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ブラジル沖で海に沈んだ4500万年前の沈没島を発見。九州の2.8倍の大きさ

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(著) (編集)

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 2018年、ブラジルとイギリスの調査チームが、「リオ・グランデ・ライズ」という南大西洋の海嶺周辺を調べていたところ、4500万年前の沈没島が見つかったそうだ。

 その島は火山によって作られた熱帯島で、珍しい赤い粘土層が特徴だという。それは普通なら乾いた陸地にあるもので、海底で見つかることなどないはずのものだ。

 『Scientific Reports』(2023年11月4日付)に掲載された研究によれば、赤い粘土は水の上で風化したことを示すもので、ブラジルの海岸から1200km沖にあるその海域が、かつては島だったことの証になるという。

火山によって作られた熱帯島が沈没

 緑豊かな熱帯の島が波の下に沈み込み、長い間海の中で時が止まったように横たわる姿を想像してみよう。映画化決定しそうなロマンだ。

 かつてこの島はアイスランドくらいの大きさ(日本でいうと九州の2.8倍、北海道の1.23倍)だったと考えられている。

 8000万年前に大西洋中央海嶺の下にあった巨大なマントル・プルーム(流動化したマントルの大規模な上昇流)が激しい火山活動を引き起こした。こうして誕生したのが、後に南大西洋の海底に横たわることになる「リオ・グランデ・ライズ」だ。

 やがて火山活動が沈静化すると、この地形は大西洋を西へと流れ、波の下に沈んでいった。

 ところが約4000万年前、マントル・プルームが最後の火山活動を開始。これによってリオ・グランデ・ライズの西側が切り離された。

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ブラジルの大陸縁辺の地図。右下寄りにあるのがリオ・グランデ・ライズ image credit: Ana Alberoni, modified from Alberoni et al., 2019

かつて島だったことを伝える決定的な証拠

 この発見は、2018年にリオ・グランデ・ライズで行われた2つの科学的調査の集大成だ。

 1回目は、調査船に搭載されたソナーで海底の地形をマッピング。

 これによって、リオ・グランデ・ライズを分断する長さ30キロの峡谷(クルゼイロ・ド・スル・リフト)、古代の海岸段丘、波に削られた台地、海中の滝などの存在が明らかになった。

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水中ドローンによって撮影されたリオ・グランデ・ライズ周辺の海底。赤い粘土はかつてここが島だったことを示している/Image credit: Ana Alberoni, modified from Alberoni et al., 2019

 その8ヵ月後、今度は水中ドローンを利用して、峡谷の壁に露出した岩などを撮影するとともに、サンプルが回収された。

 そうしたサンプルのほとんどは、「カオリナイト(高陵石)」という粘土鉱物だったのだが、これはブラジルのような熱帯の土のいたるところに存在するものだ。

 こうしたことが、今では海の下に沈んでいるその場所が、かつて海面より高かっただろうことを告げている。

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 英国国立海洋センターの海洋地質学者、ブラムリー・マートン氏によると、1980年代に収集された微化石を含む掘削コアなどの証拠もまた、始新世にリオ・グランデ・ライズの西側が隆起したことを示していたという。

 だが海底火山の活動によって西側が露出したことをはっきりと示す証拠が見つかったのは、今回ようやくのことだ。

ブラジルの海が広くなるかも?

 リオ・グランデ・ライズは科学的に好奇心をくすぐってくれるだけでなく、大きな経済的な価値があると考えられている。

 2018年12月、ブラジル政府は国連に、リオ・グランデ・ライズを含む海洋境界線の拡張を申請した。

 これが認められれば、ブラジルの370キロにわたる排他的経済水域(沿岸国が海底資源に対する主権を有する水域)は大きく拡大されることになる。

 だが、そのためにブラジルは、この海域がブラジルの領土と同じ地質学的特性であることを証明する必要がある。

 そしてリオ・グランデ・ライズが、それを裏付けてくれるかもしれない。この海嶺と大陸は、土壌も気候も同じで、直接的な関係があることを示しているからだ。

References:‘Imagine a lush tropical island slipping beneath the waves’: Drowned island the size of Iceland found off Brazil | Live Science / Red clays indicate sub-aerial exposure of the Rio Grande Rise during the Eocene volcanic episode | Scientific Reports / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. 8000万年~4500万年前って白亜紀~第三紀暁新世
    4500万年前だと、インドとユーラシアが衝突した頃。これで申請通るのか?

    • +6
  2. 海底に沈んでいても領土認定されるの?
    日本周辺も探せば出てきそう。

    • +5
    1. >>3
      「延長大陸棚」と呼ばれるもので延長部分はEEZ扱いになる。
      領土・領海とは認められないので注意。

      日本でも小笠原諸島と南西諸島の間の海域なんかが
      これの認定を受けてる。

      • +6
  3. リオグランデライズって、アフリカと南アメリカが分離して離れていく時に一部が海底に沈んだ名残と聞いてたんだけど、違ったって事?

    • 評価
    1. >>4
      ナショナルジオグラフィックの2013.05.10の記事だとそう推測するって書いてある
      プレートテクトニクスを考えれば同じプレートに乗っているんだから大西洋中央海嶺で後から作られて移動したって考える方が自然だね

      • +3
  4. ムー大陸とかアトランティスとかそういう感じの島?

    • +3
  5. アトランティスとかムー大陸とかもないとはいいきれないのかもね
    大きさとかが誇張されているだけで

    • +4
  6. 日中中間線なんかは大陸棚の真ん中だけど二国に挟まれた海域。大陸棚ではなく島だったのも気になるし新たに発見された陸地由来海底地形のためにそれまで認められていた公海の自由が損なわれるのはどうなんだろう。

    • 評価
  7. 沈没島か、沈没船って一瞬見えてビックリしたw

    • +5
  8. ブラジルは経済水域の前に、犯罪組織なんとかして治安向上させる方が良いと思うんだけど……。
    エサぶら下げてるような感じじゃ無い?

    • 評価
  9. これ言い出すとジーランディアとか大変なことにならないですか?

    • +2
  10. 地球儀みたら海底地形って全て解明されてるように見えるけど、案外未調査領域ってのが残ってるんだろうか?

    • 評価
  11. 1872年から1876年にかけてのチャレンジャー号探検航海というのが行われています
    この頃から重要性が認識されて調べられているんですね
    最初の実用的な海底ケーブルが1850年、イギリスのドーバーとフランスのカレーの間に開設されていますが、海底のことを知らなければ敷設ルートの決定はできないでしょう
    潜水艦のための詳細な調査結果もあるのでしょうが軍事機密ですね
    ソナーという便利なものがありますし、グーグルマップレベルなら未調査はないんじゃないかな

    • 評価

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