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イカ型ロボットスパイが捉えた、オットセイに狙われたイカの驚異的サバイバル術

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John Downer Productions / Youtube
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 海中で繰り広げられる、捕食者と獲物の知恵比べ。ニュージーランドの沿岸で、本物のイカがオットセイに狙わる一部始終を、本物そっくりのイカ型のロボットスパイが撮影した。

 この映像は、BBCとPBSが共同制作したドキュメンタリーシリーズ『Spy in the Ocean』の一部だ。

 頭足類は知能が高いことで知られているが、擬態能力、墨噴射、ジェット噴射を駆使して、最終的に逃げ切ることに成功した。

 2度目に捕まった時にはもうこれまでか…と思われたがイカはあきらめなかった。そこから見せた命がけの防衛戦術はまさに圧巻である。

イカ型ロボットスパイが見た、海の命がけの頭脳戦

 この驚異的な瞬間を記録したのは、イギリスのジョン・ダウナー・プロダクションが開発した、見た目も動きも本物のイカそっくりなロボット「スパイイカ(Spy Cuttlefish)」である。

 BBCとPBSが共同制作したドキュメンタリー『Spy in the Ocean』では、こうしたロボットスパイを使って水中生物の生態を記録している。動物たちに警戒されることなく接近し、自然な行動をありのままに捉えることができるのが特徴だ。

 今回記録されたのは、ニュージーランド沿岸の海で繰り広げられた、ニュージーランドオットセイとコウイカによる、まさに命を懸けた攻防戦である。

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本物のイカそっくりに作られたイカ型のロボットスパイ John Downer Productions / Youtube

コウイカが最初に見せた、擬態によるステルス行動

 ニュージーランドオットセイに狙われたコウイカが最初にとったのは、周囲の海底に溶け込むように姿を変える擬態だった。

 コウイカの皮膚には、乳頭突起(にゅうとうとっき)と呼ばれる小さな突起が無数にあり、これを隆起させたり平らにしたりすることで、皮膚の質感を自在に変えることができる。

 さらに色素胞という色のついた細胞を制御して、瞬時に体の色や模様を変化させることで、周囲の岩や砂、海藻にそっくりの外見を作り出す。

 この高度なカモフラージュ技術は、敵から見つからずにやり過ごすための第一の防御手段である。

 静かにその場に潜み、あたかもそこに存在しないかのように振る舞う。コウイカにとって、姿を消すことは攻撃以上に重要な“生き延びる手段”なのだ。

 しかし今回、オットセイの鋭い目はその擬態を見破ってしまった。ここから、より激しい攻防が始まることになる。

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擬態してオットセイの目を逃れようとするイカ John Downer Productions / Youtube

 

 オットセイは、周囲の海藻に溶け込んでいたコウイカを見破ると、容赦なく口にくわえた。イカは墨を噴き出して視界を遮ろうとするが、海面へと持ち上げられ、激しく水面に叩きつけられる。

 これは、獲物を弱らせて食べやすくするための行動で、海洋哺乳類にしばしば見られる捕食技術の一つだ。

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擬態してオットセイの目を逃れようとするイカ John Downer Productions / Youtube

 叩きつけられた衝撃で、コウイカはいったんオットセイの口から外れる。その隙に、ジェット噴射で一気に逃走を図った。

 コウイカの体内には、外套膜(がいとうまく)と呼ばれる袋状の構造があり、そこに海水をためておくことができる。

 これを漏斗(ろうと)という器官から勢いよく噴き出すと、その反動で体が逆方向に押し出され、素早く後方に移動できる仕組みになっている。

 このジェット噴射は、単なる移動手段としてだけでなく、捕食者から逃げる際の緊急離脱にも活用される。漏斗の角度を変えることで方向転換も自在に行えるため、追跡を振り切る際には極めて有効だ。

 実際に、釣り上げられたコウイカが海水を噴射するのも、外敵に襲われたと錯覚し、この仕組みが無意識に作動した結果とされている。

 この場面でもコウイカは、黒い墨を一気に噴き出して視界をかく乱し、その直後にジェット噴射で海中を高速移動して逃げようとした。

 一度は成功したかに見えたが、オットセイは執拗に追跡を続け、再びその姿をとらえてしまう。どんなに墨を吐いたところでなかなか離してはくれない。

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再びとらえられてしまうコウイカ  John Downer Productions / Youtube

海藻への完全擬態

 そしてまた、海面に激しく叩きつけられるコウイカ。体力もかなり消耗しているはずだ。だがコウイカはあきらめなかった。

 一瞬の隙を狙ってまたジェット噴射で逃げると、コウイカは最後の切り札ともいえる驚くべき行動に出る。

 今度は、自らの姿を海藻そっくりに変えるという、高度な擬態だった。

 コウイカは体色を周囲の海藻に合わせて変化させるだけでなく、皮膚の乳頭突起を操作してフサフサとした質感や凹凸のある表面を再現する。

 さらに、体を微かに揺らすことで、水流に揺れる海藻のような動きまで取り入れた。

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海草に完全擬態したコウイカ John Downer Productions / Youtube

 その結果、コウイカの姿は背景に完全に溶け込み、カメラを通してもどこにいるのか判別できなくなるほどだった。

 オットセイはその場をしばらく探し回ったが、もはや獲物を見つけることはできず、やがて海の中を泳ぎ去っていった。

 こうしてコウイカは、擬態、墨、ジェット噴射、そして海藻への完全変身という四段構えの防御戦術を駆使し、自らの命を守り抜いたのだ。

 このような水中での白熱したリアルなドキュメンタリーを見ることができるのも、ロボットスパイカメラのおかげだ。

 今回はコウイカの作戦が成功に終わったが、失敗に終わることもあるだろう。自然界を生き抜くことの過酷さを肌で感じられる映像だったね。

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この記事へのコメント 16件

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  1. 何で襲われやすそうな形のロボットにするんだろう?
    襲いかかってくるオットセイの撮影も半分狙ってたんかな

    • +5
    1. このイカ型ロボットを撮影しているロボットはどんな形をしているんだろうね
      狙われにくい無機的な形なんだろうか?

      • +2
  2. イカの凄さよりもイカ型マシーンの凄さに驚いた

    • +14
  3. 変身能力すごい
    ところでこの映像、イカロボットと別のカメラで撮ってない?

    • +14
    1. そうだし、だいぶ編集もしてると思う。
      まあ実際こんなストーリーが繰り広げられているんだろうね

      • +4
  4. ニンジャだ!

    それはそれとしてイカロボットは襲われないのかが気になる

    • +3
  5. 変色できないロボットは「ここにイカ達がいます」ってオットセイに教えてるようなもので、イカ側からしたら迷惑な存在だったろうな

    • +3
  6. 其ほどまでに
    コブシメは旨いんだから、仕方ないね

    • 評価
  7. ものすごい勢いでビターン💥🦑💦ってされるのがマジで怖いね。野生の本気の動きというか。でもそこが生きるチャンスでもある瞬間でもあることに神秘を感じる。

    • +1
  8. 間違えて喰われたらどうすんだろ、襲った方にダメージが有るだろう
    それに壊れたら回収不能な海中ゴミだし

    • 評価

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