

 潜入捜査といっても、生身の人間を密猟ネットワークに潜り込ませようというのではない。潜り込ませるのは、フェイクの卵だ。

 『Current Biology』(10月5日付)で紹介されているのは、3Dプリンターで本物そっくりに作られた偽の卵だ。卵(egg)と捜査官(investigator)をかけて、その名を「InvestEGGator」という。

 その内部にはGPSの発信器が内蔵されている。密猟者がウミガメの卵と見誤ってこれを拾ってしまえば、その後の行動は筒抜けになる。

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image by:Paso Pacifico

 米ミシガン大学のキム・ウィリアムズ=ギレン氏によると、そのヒントになったのは人気海外ドラマ『ブレイキング・バッド』と『ザ・ワイヤー』だったそうで、次のように語っている。

ブレイキング・バッドでは、麻薬取締局が化学物質のタンクにGPS追跡デバイスを取り付けて、受取人を捜査するシーンがありました。

またザ・ワイヤーでは、麻薬の売人を捜査する警察がテニスボールに盗聴器をしかけています。ウミガメの卵は卓球の球のような感じで、私たちはその行方を調べたかったわけです。そんなことから、InvestEGGatorは誕生しました。

コスタリカの密猟ネットワークを解明

 フェイク卵の潜入捜査官がただアイデアとして優れているだけでなく、実際に効果的であることが証明されている。

 実験として、密猟が頻発しているコスタリカのビーチにフェイク卵を101個しかけてみたところ、密猟者はまんまとこれに引っ掛かり、その売買ネットワークを解明することに成功したという。

 その行先はさまざま。ある卵は住宅に持っていかれ、そこで通信が途絶えた。また別の卵は、数キロ離れたバーに持ち込まれた。

 中には137キロ先にあるスーパーの搬出口まで運ばれ、そこから別の住居に持ち込まれたものもあった。売られたのではなく、その家で売人に引き渡されたのではないかと研究グループは推測している。

 さらに密猟者の中には、すでに警察に知られている人物が多いことも判明したという。

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image by:Helen Pheasey

 この実験では、ほとんどの卵は数キロ圏内に運ばれるだけだったそうだ。つまり密猟には地元の人間が深く関与しており、その防止にはコミュニティの意識改革が必要であるということだ。

 ウィリアムズ=ギレン氏は、ただ逮捕するだけではダメだと述べている。教育を通じてウミガメの大切を伝え、同時によりよい経済的な機会を作り出し、さらに密猟との戦いを支援するなど、複数のアプローチで取り組むことが大切なのだそうだ。

References:phys / smithsonianmag / inverse/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

  1. 懐中電灯で照らせば偽物の卵ってすぐばれてしまうのでは・・・

    • +2
  2. 地元の人が消費してるのなら自然な事なのでは?

    • -13
    1. ※3
      地元もルールとして守ろうといってる中で守って無い人がいるのならそれは問題では?
      日本だって昔はツグミ食べてても、禁止されて食べちゃいけないものになったわけだし

      • +9
  3. 養殖して産業化してスッポンくらい
    身近な食材にしてしまえば滅びる心配が
    なくなるけどウミガメ養殖を産業化する
    権利はディステニーチャイルドに
    抑えられているんだよね…。

    • -2
  4. 教育しても無駄じゃねえの
    極寒のシベリアに投げ捨てて1年位切れたら罪減免ににしないと
    また同じことやると思うぞ

    • -1
  5. カメバズーカみたいな着ぐるみで待ち構えるのかと

    • +2
  6. ウミガメなんてマニアでも飼育しないから販売ルートなんてねーだろと思ったが地元民が食ってんだな。

    • +3
  7. ウミガメの卵食べるのか
    食は千差万別だな…

    • +1
  8. 密漁って卵食べるの⁈
    もっと別の、、育ててからの骨格標本やら鼈甲系かと思ったわ。

    • +6
    1. ※14 イヤー育てるの大変だろう。ミドリガメとちがって。

      • 評価
  9. キューバでは武装監視員を巡回させて卵の採集を防いでいる。でないと地元の貧民がタダだから喜んで取りまくるんだと。

    • +6
  10. いいアイデアだと思ったが…
    あっという間に本物とフェイクの見分け方が広まってしまう気がする。
    密猟は勿論、地元の人間がグルになって乱獲しているってことは
    卵そのもの美味さはどうなのか分からないが、
    希少価値もありそうだし、いい金になるんだろう。
    例え住民に絶滅の危機を訴えるたとしても
    そこに手軽なものが転がっている限り、阻止するのは難しいかもしれない。

    • +1
  11. 主な最終購買者が地元住民だって判明した事が重要では。

    どこか遠くの金持ちが大金払ってこっそり食べるより
    近所のおっちゃんが、禁漁なのは知ってるけど昔から季節の珍味的に食べている方が多いなら、こちらを主に対策を打てる。

    • +5
  12. 牛豚魚はいいのに亀だとダメなのなんで?

    • -5
  13. 地元民が食べるのだったら生態系の一部としてバランスとるのが一番だろうけど、商業目的で密漁するんだろうな
    観光客も買って食べるみたいだし

    • 評価
  14. 数十年前に読んだ本によると(場所はアマゾンだったかな?)
    エッグノッグ(ミルクセーキ)のようにして、一種の男性の
    強壮剤として人気だったようだ。

    • 評価
  15. 卵を食べる野生動物が死ぬのは良いのか!?

    • 評価
    1. ※24 調査の結果、卵を食糧にしている他の生物の
      絶滅は心配されていないからだろう。
      別に食べ物があるはず。ウミガメが絶滅したら、
      卵を当てにする生物にも影響がある。

      • 評価
  16. 地雷の敷設もした方が密猟者に対して効果ありそう。副次的な悲劇も全て密猟者のせいにすればなおのこと良い

    • -2
  17. 食べるもののない地元の人や
    仕事のない密猟者のために
    社会的サポートもないと・・・

    • +1
  18. 保護団体が世界に寄付を呼びかけ
    海岸にセンサーやカメラを付けて
    24時間監視して
    産んだ卵は取り出して
    人工ふ化すればいいじゃない?
    ウミガメの危機なら、世界の金持ちがすぐ寄付するでしょうに

    • 評価

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