メインコンテンツにスキップ

カエルのメス、気に入らないオスを巣穴に引きずり込み食べてしまう

記事の本文にスキップ

39件のコメントを見る

(著) (編集)

公開: (更新: )

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 オーストラリア、ニューサウスウェールズ州コーラガン島では、カエルの繁殖期になると、メスに巣穴に引きずりこまれ、捕食される哀れなオスたちの断末魔の叫び声が聞こえてくるという。

 メスに命懸けの求愛をするのは「キンスジアメガエル(Litoria aurea)」のオスたちだ。

 彼らはメスと交尾をするために、懸命に鳴いてメスの関心を惹こうとする。だがメスたちは気に入らないオスが近寄ってくれば、巣穴に引きずり込んで食べてしまうことがあるというのだ。

 英ニューカッスル大学の研究チームは、この興味深くも、気の毒な「共食い(カニバリズム)」の事例をくわしく観察し、『Ecology and Evolution』(2024年6月12日付)で紹介している。

 以下は実際の画像を紹介しているので、カエルが苦手な人は留意してほしい。

カエルのオスの断末魔の悲鳴、メスに食べられそうになっていた

 ニューカッスル大学の研究員、ジョン・グールド博士らがこの惨劇に気付いたのは、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州コーラガン島のフィールドワークで甲高い悲鳴を耳にしたときだ。

 一体何事かと悲痛な声の方へ向かってみたところ、そこにはキンスジアメガエル(Litoria aurea)のメスに後ろ足を噛みつかれてもがくオスがいた。

 哀れなオスは、体の大きなメスに池のほとりに掘られた巣穴に、今にも引きずり込まれようとしていた。

 「オスは必死な様子でした。どうにか引きずり込まれないよう、地面の枝などにしがみついていました」と、グールド博士は語っている。

 幸いにもそのオスは命からがら逃げ出すことができたという。

この画像を大きなサイズで見る
メスに後ろ足に噛みつかれ必死にもがくオス/Image credit: John Gould and Chad T. Beranek

カエルが共食いする理由

 そしてこれがきっかけとなって、グールド博士らはこの興味深い共食い(カニバリズム)の事例を調べてみることにしたのだ。

 カニバリズムは、カエルのような両生類ではよく知られている。だが、そのほとんどは、大人がようやく水から出てきたばかりの小さな個体を食べるか、オタマジャクシ同士による共食いだ。

 そうしたカニバリズムが起きるのは一般に、卵からオタマジャクシが孵ったときのように仲間が密集しているときや、仲間同士で体の大きさにかなりの差がある場合だ。

 カエルの多くは、メスがオスよりも大きい。

 キンスジアメガエルは、オーストラリア東部原産のカエルで、その名の通り、緑と金色の鮮やかな体色が特徴だ。

 成体は体長が7~10cmだが。やはりオスよりもメスの方が大きい。

 こうしたオスとメスで、生殖器以外の体の作りが違うことを「性的二形」という。

 だからメスにとって、オスは子供を作る相手というだけでなく、エサとしても都合がいいのかもしれないという。

この画像を大きなサイズで見る
キンスジアメガエル(Litoria aurea) photo by iStock

カエルの共食いは自然選択プロセスとして機能している可能性

 グールド博士らは、こうしたメスによるオスの共食いは、自然選択プロセスとして機能するかもしれないと推測している。

 キンスジアメガエルの繁殖期は主に春から夏にかけてで、オスは大きな声で鳴き、メスを誘う。

 繁殖期のメスは、オスの鳴き声を手がかりにして、気に入れば子供を作るパートナーにするか、気に入らなければ獲物にするかの判断しているのかもしれないという。

 体が大きくて鳴き声が深いオスならいいお婿さん、小さく弱そうなオスなら食事にしてしまえといった感じだ。

 だが、もしかしたら、すぐれたオスでさえもエサになる可能性もあるという。

 カマキリのメスは交尾するオスを殺して食べてしまうことがあるが、カエルもこれと同じで交尾の後にオスを食べてしまう可能性はある。

この画像を大きなサイズで見る
キンスジアメガエルのメスが別種のカエルを食べようとしているところ /Image credit: John Gould and Chad T. Beranek

どのような場合オスが食べられるのかはまだわかっていない

 いずれにせよ、カエルのオスとっては、かなりリスキーだ。オスは懸命に鳴いてメスを魅了しようとするが、じつは命懸けの行為なのである。

 だが、どのような場合にオスが喰われ、あるいはお婿さんとして選ばれるのか、詳しいことはまだわかってない。

 メスによるオスの捕食はあっという間で、なかなか観察できないからだ。

 だからと言って、それが滅多に起きないとは限らない。たとえば、受精させるためにオスはメスの上に乗らねばならないが、これが観察されることは滅多にない。

 つまり、あまり観察されないからといって、必ずしもごく稀な出来事というわけではないのだ。

 グールド博士らは、こうした共食いを調べて、それがどの程度起きており、カエル全体にどのような影響があるのか調べるつもりであるそうだ。

References:Meal or mate: Exploring the evidence of sexual cannibalism among amphibians – Gould – 2024 – Ecology and Evolution – Wiley Online Library / ‘It’s risky for male frogs out there’: Female frog drags and attempts to eat screaming male | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 39件

コメントを書く

  1. 弱いオスが養分にされるのは人間も同じ
    それこそが生き物としての正常なありかた

    • 評価
    1. >>2
      それはお前がカエルと同じレベルの人間だからそう思ってるだけ

      • -1
  2. 卵産むのにエネルギーが足りなければ種としての存続が危ぶまれるから、
    オスは非常食としても機能しているのかもしれない。
    鳴いて場所を教えてくれる便利な餌だよね。

    • +36
  3. 劣ったオスを選ばない事で優れた遺伝子だけを残していくのが自然の摂理だけど
    食べて排除しちゃうのはかなり能動的な厳選だな
    哺乳類と鳥類以外のオスは割とこんな立ち位置が多い

    • +16
  4. 最後の歌が聞こえてくるよ
    食わっ食わっ食わっ食わっ
    レルレルレルレル
    食わっ食わっ食わっ

    • +29
    1. >>6
      人間は排除できないからストーカーになるんだけどな

      • -2
  5. これは興味深い
    アンコウやカニみたいに合理を突き詰めておしべになるんじゃなくて、雄同士で競って優劣をつけるような生き物でも雌に食べられてしまうのかあ。
    雄の身内での優劣が雌にまったく評価されないとこうなるわな。雄の体格が必ず雌より優れるようにして、なおかつマッチョis正義な社会を作ることは雄自身の生存のために必要な行動、外敵のいない頂点捕食者ほど肝に銘じた方がいいかもですね…。

    • -2
    1. >>9
      カマキリのオスで食べられるのは鈍臭い奴だけで、大抵は逃げられる

      • +1
  6. カエルって目が悪いから自分より小さくて動く物は何でも食いつくよ
    カエル飼ってて指に食いつかれた事無い人いないくらい食いついてくる
    これもその延長のような感じじゃないかな
    オスを狙って食べてるんじゃなくて、お腹が空いたところに食べやすそうな小さい生き物がいたから食べちゃってる気がする

    • +23
    1. >>14
      それだと一歩間違えば交尾する前に相手を食っちゃって子孫を残せないことになるわけで、
      単に「動くから食ってる」ってだけの理由だとすると種としてリスキーすぎると思う

      やっぱり戦略上有利な理由があるから習性として残っているのでは

      • +1
  7. 草食のオタマジャクシと肉食のオタマジャクシを
    両方産む種もあるよね。水が豊富にある環境では
    両方普通に育つんだけど、すぐに干上がっちゃう水たまりで
    生まれたときは肉食のやつが兄弟を食べて素早く成長して
    干上がる前にカエルに変態する。

    • +10
  8. 人間も同じ。オスを食い物にするのはメスのサガ。

    • -10
  9. 同族を殺すのは人間だけ、無益な殺生をするのは人間だけ
    みたいな言い回しあるけど、自然も結構そういう話が溢れてるよね

    • +10
  10. オスはどうせ子育てしないし、交尾すんだら食べて栄養にしてしまえば合理的、なのかもしれないけど
    あまりに不憫

    • +10
    1. >>19
      雄が子育てする種類のカエルはもしかして食われないために学習進化したのかも。

      • +6
  11. だいたいの感想はほかの方と同じ感じなんですが、イラストの歯の方が気になっちゃった。 カエルって歯はないハズなんだけど、描かれてると違和感があって不気味なのは私だけ?

    • +3
    1. >>22
      これって二極化しそうな話題で面白いな
      そもそも擬人化されてる時点でファンタジーなんだから、歯も擬人化されててもなんとも思わない派と、一定のリアリティ追求派の二手になりそう

      • +1
    2. カエルにも歯はありますよ。歯があるのは上顎だけで、下顎に歯を持つカエルは極めて稀。
      哺乳類のように咀嚼はせず丸呑みするので、歯といっても微小な櫛笥のようなものが並んでいるだけです。

      • 評価
  12. みんなのどの見解も、あっている一面もあれば間違っている一面もある
    オスメスの役割分担は種や個体によって千差万別だし相反するようにみえる役割を兼務することもままある
    唯一共通している役割つまりオスメスの本願は、オスは遺伝子を運ぶこと・メスは子孫を産むこと
    どんな役割や行動も相反するように見えることも単に手段が違うと言うだけでこの目的だけはブレていない

    • +1
  13. 外国のクワガタはオスがメスをギロチンするよな
    よく絶滅しないよな卵産むメスを自分から減らしてさ

    • +5
  14. 魚や鳥なんかは同じ個体と長くいる種もいるらしいけど、両性類はどうなんだろう

    • +1
  15. そもそも動くモノに反射的に食いつくカエル
    大きさぐらいしか判断してないでしょ

    • +2
  16. このカエルって抱接ではなくて交尾するの?

    • 評価
  17. 異性間共食いのリスクは少なくとも3つある
    ひとつは配偶機会の損失、次に感染の可能性、もう一つは相手からのハラスメント
    これらを差し引いてもメリットがあるのだろうか
    少なくとも何かやばい病気が蔓延したら、絶滅してもおかしくなあ

    • -2
  18. 食われたオスは子孫を残せず淘汰されるはずなので、
    未だに食われるということは、オス側の特性ではなくメス側の気分で食う食わないが決まってる?

    • +1
  19. まあ、人間だって、ながーい時間(年月)をかけて男の人生が食いつくされるようなもんだと見なせる例もあるだろうw

    • -8
  20. 間違いの指摘。
    1枚目の写真は共食いではありません。
    別種のカエルを食べようとしているところです。元論文を見ればわかります。

    • +1
  21. 元論文を読めばわかりますが、

    「カエルのメス、気に入らないオスを巣穴に引きずり込み食べてしまうこと」はまだ判明していません。

    メスがオスをくわえているの事例を一つ観察しただけです。このオスは逃げたので食べられていません。
    実際にメスがオスを食べているのかどうかは不明で、これから調べるということです。

    • +1
  22. 原始的な脳だから、理由も意味もないかもね。基本共食いしちゃだめというプログラム自体なさそう。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

昆虫・爬虫類・寄生虫

昆虫・爬虫類・寄生虫についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。