メインコンテンツにスキップ

海底に沈んだ「ドッガーランド」の失われた文明を調査

記事の本文にスキップ

18件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 今から1万年ほど前、まだイギリス(グレートブリテン島)がヨーロッパ大陸と地続きだった時代、北海には「ドッガーランド」と呼ばれる陸地が存在した。

 すでに海底に沈んでしまったこの陸地は、ヨーロッパ最大の先史時代の集落が存在した重要な場所なのだが、じつは今ピンチにある。

 気候変動対策として、洋上風力発電の開発が急ピッチで進められているからだ。

 時間との戦いを強いられる英ブラッドフォード大学の研究チームは、限られたチャンスを活かすため海底の「磁気フィールド」を利用して調査を行っている。

磁気を利用して水没した文明の存在を探る

 博士課程の学生ベン・ウルムストン氏が探そうとしているのは、磁気データに表れている磁場の異常だ。それは海底の遺跡の存在を示すものだ。

 「磁場の小さな変化は、泥炭が形成された地域や堆積物、あるいは河道などの浸食された場所など、地形の変化を示していることがあります」と、ウルムストン氏はプレスリリースで説明する。

 こうした磁気の異常を探る方法は、地上での考古学的調査ではよく利用されている。

 だがウルムストン氏らはそれを海底に応用しようとしている。そうすることで、わざわざ潜ることなく、海底の遺跡を調べられると考えられるからだ。

 運が良ければ、狩猟採集の痕跡や貝塚のような、当時の人々がそこで生活していた証拠が見つかるかもしれない。

海底に沈んだ大陸「ドッガーランド」

 ドッガーランドは、後期旧石器時代から中石器時代(紀元前2万年~前4000年頃)にかけて、現在のイギリス南東部にあったとされる陸地だ。

 当時は豊かな資源と生態系にめぐまれた地域だったが、紀元前6500 ~ 6200年頃、最終氷期が終わりを迎えて、地球が暖かくなると海に飲み込まれてしまった。

 この地に由来する遺物のほとんどは偶然発見されたもので、そこで暮らしていた人々やその暮らしぶりについてはほとんどわかっていない。

 だがもし、貝塚などの痕跡が見つかれば、その周辺のサンプルを炭素年代測定して、それらが作られた時代を割り出すことができる。

 ブラッドフォード大学は、先史時代の海洋地形の研究では世界的に有名な大学で、これまでも地震マッピングや堆積物の研究などを通じて、ドッガーランドの謎の解明に挑んできた。

風力発電の開発が進み、調査が困難となった北海

 分析される磁気データは、環境影響評価の一環として北海を調査する某コンサル企業から提供されたものだ。

 北海では、石油・ガス・鉱物関連企業や、洋上風力発電企業が調査を進めている。そうした調査では、船にケーブルで魚雷にも似た磁力計を結びつけ、海中を引っ張りながら磁場を測定する。

 じつはこのことは海に沈んだ人類の痕跡に関心を抱く考古学者たちには、あまり時間が残されていないということでもある。

 とりわけ現在は、温暖化防止のために洋上の再生可能エネルギー開発が盛んに行われている。

 2050年までにCO2排出量をゼロにするという公約を掲げたイギリスを筆頭に、洋上風力発電の開発が急ピッチで進められているのだ。

 仕方のないことであるとはいえ、ドッガーランドが眠る海は今後そう簡単に調査できなくなる可能性がある。

 だからブラッドフォード大学の海の考古学者たちは、企業と協力して今のうちに調査を進めている。それは時間との戦いだ。

References:Magnetic fields to be used to explore submerged civilisations – 2023 – News – University of Bradford / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. つい最近じゃん
    自然の働きで短時間で簡単に地形も変化するのね

    • +1
    1. >>1
      最終氷期が終わった後の海面上昇や
      巨大な海底地すべりで発生した
      津波による浸食などで消滅したんだとか。
      かなり脆い地質だったのかな。

      • 評価
    2. >>1
      農耕始まってる時期にクリミア半島ってできたんやで?大洪水の神話の元かもしれん。

      • 評価
  2. 今はドッカーバンクと呼ばれてる所かな?
    豊かな漁場で日露戦争の時にバルチック艦隊が漁船を誤って蹴散らした事で有名な

    • +1
    1. >>3
      その約10年後には、イギリスとドイツの巡洋戦艦隊が交戦していますね(ドッガーバンク海戦)
      弩級戦艦級同士の海戦としては世界初で、かつ貴重な戦艦同士の海戦です

      • 評価
  3. ぐぐったら水深15~36mか。そら海から顔出したり潜ったりするわ。

    • +1
  4. あんれま~ドッガーランドが見当たらねえ~
    どっがいっちまっただ

    • +1
  5. このドッガーランドや、スンダランド等海に沈んだ平原というのは結構あるよね。スンダランドなんかは稲作の起源ではないかなんて説もある。本当の世界最古の文明は今は海底に眠っているんだろう。今だって人口密集地帯は海抜の低い平野部だしね

    • +2
    1. >>7
      身近なところじゃ日本の瀬戸内なんかも海に沈んだ平野だったな

      • +1
    2. >>7
      (現時点で)最終氷期は7万年前に始まって1万年前に終わっているらしいから、その可能性はかなりありそう
      寒い中をアメリカに渡った集団もいれば、南はオーストラリアにまで達した集団もいて、人間はかなりアグレッシブに活動していたようですねw

      • 評価
  6. 磁気フィールドかぁ
    今の時期はロシアとかイギリスの潜水艦とかでいろいろ引っ掛かりそうな気もするな

    • 評価
  7. スンダランドとか瀬戸内海にも色々眠ってそう

    • 評価
  8. 日本海の大和堆もほんの数千年前は陸地だったりして
    ていうかあの辺りの形状は巨大カルデラのトバに似てるよな
    さらに日本海そのものがカルデラに見えてくる

    • 評価
  9. 再生可能エネルギーのための調査で文明の痕跡が永遠に再現不可能になるかもしれないって皮肉だね

    • 評価
  10. 貴重な歴史財産を破壊してまで風力発電する必要あるんか?

    • 評価
  11. フランスのノルマンディー沖かブルターニュ沖の伝説だったかうろ覚えだけど、海に沈んだ町
    イースの話が思い浮かぶな。
    氷河時代の終わりに起った海面上昇で水没した大規模集落が現在まで語り継がれていったのかも。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。