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海洋プラスチックゴミで作ったリサイクル・バービー人形

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 ロンドンのタワーブリッジ近くに停泊するオランダの帆船上で、海洋プラスチックゴミから生まれたの彫刻が公開された。

 作品の題名は「All Of Me(私のすべて)」。動物行動学者ジェーン・グドール博士のバービー人形に着想を得て作られたこの像は、南米沿岸で回収された海洋プラスチックゴミを再利用して作られている。

 人形の制作を手がけたのは、スロバキア系ブルガリア人のアーティスト、ダニエラ・レイチェフさん。

 海から集めたゴミで作った人形を通して、彼女はどんなメッセージを届けようとしているのだろうか。

ダーウィン200プロジェクトを飾る「海洋ゴミのバービー」

 話題のバービー人形インスパイアの「All Of Me」は、イギリスの首都ロンドンのタワーブリッジ埠頭に停泊している大型帆船「オーステルスヘルデ号」の船上で公開された。

 この船は3本マストのオランダのスクーナー船で、「ダーウィン200プロジェクト」の一環として、2023年8月14日にプリマス港を出港。

 ブラジルやタヒチ、オーストラリア、南アフリカなど、・ダーウィンの「ビーグル号航海記」に登場する場所をめぐる、いわば「聖地巡礼」を2年かけて旅してきた。

 航海中は、マイクロプラスチックやサンゴの状態、そのほか海洋生物についての調査などを実施し、2025年7月24日に、出発地のイギリス・ロンドンへ帰還。

 寄港地では地元のNGOや保護団体などと協力して、かつてダーウィンが記録した、その場所その場所の固有種の調査も行って来たという。

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リサイクル・バービー人形へのオマージュとして制作

 この「All Of Me」の制作者は、スロバキア系ブルガリア人のマルチメディアアーティスト、ダニエラ・レイチェフさんだ。

 彼女はロンドンを拠点に、絵画、彫刻、ファッション、インスタレーション、NFTなど、幅広いメディアを用いた作品を展開している芸術家である。

 彼女の作品には、依存症やトラウマ、DV、メンタルヘルスといった問題や、ゆがんだ社会的構造に対するテーマが繰り返し登場する。

 特に、「美」と「醜」、「希望」と「破壊」といった対立する概念のあいだに存在する、人間の脆さや矛盾に焦点を当てているのが、彼女の作風である。

 そんな彼女が、動物行動学者のジェーン・グドール博士のバービー人形にインスパイアされて作ったのが、この海洋プラスチックゴミのバービー「All Of Me」だ。

 グドール博士はチンパンジー研究の第一人者として世界的に知られており、京都大学から名誉博士号を授与されている。

 そして同時に国連のピース・メッセンジャーとして、91歳の今も環境保護や動物福祉の分野に、積極的に取り組んでいる人物だ。

 下がバービー人形のメーカーであるマテル社が、グドール博士をもとに制作・販売している人形だ。このバービーは、75%以上がリサイクル素材で作られているんだそうだ。

材料は南米の海岸で集めた海洋ゴミ

 そして今回、グドール博士のバービーへのオマージュとも言うべき作品として誕生したのが、ダニエラさんが制作した「All Of Me」というわけだ。

 使われた素材は、ダーウィン200プロジェクトの中で、ブラジルとウルグアイの海岸沿いで回収した海洋プラスチックゴミである。

 ダニエラさんは、この作品を作った目的を次のように説明する。

私は自然と調和することで、廃棄物を「心に届くメッセージ」に変えることができることを示すために、この作品を制作しました。

正直に、今起こっていることを意識して、自分の行動に責任を持つことが大切なんです。

私たちには選択肢があります。地球にも自分自身にも優しくすることもできるし、すべてを当然のこととして受け止めることもできるのです。

私は、私たちは理由があってここにいると思うし、1分1分が大切だと考えているんです

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 手作りで作ったこの人形は、玩具会社が作ったもののようにキレイで可愛らしいものではない。本人によると、そこにはこの作品が生まれるまでの過程が反映されているのだという。

海洋プラスチックを扱うのは悪夢でした。本当に大変でした。切るのも難しいし、手は血だらけになりました。

それを溶かすときには、うっかり手にこぼしてしまって。もう、本当にオススメしません。やらないでください。

結局、片手は水ぶくれだらけになって、型取りも分厚くて大変で……ニオイは言うまでもありません

 この人形が完成すると、グドール博士本人からも次のようなメッセージが寄せられたという。

ダニエラの彫刻は、プラスチック問題にスポットを当て、皆で協力してより良い未来を築くことの大切さを訴えかけてくれるんです

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玩具の90%がプラスチック素材で作られている

 ダーウィン200の広報担当者によれば、世界の海には年間1,100万t以上のプラスチックが流入しており、これはおよそ1分ごとにゴミ収集車1台分のゴミが投棄されているのと同等の量にあたるという。

 バービー人形は、長年にわたってプラスチック製玩具の象徴とされてきた。実際のところ、玩具業界では90%がプラスチックを主要素材としているそうだ。

 具体的には、100万ドル(約1億4,700万円)相当分のオモチャにつき、約40tのプラスチックが使用されているとされる。

 2023年には、世界の玩具市場の売上は、なんと1,087億ドル(約15兆9,789億円)に達したとのこと。

 使用するプラスチックの量が増えれば、ゴミとなるプラスチックも当然ながら増えていく。

 国連によると、このままのペースが続けば、2050年までに海中のプラスチックの総量が魚の重量を上回る可能性があるという。

 今回の作品「All Of Me」は、ブラスチック玩具の象徴であるバービー人形を、「海から回収されたプラスチックゴミ」で再構築することで、大量消費の構造そのものに静かな問いを投げかけているのである。 

 ダーウィン200の航海から帰還した翌日の25日、オーステルスヘルデ号を訪問したエディンバラ公(チャールズ国王の弟エドワード王子が、「「All Of Me」を視察。ダニエラさんが直接説明をすることに。

 ちなみに、今回のダニエラさんの「All Of Me」は一点ものだが、グドール博士のバービー人形は日本のAmazonでも購入可能だ。

 なお、この「All Of Me」は今後販売され、売上はダーウィン200プロジェクトおよびグドール博士が主宰する環境教育・人道支援プログラム「Roots & Shoots UK」の資金として充てられる予定である。

 ダニエラさんは、彼女の作品であるこのバービーをお迎えしてくれる人がいるかどうか、インタビューを通じて尋ねている。

環境保護活動の資金調達のために、「All Of Me」は販売する予定です。でもどなたか、これを持ち帰る勇気のある方はいらっしゃるでしょうか?

Artist Uses Ocean Plastic to Create Her Take on Barbie Doll

References: Sculpture inspired by Jane Goodall Barbie doll to be unveiled to public

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この記事へのコメント 9件

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  1. ペンや衣類へのリサイクルはよく聞きますが、バービー人形は初めて聞きました。
    人形がいびつな造形だからこそ、海洋プラスチックゴミ問題の闇を肌で感じることができると思います。

    • +8
  2. これサイズから見てもジェーン・グドール博士のバービー人形を芯にした改造品だね
    で無ければ顔や胴の基本的左右の対称性はここまで出ない
    それに多種多様な海洋投棄プラスティックをこういう造形が出来るまで溶かすのは個人ではほぼ無理(出来ない訳じゃないがプラントクラスの設備が無いと出来ない)
    市販品を溶かしたり樹脂を盛りつけて改造し塗装した物で海洋投棄プラスティックは殆ど使われてないと思う 使われて盛り付けの際の増量剤くらいかな

    • -4
  3. 材料がなくて集めるのが大変だったならいいけど
    溶かすのが大変とは地球環境かなり深刻なんだ
    本来ならきれい過ぎて作れませんでしたというのが一番だけど
    もしそういう環境にするなら後10億年は必要だろうな

    • +1
    1. もしもし、私「海洋ゴミのバービー」

      今 あ な た の う し ろ に い る の

      • +1
  4. 多分数年前に海洋プラスチックだか廃プラスチックで作られたバービーを本家が発売してたような気がする。

    • 評価
  5. 軽くて便利な素材なんだよプラスチックって
    当たり前にありすぎると価値を忘れちゃう

    • +2

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