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コアラが地上にいるのは1日平均わずか10分、その短時間に命を脅かすリスクが集中

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image credit:Pixabay
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 オーストラリアに生息するコアラは、ほとんどの時間を木の上で過ごしている。

 今回、クイーンズランド大学とサンシャインコースト大学の共同研究により、コアラが地上にいるのは1日あたり平均わずか10分だけであることが明らかになった。

 その短い時間に、コアラの死亡リスクが著しく高まっているという。地上を移動中に起きた死亡例が全体の約3分の2を占めているのだ。

 加速度計とGPSを用いた精密な調査により、これまでほとんど観察されてこなかったコアラの地上での移動行動が初めて記録され、生息地のあり方を見直すための手がかりが得られた。

地上にいるごくわずかな時間にコアラの多くが命を落とす

 コアラは、オーストラリア東部に生息する有袋類で、そのほとんどの生活を木の上で送っている。

 しかし今回、クイーンズランド大学とサンシャインコースト大学の研究者によって、コアラが地上にいる時間が1日あたり平均約10分、わずか約0.7%にとどまることが明らかになった。

 このほんのわずかな地上にいる間に、コアラの多くが死亡している。全体の死亡例の約3分の2を占めているのだ。

 主な原因は、車との衝突や犬などの動物による攻撃であり、いずれも人間の生活圏と関わりが深い。

 コアラの個体数は、過去30年で54%も減少しており、オーストラリアでは多額の資金が保護活動や病気治療に使われてきた。

 だが、死亡事故が地上移動中に集中しているという点については、これまであまり詳しく研究されてこなかった。

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image credit:unsplash

加速度計とGPSで、コアラの「地上行動」を記録

 研究チームが注目したのは、コアラの地上での移動行動だった。従来のGPSでは、位置情報が1日1〜2回しか記録されないため、地上での細かな動きまでは把握できなかった。

 そこで今回は、1秒間に数百回の動きを記録できる「加速度計(アクセロメーター)」というセンサーを用いた。動物の姿勢や行動の違いを高精度で捉えることができる装置である。

 研究では、野生のコアラ10頭に加速度計と高精度GPSを装着し、1頭あたり平均8日間にわたって行動を追跡。その結果、調査期間中に1頭あたりが地上で活動していた時間は合計で約45分だった。

 1日あたりに換算すると、コアラは平均して2〜3回地上に降り、合計で約10分間地上に滞在していたことになる。

 また、1回の地上移動では、平均260mの距離を移動していた。通常は時速1.7kmで歩き、ときには時速10.4kmで、両足を使って跳ぶような速い動き(バウンディング)も確認された。

 さらに、地上にいる時間のうち約半分は座っていたり停止していたりする時間で、バウンディングは全体の7%程度にとどまっていた。

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加速度計とGPSを付けたコアラ / Image credit: Ami Fadhillah Amir Abdul Nasir.

なぜコアラは立ち止まるのか? その理由を探る

 研究者たちは、コアラが移動の合間に立ち止まる理由についても注目している。

 これは、周囲の安全を確かめたり、次に登る木を見定めたりしている可能性があるという。

 加えて、バウンディングにはエネルギー的な負担が大きく、無理をせずに歩行中心で移動している可能性もある。

 加速度計とGPSのデータを組み合わせることで、コアラがどの木からどの木へと移動しているかも把握できるようになった。

 これにより、移動ルートや樹木の配置にどのような特徴があるのかを詳しく分析することが可能になった。

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image credit:Pixabay

木の配置や環境条件によって、地上移動の頻度は変えられるか

 クイーンズランド大学の博士課程に所属するガブリエラ・スパークス氏は、今回の研究を通じて、コアラがどのような環境条件でより長く木の上にとどまるのかを明らかにしたいと考えている。

 「もし、ある種類の木や特定の植生がコアラにとって過ごしやすく、地上に降りる必要を減らせるのであれば、そうした環境を広げることが効果的な保護策になる」とスパークス氏は述べている。

 研究チームは、今後のコアラ保護対策として、特定の植物の保護、木と木の間隔を短く保つ植林設計、木の上部の枝葉どうしがつながって移動しやすくなるよう、樹冠(木の上の枝葉)の接続性を高めることなどを提案している。

 これにより、コアラが地上に降りる必要を最小限に抑え、命の危険を減らせると考えられている。

 スパークス氏は「今回の調査は、これまで断片的だったコアラに関する知識を補うものであり、人間の活動によって変化した環境で、コアラがどのように生きているかを理解する手がかりになる」と語っている。

 今回の研究結果は、2025年7月1日にベルギーのアントワープで開催された「実験生物学会年次大会(Society for Experimental Biology Annual Conference)」で発表された。

References: Koalas Spend Only 1% of Their Life on Ground, New Study Reveals

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この記事へのコメント 10件

コメントを書く

  1.  キャットウォークならぬコアラウォークみたいなのをユーカリの木々の間に渡すことを思いついたけど有効なのかはわからないし、専門家はすでに考えていて実施してないのはやっぱりお金がかかるからかなぁなどと小並感

    • +2
  2. 現在の木と木の間隔も書かず、一回の平均260mとの関係もわからないのに、なぜ植林がコアラの生存率を高めると決めつけているのか?

    • -11
    1. >今回の研究を通じて、コアラがどのような環境条件でより長く木の上にとどまるのかを明らかにしたいと考えている

      とあるのでその辺はこれから調べるのでは

      • +1
  3. 地上に降りるのって排泄のためでもあるんじゃなかったですかね?(昔の知識なので違ったらすみません)
    降りる必要があるなら樹上を繋げても意味無いかもしれないですね……

    • +6
    1. 【動画】トイレに行きたい母コアラを阻む赤ちゃんとの「攻防」。「必死さが伝わる」と話題
      ハフポスト日本版編集部
      2025年03月08日 16時40分 JST
      これを見ると小をするために地面に降りているようです
      周りに落ちているペレットが大だと思います
      ウィキペディアによると大は木の上からするとあります

      • 評価
  4. コアラはユーカリの葉を主に食べるが
    ユーカリの木の森に住んでるわけじゃないよね?

    • -3
  5. ユーカリ食って常に解毒でぐったりしてるだらしない生活をなんとか改善しろよコアラ。

    それって人間に例えると常に酒飲んで二日酔いでぐったりしてるおっさんと大差ないぞ。

    • -4
  6. コアラ社会とコミュニケーション
    Australian Koala Foundation
    には縄張り図があります
    それぞれのコアラはそれなりの大きさの縄張りを持っています
    メスは、小さめの縄張りですが子育てのために質の良い木を確保しているようです
    オスは、なるべく多くのメスの縄張りに接するように大きな縄張りを確保して繁殖期にメスの所に行くわけですね
    近ければ木の間を飛び移ることもできるようですが、地上を移動しなければならないこともあるのでしょう

    • +2

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