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オレンジ色の地衣類が教えてくれる恐竜の化石のありか

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Image credit: University of Reading / linkedin
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 恐竜の化石を見つけるのは、経験と運に頼る気の遠くなるような作業だ。だが今回、カナダの研究者たちは新たな「目印」を見つけた。 /

 オレンジ色の地衣類が、恐竜の眠る場所を教えてくれるというのだ。

 この地衣類は恐竜の骨の化石の上に好んで生える特性を持ち、その鮮やかな色は、上空からドローンでも発見できる。

 この方法が広まれば、新たな恐竜発見のニュースが次々と報告されるかもしれない。そう思うと、なんだかワクワクしてきたぞ。

この研究成果は『Cell Reports』誌(2025年11月3日付)に掲載された。

カナダの恐竜州立公園で見つかった「オレンジ色の目印」

 イギリス、レディング大学のブライアン・J・ピクルス氏が率いる研究チームは、カナダ・アルバータ州の州立恐竜公園で調査を行った。

 ユネスコ世界遺産にも登録されているこの場所は、白亜紀後期の化石が世界で最も多く出土する地域として知られている。

 研究チームは現地で地表に露出した化石の骨と周囲の岩石を比較調査した。

 その結果、Rusavskia elegansとXanthomendoza trachyphyllaという2種類のオレンジ色の地衣類が、化石の骨の表面に集中的に生えていることがわかった。

 化石の表面の約50%が地衣類で覆われていたのに対し、周囲の岩石では1%未満だったという。

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Image credit: University of Reading / linkedin

 地衣類とは、カビなどの菌と光合成を行う藻が力を合わせて生きる共生生物のことだ。見た目はコケに似ているが、まったく別の存在である。

 これらの地衣類がオレンジ色に見えるのは、アントラキノンという色素によるものだ。この鮮やかな色が、化石発見の鍵となる。

 地衣類は特有の光の反射パターン(スペクトル)を持っており、ドローンに搭載した特殊カメラで撮影すると、他の地表とは異なる波長の反射を示す。

 青い光はほとんど反射せず、逆に赤外線領域では強く反射するため、空から見れば「オレンジ色の光の地図」のように浮かび上がるのだ。

 研究チームはこの反射特性を利用して、上空30mからドローンで地表を撮影し、AIによる解析を行った。

 その結果、画像中の地衣類が生えている化石部分を正確に抽出することに成功した。まるで化石が自ら目印を灯しているかのように、オレンジの点が地表に散らばって見えたという。

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Image credit: University of Reading / linkedin

なぜ地衣類は恐竜の化石を好むのか?

 なぜ地衣類が骨の化石を好むのか。

 その理由は、化石がカルシウムを多く含むアルカリ性の物質でできており、さらに骨の表面には無数の微細な穴があって水分を保持しやすいためだ。

 地衣類にとって化石は、まさに“栄養豊富な住まい”なのである。

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恐竜の化石の上に生える地衣類の一種 Image credit: Firedot Lichen / commons.wikimedia / CC BY 2.0

古生物学者たちの夢をかなえる恐竜の目印

 恐竜の化石発掘は、これまで人の目に頼る過酷な作業だった。

 広大な地を歩き回り、小さな化石片を手がかりに掘り進める、そんな気の遠くなるような努力が必要だった。

 だがこの地衣類を活用した方法により、研究者は空から探すことができるようになったのだ。

 カナダ、ロイヤル・ティレル古生物博物館のカレブ・ブラウン博士は、「これまでも化石の上にオレンジ色の地衣類がよく生えていることは知られていたが、定量的に確認されたのは今回が初めてだ」と語る。

 実際、恐竜の骨が集中して埋まっている「ボーンベッド」と呼ばれる場所では、骨よりも先に地衣類の群落が目に入ることが多いという。

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未来の化石探査を変えるかもしれない

 この研究チームには、カナダ・レスブリッジ大学のリモートセンシング専門家デレク・ペドル氏も参加している。

 ペドル氏は「この手法は将来的に航空機や人工衛星からの観測にも応用できる」と述べ、広大な地域の化石マッピングへの展開を期待している。

 1980年代には、化石を衛星で探せるのではないかと夢想した古生物学者もいたが、今回の成果は、その夢に一歩近づいたといえる。

 もちろん、発掘現場で骨を掘り出す作業は依然として人の手が欠かせない。

 しかし、オレンジ色の地衣類が指し示す場所を頼りにすれば、時間も労力も大幅に減らせる。現代の技術と自然のアシストによる「化石の地図」が生まれたのだ。

 その小さな命が、太古の巨体が眠る場所を今に伝えている。

 研究を率いたピクルス氏はこう語っている。

 「現代の生き物が、数千万年前の生命を見つける手助けをしてくれる。これほどロマンチックなことはありません。」

References: Reading.ac.uk / Sciencedirect

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この記事へのコメント 11件

コメントを書く

  1. なんかスゴい発見のような…… もしかして恐竜時代から生えてる地衣類だったりして。

    • +4
  2. 海外の砂漠地帯ではアリの巣をみるらしい。
    巣の周りにサメの歯などの小さい化石が集められてる。

    • +3
  3. 地衣類って藻類と菌類の共生体だそうね、、、
    苔でもなくカビでもなくキノコでもない、、、
    調べれば調べるほど得体が知れない。
    何処にでも必ずいる生命なのに実に不思議な
    生き物だよね。

    • +8
  4. 何だか恐竜の化石は誰かが掘り出したものを見るのが一番な気がして来た。見た目が嫌だ。掘った後洗うだけで落ちるのかな?

    • -10
  5. 金銀銅などの鉱脈近くにもそれぞれ特定の植物が多く見られるので発見の目安になるという
    この苔カナダ以外には生えていないのかな?

    • 評価
  6. 恐竜の化石発見!の華々しいニュースの影にはこんな地道な作業があるんだね
     
    こういう研究者がちゃんと安定した給料もらって食っていける社会が羨ましい

    • +1
  7. 某有名博物館の恐竜博士(フィールドワークもしてる人)にこのことを聞いたら「肌感覚でそれはないです」と言われた。恥かいた

    • 評価
  8. その地衣類に化石が分解されて形跡も無くなると言う未来

    • 評価

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