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ヒトデのユニークな体の構造。胴体を持たず体の全てが頭だった

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(著) (編集)

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 ヒトデの体の構造について考えたことがあるだろうか?多くの種は星型をしており、中央の盤(ばん)と、そこから放射状に5本の腕(種によってはもっと多い)が伸びている。

 最新の研究によるとヒトデには胴体がなく、腕を含めて体全てが頭なのだという。

 これはサウサンプトン大学やスタンフォード大学などのチームがヒトデの遺伝子を調べたことで明らかとなった。

 つまり彼らは頭部だけで海底を這いずりまわっているのだ。

 『Nature』(2023年11月1日付)に掲載された研究では、「外胚葉パターン形成の観点からは、棘皮動物はほとんど頭のような動物である」と説明されている。

ユニークなヒトデの生態

 ヒトデ・ウニ・ナマコといった「棘皮動物」は、魚と同じく海ではおなじみの生き物たちだ。いずれもユニークな形をしているが、中でもヒトデは多種多様でユニークな存在だ。

 人の顔ほども大きなものゴム手袋みたいなものなど、ヒトデと一口に言ってもさまざまだが、共通しているのは星型であるところだ。腕の形は5本が多いが中にはもっとたくさんの腕をもつヒトデもいる。

 ほとんどの動物が単純な左右対称の体(左右相称動物)をもち、ヒトデもこの仲間に分類されている。

 もっとも古いヒトデの化石は、最古の恐竜より2億年以上も前のものだ。その頃から星型なのだから、その体が合理的なものであろうことはわかる。

 それでもなぜ星型になっているのかを理解するのは難しい。

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イトマキヒトデの一種バットスター(Patiriaminiata) / image credit:Chan Zuckerberg Biohub

 「私たちが知る限り、棘皮動物の体の部位が、ほかの動物の体とどう対応しているのか、科学者にとっても謎に包まれています」と、研究チームの1人、英国サウサンプトン大学のジェフ・トンプソン氏はプレスリリースで説明する。

 ヒトデに近い左右相称動物ならば、その体は頭・胴体・尾に分かれているはずだ。だがヒトデの場合、その体のどこが頭で、どこが胴体なのか判然としない。

 そこで今回の研究チームは、ヒトデの遺伝子を調べることで、「棘皮動物」が「後口動物」(左右相称動物の1グループ。棘皮動物・脊索動物などが含まれる)のどこに位置しているのか特定を試みた。

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ヒトデのマイクロ CTスキャン。骨格 (灰色)、消化器系 (黄色)、神経系 (青色)、筋肉 (赤色)、水管系 (紫) が示されている / image credit:University of Southampton.

胴体を作る遺伝子のスイッチが切れていた

 分析対象となったのは、「バットスター(Patiriaminiata)」というイトマキヒトデの仲間だ。

 RNAトモグラフィと原位置ハイブリッド形成法という方法で、彼らのどの遺伝子のスイッチがオンになっているのかを示す3次元マップを作成し、そこから彼らの体の秘密が探られた。

 まず体の前後への発達に関係する「前後軸パターン形成」の転写因子(遺伝子のスイッチを制御するタンパク質のこと)を見てみたところ、ヒトデではそれが腕の発達に関係していることがわかった。

 だが、それよりも目を引いたのは、ヒトデには重要なものが欠けていたことだ。それはほかの後口動物では、胴体を発達させる遺伝子だ。

 「ヒトデの遺伝子の発現を、脊椎動物などのグループと比べてみたところ、体の設計の重要な部分が欠けているようでした」と、トンプソン氏は説明する。

 胴体を作る遺伝子のスイッチが、ヒトデの外胚葉(初期胚にみられる構造の1つ)ではオフになっていたのだ。それはつまりヒトデの体全体は、ほかの動物でいう頭部に相当するということだ。

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イトマキヒトデの仲間「バットスター」の遺伝子発現を表したもの。ここから前後軸パターン形成の様子を見て取ることができる / image credit:Formery et al., Nature, 2023

胴体を捨て全て頭として生き残ってきたヒトデたち

 こうした結果からは、ヒトデをはじめ棘皮動物がかつては胴体を作る設計図を持っていたにもかかわらず、どこかの時点で捨て去ってしまった可能性がうかがえる。

 それは大胆な戦略だが、少なくとも棘皮動物に関して言えば、うまくいったようだ。

 全て頭と言っても彼らは脳も血液ももっていない。体に分布する感覚細胞で受けた刺激を神経で各器官に伝えている。匂いの感覚細胞が体表全体にあるため、匂いで餌を探り当てることもできる。

 また、中央の盤さえ残っていれば何度腕を失っても再生可能だ。

Long presumed to have no heads at all, starfish may be nothing but

 今回の発見は、棘皮動物がなぜあのようなユニークな姿をしているのか理解するヒントであるとともに、大昔の化石を解釈する新しい道具をももたらしている。

 「この研究は、棘皮動物の体が、想像以上に複雑に進化してきており、この不思議な生き物たちについてまだまだ知らないことがたくさんあることを物語っています」と、トンプソン氏は言う。

 10年間、棘皮動物を研究してきた同氏だが、今回の発見によって、ヒトデという動物を見る目がガラリと変わってしまったそうだ。

References:Starfish body is a head, say scientists | EurekAlert! / Long presumed to have no heads at all, starfish may be nothing but / Starfish Are Basically Bodiless Heads Crawling Around The Ocean, Scientists Say : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 30件

コメントを書く

  1. 生首がよちよち動いてる想像しかできなかった

    • +9
      1. >>3
        いままさに「まだか、フォルネウス」って書きにきたら
        もういたw

        • +1
    1. >>1
      胴体の遺伝子オンにしたら何が生まれるんだ?

      • 評価
  2. その切れてるスイッチをオンにするとどんな形の生き物になるの?

    • +9
    1. >>4
      ウミユリの柄の部分みたいのが出来ると予想

      • +3
  3. ということはヒトデマンとスターミーの赤いコアの部分は失われた胴体部相当にあたる説が出てきたか

    • 評価
  4. DIOと同じというわけか
    承太郎はヒトデ博士で…つくづく因縁とは恐ろしいものだな

    • +4
  5. 人間の本体は腸って説思い出したわ
    俺たちは腸のために手足動かしてるに過ぎないんだとか
    進化の過程で最初に発生した器官が腸なので、後からできた他の器官は全てそのサポートっていう

    • +7
    1. >>9
      それならばヒトデは手足をなくし頭に腸を取り込み這いずり回っているというのか!
      まあその通りなんだけど。

      イトマキヒトデ幼生の原腸域の決定と分化に関する研究
      https://tohoku.repo.nii.ac.jp/records/70241

      • +4
  6. なるほど
    千切れた腕から全身再生できるのってそう言う絡繰りなのね

    • +2
  7. 承り太郎さんも、ヒトデの研究発表をする時だけはやたら早口でニッコニコで口の端に唾溜めたりしてるんだろうか

    • -1
  8. はて❓ 腕を失っても再生するが…………身体は全て【頭】という不思議な生き物🤔
    頭は何個あるんだ❓ 中央に一個で全体に広がってそれが腕をも形成してるのか❓🤔
    よう判らんのだから………😓

    • 評価
  9. つまり連中は考える筋肉というわけだ。寄生獣かな?

    • +1
  10. 棘皮動物、散在神経だから神経を集約させる(≒脳を作る)必要性がなかったってことなンゴかね??

    • 評価
  11. 体はないけど頭はある、頭はあるけど脳はない、血液はないけど神経はある。
    なんか植物と動物の中間的な進化を遂げた生き物ってかんじなんだろうか。
    棘皮動物、不思議な生き物ですね。

    • +1
  12. 同じ地球上の生き物でもここまで訳分からんのやから、宇宙人なんてもう想像つかないな

    • +1
  13. ヒトの脳が司る体の部位を、体の各部位のイラストを脳イラストに重ねたのがあるけど、ヒトデの場合はどんな風になるんだろう。

    • 評価

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