メインコンテンツにスキップ

地球の内部に原始惑星「ティア」の残骸が閉じ込められている可能性

記事の本文にスキップ

10件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 地球の内部、アフリカ大陸と太平洋の下あたりには、何やら奇妙なものが存在するという。それはマントルの最深部にありながらも、マントルとは違う物質でできた塊で、それぞれの大きさは月の2倍もある。

 正式には「大規模S波速度低速度領域(LLSVP/LLVP)」と呼ばれるこの塊は、一体どこからやってきたのか? その正体は、1980年代にその存在が明らかになってから、研究者をずっと悩ませてきた大きな謎だった。

 だが最新の研究によると、LLSVPは宇宙からやってきた古代の惑星の残骸なのかもしれないという。

 米国アリゾナ州立大学を始めとする研究チームによると、その正体は数十億年前に地球と衝突し、月を誕生させた原始惑星「テイア」であるという。

マントルと核の境界に潜む大きな塊の謎

 地球の地下3000km、マントルと核の境界に潜む大きな塊のことを、「大規模S波速度低速度領域(LLSVP/LLVP)」という。

 地面の奥深くにそんなものがあるとわかるのは、地震によって生じた地震波のスピードが、そこを通過するとき遅くなるからだ。

 LLSVPの正体については、「古い地殻変動スラブの残骸」「高温のスポット」「マントルの底にあるマグマの海」など、地球内部で起きた何らかのプロセスによって形成されたものではないかと推測されてきた。

原始惑星「テイア」の行方

 だがアリゾナ州立大学の地球物理学者チアン・ユアン氏らはかねてから、かつて地球に衝突し、月を作り出したと考えられる原始惑星「テイア」が関係していると考えていた。

 45億年ほど前、火星ほどの大きさだったテイアが地球に衝突、飛び散った破片が集まって月が誕生した。これが月の起源について最も有力とされる「ジャイアント・インパクト説」だ。

 実際にそのような激しい衝突が起きていたとすれば、小惑星帯や隕石などにテイアの破片が残されていても良いはずだが、これまでのところ発見されていない。

この画像を大きなサイズで見る

 ならばテイアはどこに行ったのか? 専門家は、そのほとんどは地球と月に取り込まれたと考えている。

 そして月には、テイアと地球の衝突を示す痕跡が残されている。一方、地球では、長い時間のうちに内部が均一化して、テイアの痕跡は消えてしまった…と思われた。

 だがユアン氏らは、そうではないと考えている。

 『Nature』(2023年11月1日付)に掲載された今回の研究では、コンピュータ・シミュレーションを繰り返し、テイアの衝突が地球に与えた影響を検証している。

 その結果、テイアの塊が地球の奥底にLLSVPとして残っている可能性が明らかになったのだ。

この画像を大きなサイズで見る

なぜテイアは消えなかったのか?

 月を誕生させるほど激しい衝突をしたのなら、テイアと地球は、これまで考えられていたように、完全に混ざり合ってしまったとしても不思議ではない。

 なのになぜ、テイアは今でも塊として存在すると考えられるのだろうか?

 ユアン氏らのシミュレーションでは、衝突のエネルギーのほとんどは、マントルの上部にとどまり、下部にはそれほど影響を与えなかったことがわかっている。

 だからマントル上部では、地球とテイアはマグマの海の中で混ざり合った。一方、マントル下部では完全に溶け合うことなく、テイアの鉄分を多く含む物質がほとんどそのまま残った。

 そしてそれはマントルの底に蓄積し、今でもLLSVPとしてそこにある。

月から採取したサンプルと比較することで仮説が検証可能

 これは科学者にとって朗報だろう。というのも、実際にこの仮説を検証できるからだ。

 テイアの衝突をシミュレーションした過去の研究では、月の物質のほとんどはテイアに由来するだろうことがわかっている。

 ならば将来的に月からサンプルを採取し、それを地球のLLSVPと比べてみればいい。

 両者の化学な特徴が同じならば、地球内部には月と同じ物質、すなわちテイアの残骸が残されているという裏付けになる。

 そして仮にそうだったとすれば、それは地球形成の歴史や、太陽系の歴史についてさらに理解を深める新しい手がかりになるはずだ。

 それどころか、ひいては太陽系以外の惑星や、その居住可能性についてもっと知ることもできるかもしれない。

 この天の川銀河では、地球とまったく同じような惑星は一つとして見つかっていない。宇宙広しといえども地球が唯一無二の存在なのは、もしかしたらテイアとの衝突が関係しているのかもしれない。

 「大昔月の誕生につながった衝突は、地球の進化にも長い影響を及ぼした可能性があります」と、ユアン氏は語っている。

 「それが、地球がほかの岩石惑星と地質学的に一線を画している根本的な要因の一つかもしれませんね」

References:ASU researchers discover Earth’s blobs are remnants of an ancient planetary collision / Scientists Detect Traces of an Ancient Alien World Beneath Earth’s Mantle : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 10件

コメントを書く

  1. 昔刺さった鉛筆の芯がn十年経った今も残ってる的な話だね

    • +11
  2. アフリカ大陸の下と太平洋の下との2箇所にあるのは
    ティアが衝突の衝撃で2つに分かれたんだろうか。
    それとも別々に2度の衝突があった?

    • +4
    1. >>4
      ぶつかったあとに大陸プレートごと移動したのかもしれないね

      • +4
    2. >>4
      シミュレーション動画を見ればわかる。地球の中心を外れて擦るようにぶつかって、現アフリカ南部から太平洋までめり込む形になったらしい。

      にしてもそのテイアという惑星はどこからやって来たんだろう。

      • +4
      1. >>8
        原始太陽系では軌道不安定な惑星は数多くあり、今の惑星数に落ち着くまで多くの小惑星が様々な惑星に衝突し、整理されていっただけですし?
        なので「ティアがどこから来たか」という話に関しては、単に太古の地球と軌道が近くにあった小惑星が地球と衝突して整理されただけですね

        あと”ティア”の話は
        「地球と月の惑星形成モデルとして一番有力な説として定義された”ジャイアントインパクト”説を補強するために定義されている原始小惑星」
        …というだけで、実際に存在したかどうかは不明。
        ただ、”ティア”の存在を定義して説明することが現時点では一番自然なモデルというだけ

        • +2
      2. >>8
        >にしてもそのテイアという惑星はどこからやって来たんだろう。

        地球や他の惑星と一緒に太陽系で生まれたのでは。
        ただその公転軌道が地球と近かったから早い段階でぶつかったと。
        誕生初期の太陽系内ではそういう衝突があちこちであったはず。

        • +4
  3. 『ならば将来的に月からサンプルを採取し、それを地球のLLSVPと比べてみればいい』
    お、おう……(できねーよ)

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。