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スマホで壁の向こう側が透視できるチップを開発、スーパーマンの能力から着想を得る

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(著) (編集)

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 近い将来スマホで壁の向こうを透視できるようになるかもしれない。アメコミヒーロー、スーパーマンの透視能力をヒントに生まれた「透視チップ」は、スマホに内蔵できるほど小型のミリ波イメージングチップで、スマホ1つで壁の向こうの物体を文字通り”見る”ことを可能にする。

 現在はプライバシーに配慮しており、透視範囲はごく間近に限られるが、きちんと法整備がなされ、セキュリティーやプライバシーへの課題も克服できれば、将来的には便利なアイテムとなるだろう。

 例えば悪天候での自動運転車のナビゲーションを支援したり、箱を開封することなく荷物の中身をチェックしたり、あるいは炎や煙が立ち込める災害現場での人命救助に使われたりと、視界が限られるさまざまな現場での活躍が期待されている。

スマホで壁の向こうを透視するチップのメカニズム

 スマホで壁を透視する技術の核となるのは、テキサス大学ダラス校の研究チームが20年にわたって開発してきた超強力かつ小型の透視イメージングチップだ。

 アメコミのスーパーマンの透視能力は、その目でX線を捉えることによるものらしいが、今回の透視チップは300GHzのミリ波を使う。

 チップから放たれたミリ波が壁などを通り抜け、その向こう側にある物体にあたって反射される。

 それをセンサーでキャッチして、画像に変換するのである。電波や音波を利用するレーダーやソナーの仕組みにも似ているだろう。

 ミリ波は、空港の荷物検査で使われるマイクロ波と赤外線画像システムの赤外線の中間の周波数で、人体にも安全なものだ。

 それによって描き出される1つ1つのピクセルは、0.5 × 0.5mmと小さなもの。だから透視画像だったとしても、妥協のない高精細な仕上がりとなる。

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透視チップを内蔵したスマホで、箱に入ったままのチョコレートをチェックするなんてことも可能になる / University of Texas at Dallas

ついにスマホに搭載できるほどの小型化に成功

 じつは同様の技術はかなり以前から考案されていた。だが実用的なものにするために研究チームは長い年月をかけて研究を続け、それによってピクセル性能が1億倍にアップされ、デジタル信号処理技術も洗練された。

 そのプロトタイプが発表されたのは2022年のこと。ただし、これは産業的向けのもので、小さなデバイスに搭載できるような大きさではなかった。

 そこでスマホ向けに小型化が試みられたわけだが、そのための重要なポイントが、いかに少ない消費電力で小さなピクセルを描き出すかだったという。

 そのために無駄なパーツを取り除き、必要なパーツもできるだけ小型化し、2年かけてスマホにも搭載できるサイズに改良された。

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透視に利用される300GHzのミリ波は、人体にも安全だとされている / Image Credit Dr. Kenneth O, UT Dallas

セキュリティやプライバシーに配慮して透視範囲は狭い

 産業向けの大型デバイスは、数メートル先の物体を透視することができ、現在その範囲を最大20メートルにまで伸ばそうと開発が続けられている。

 一方、スマホ向けのチップの場合、やはりセキュリティやプライバシーが懸念されることから、透視範囲はわずか2.5センチほどに制限されている。

 カバンの中身や財布を覗き込んでやろうと何者かが怪しからぬことを考えたとしても、それを実行するにはターゲットのすぐそばまで接近しなければならないので、実行は困難になる。

 とは言え、将来的には12センチまでアップグレードが検討されているそうだ。

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小型透視用チップを試す研究者たち / Dr. Kenneth O, UT Dallasimage credit:

視界不良や内容物検査などあらゆる状況で活躍

 透視チップはまだ市販されていないが、研究チームはいくつかの応用例を述べている。

 もちろんこれらは透視範囲を広げた場合だが、例えば、透視チップを自動運転車に組み込めば、悪天候や道路の状況がよくないなど、視界が制限されるような状況でのドライブを支援することができる。

 大雨や霧で隠れてしまった車や障害物の輪郭を描いて、ドライバーに知らせるといったことも可能だ。

 車に限らず、視界が制限される状況では、さまざまな業界で活躍してくれる。開封することなく荷物の中身を検査したり、炎や煙が立ち込める災害現場での人命救助にも役立つ。

 みんなだったら、何を透視してみたいだろうか?

 この研究は『IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology』(2024年1月5日付)に掲載された。

References:Invention Inspired by Superman’s X-ray Vision Will Let Your Mobile Device ‘See’ Through Walls – The Debrief / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. 暗視機能の強化に使えるのでは?
    赤外線で見た場合、そもそも赤外線が飛んでなければ見えない(日光とかライトの同じ)
    そこを画像を重ねることで細部がわかる

    • +4
  2. たしかに便利だけど誰でもどこでも使えるとなるとう~ん・・・。
    満員電車で使われたらプライバシーもへったくれもなくなりそうだ。

    • +10
  3. 徳川埋蔵金を見つけておかねもちになる!

    • 評価
  4. 大昔に雑誌の通販であったなあ。
    壁を透視出来るスコープ。いんちきだけど。

    • +2
  5. グフフ…おまえの体を透視してやろう!
    んん? ちょっと腫瘍ができているようだな
    お近くの病院をご紹介しますね

    • +6
    1. >>13
      あれ? 鼻に何か刺さってますね? ん? アゴも?

      • -2
  6. 遮断壁が流行るかもね
    同じ周波数を出して相殺する仕組みとかそもそも透視できない素材とか

    • +9
    1. >>15
      電波なら金網とかで遮蔽できるから対策は簡単
      電波暗室という無線機やアンテナの実験設備も実際にある

      • +2
  7. 正直なところ、企業や公的機関のみに限定した上で
    取り扱う場合も今の飲食店が衛生なんとか責任者置かないとダメみたいに許可を取った人による管理・指導が必要にして欲しい

    • +5
  8. 車のサブ視界としてほしいな。
    90度直角のブラインド壁のむこうから飛び出してくる自転車とかを予め発見できるなら最高

    • +3
  9. 電磁波の300GHzだと透けるんだ・・・これが千倍くらいの400THzを超える可視光だと透けないんですよね、やっぱ不思議~
    400THz未満の赤外線はすけやすいからもっと下の周波数だとさらにすけやすいって感じなのかな。しろうとにはよくわかりません >_<

    • +1
  10. 隙間に落ちたネジ、とか隠れたネジ穴に使いたい

    • +2
  11. あかんでしょ
    こんなもんできちゃあかんでしょ

    • +3
  12. 範囲は狭いままかな
    レーダー技術が以降進化がない
    1990年代ストップの中、やっと実用的な物

    しばらくは空港の手荷物くらいに留まるが

    • +1

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