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最も保存状態の良い三葉虫の化石が発見され、体の構造が明らかに

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(著) (編集)

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 モロッコの火山灰の中から、ほぼ生きたままの姿を残した、これまでで最も保存状態が良いとされる三葉虫の化石が発見された。

 火砕流に一瞬にして埋められたことで、普通なら残らないはずの柔らかい組織までが現代まで保存されていたため、研究者の間では「ポンペイの三葉虫」と呼ばれている。

 そこからは、高度に発達した”とげつきのスプーン”のような付属器や全身に長く伸びた消化器官など、これまで知られていなかった三葉虫の特徴が明らかになっている。

 それは絶滅種・現生種を含め、節足動物の口の進化を伝える手がかりでもあるという。

二度の大量絶滅を生き延びた三葉虫

 三葉虫は、二度の大量絶滅を生き延び、5億2100万年~2億5200万年前もの長い間、古代の海で繁栄していた海洋節足動物だ。

 化石の世界では非常にポピュラーで、2万2000種以上が知られており、大昔の生物だというのに、その多様性・暮らし方・進化についてかなりのことがわかっている。

 それもこれも、三葉虫の外骨格が「方解石」という化石化しやすい結晶でできていたおかげだ。三葉虫の目もまたその結晶でできている。

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一般的な三葉虫の化石 / image credit:John Paterson

触覚や脚などが残された保存状態の良い化石を発見

 その一方、触角や脚のような、もっと柔らかい部分の化石は滅多に見つからない。運良く見つかったとしても、保存状態が悪く、はっきりしないことが多い。

 ところが、最近の研究によると、モロッコで非常に保存状態の良い三葉虫の化石が発見されたと報告されている。

 そこには触角や歩脚はおろか、口の構造や消化器系全体までもが立体的に残されていたという。

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背(左)と腹(右)から見たProtolenus (Hupeolenus) sp.の復元図。触角や歩脚などの軟組織構造も含まれている/ image credit:Arnaud Mazurier / John Paterson /

火山灰に埋もれていたため、完璧に保存されていた

 その三葉虫の化石はカンブリア紀(約5億900万年前)のもので、”古生物のポンペイ”とでもいうべきものだ。

 79年に噴火したポンペイのヴェスヴィオ火山から発生した火砕流は、街を住民ごと一瞬にして生き埋めにし、その悲劇の様子をまるで立体的な写真のように記録した。今回の化石にもこれと同じようなことが起きたのだ。

 その当時発生した爆発的な噴火もまた、高速の火山灰雲を発生させ、海の広範囲をあっという間におおいつくした。

 こうして海岸近くの浅瀬に生息していた三葉虫は瞬時に生き埋めにされ、現代にまで残されることになった。

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噴火による火砕流に飲み込まれる直前の三葉虫のイメージ / image credit:Katrina Kenny

 それは本当に一瞬の出来事で、三葉虫の化石の中には、腕足動物という小さな無脊椎動物がくっついているものがあったほどだ。

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化石の 1 つを復元したもの。青色は表皮に付着した腕足動物 / image credit:Arnaud Mazurier/University of Poitiers

新たな化石により三葉虫の構造が明らかに

 この保存状態の良い化石によって、これまで知られていなかった三葉虫の特徴が明らかになっている。

 例えば、三葉虫は高度に発達した摂食装置を持っていたようだ。とりわけ触角の後ろにある頭部の付属器官は”とげつきのスプーン”を思わせ、食べ物をすくって口に入れるのに使われていた。

 さらに、とげつきスプーンには、味覚センサーや触覚センサーと思われる触角のような構造がある。

 また化石の中には、消化器官全体(下図参照)がわかるものもあった。口から始まる開口部は食道につながり、J字の胃へといたると、そこから長い腸が全身へと伸びている。

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Protolenus (Hupeolenus) sp.の側面図。赤は口に位置する「上唇」、緑は頭部を守る「ハイポストーマ」、青は「消化器系」 / image credit:Arnaud Mazurier / John Paterson

 さらに「上唇」という構造も見つかった。これは口についた肉厚の唇のようなもので、食べ物を含む口腔の一部となる。

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3D で再現された三葉虫の軟部組織の解剖図 / image credit:Arnaud Mazurier/University of Poitiers

 それがあること自体は以前より推測されてきたが、その直接的な証拠がようやく見つかったことになる。

 このように、火山灰に埋もれた三葉虫の化石は、節足動物の口がどのように進化してきたのか今に伝えている。

 もしかしたら火山灰の堆積物の中には、生きたままの姿で閉じ込められた古生物がまだまだ眠っているのかもしれない。

 この研究は『Science』(2024年6月27日付)に掲載された。

References:A ‘trilobite Pompeii’: perfectly preserved fossils of ancient sea critters found buried in volcanic ash / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. うおおんーこんなにかっこいい造形してたなんて…
    イメージがだいぶ変わるね

    • +2
    1. >>1
      ゑゑゑゑゑゑゑ~~~
      超かっこいいじゃん!

      • 評価
  2. もしも未だに深海で生き延びてる種がいたら、騒然とするだろうなぁ

    • +5
    1. >>2
      オルドビス紀やデボン紀中に起きた絶滅と同じくペルム紀末にも海洋無酸素化が起こったと考えられていて、そうなると酸素は深海に拡散する前に消費されてしまう。浅海生物三葉虫君に逃げ場はなかった。

      • +4
      1. >>7
        うーん南無三。無酸素化ってどれぐらい速いんやろ?進化してる暇は無いよね?

        • 評価
    2. >>2
      パンゲア超大陸の浅い内海で育まれてる時代だから何もない超海洋までは進出できてないと思う。化石があっても海底プレートは移動が速いからとっくにマントルの底

      • 評価
  3. よく見る化石のと印象が全然違うんだな。虫っぽい

    • +6
  4. 三葉虫ってわらじみたく平べったい生き物だと思ってたけどこんな姿だったのか
    ロマンがすんごい!

    • +8
  5. すんごい良い状態で残ってる(*’ω’*) 発掘した人も狂喜乱舞したんじゃないか?

    • +5
    1. >>6
      可食部少なそうです。グソクムシやカブトガニ的な味と想像してみる。
      …微妙?

      • 評価
  6. 見た目はカブトガニの仲間って感じだな
    あれも生きた化石だけど
    俺はもっと虫っぽい感じを想像してた

    • +3
  7. 背中に消化管、腹側に神経
    これで見るとはっきりわかる
    (知識ではわかっているんだけど)
    脚先は分かれていたかな?
    具足虫は割れていた気が…

    • +3
  8. オニイソメやウミケムシみたいな感じだったのかな。

    • 評価
  9. 背中に消化器があるのかな?
    三葉虫はたくさん食べても「お腹いっぱい」じゃなく「背中いっぱい」?

    • 評価
  10. シーラカンスだって生きてんだから、三葉虫だってどっかにまだ生息しててくれたのむ!!!

    • 評価

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