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イギリス人は肉やパン、じゃがいもを食べなくなった。過去60年間で食生活が激変

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(著) (編集)

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 イギリスの定番料理といえば、フィッシュアンドチップス、ローストビーフ、シェパーズパイ、ソーセージアンドマッシュ(ポテト)といった腹持ちのいい、じゃがいもを含んだメニューが代表として挙げられることが多い。

 今でもじゃがいもはイギリスの料理は欠かせないが、過去60年でイギリスは主食とするイモやパン、赤身の肉の消費量が激変したという。逆に鶏肉や魚、米とパスタの消費量は倍増しているそうだ。

 では、なにが理由でどういうふうに変わったのか。その変化をみてみよう。

赤身肉の消費量は最大81%減少

 その昔、イギリスは「料理がマズい国」と言われてきたが、近年は他国の料理をうまく取り入れた食文化が浸透して久しい。

 多種多様の国の料理が味わえる外食はもちろんのこと、家庭での食生活も変化した。

 過去60年間におけるイギリス人の食品購入量を追跡したデータによると、イギリス人は以前よりも肉、じゃがいも、パンを食べる量が減っているという。

 健康への配慮、菜食主義の安定した人気、気候変動への懸念の高まりを背景に、赤身肉の消費量は70年代以降、最大81%も激減したという。

 それでも日本人よりは多い気がするが、平均するとイギリス人は毎週854gほどしか肉を食べていないことになる。

 それはステーキ1枚、ベーコン3枚、ラムチョップ3本、ソーセージ2本、鶏胸肉1枚に相当する量だ。

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鶏肉と魚、米とパスタの消費量は倍増

 ちなみに、記録が始まった1974年は、週の肉の消費量は平均1023gだったそうだ。

 しかし、赤身肉よりもヘルシーとされる鶏肉と魚の売上は倍増していて、健康志向のイギリス人がより脂肪分の少ないタンパク質を求めていることを示している。

 その他の興味深い政府の数字によれば、イギリス人は40年前に比べてじゃがいもをこれまでの半分の量しか食べなくなったようだ。

 一方、米とパスタの消費量は爆発的に増加している。

 肉の種類別では、内臓肉が最も減少している。レバー、牛タン、三枚肉、そして伝統的に安いとされてきた同様の製品の消費量は、1974年以来90%も減少している。

 ラムやマトンも81%減の週21g、豚肉は57%減の39gと急減している。

 国内で最も愛されている食品のひとつであるベーコンでさえ41%減少している。この数字にはハムも含まれ、その消費量は週83gだ。

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健康的な食生活を求めるイギリス人が増加

 近年、イギリスではベジタリアンやヴィーガンが増えたことから、より健康的な食生活を求める人が増加していると考える人もいる。

 大豆やその他の「代替タンパク質食品」も急増し、平均的なイギリス人は週に肉や魚の代替品を約13gも食べているという。

 レディング大学の食品科学者グンター・クーンレ教授は、このように述べている。

全体的に肉の人気は落ちていて、人々はミンチなども脂肪分カットのもの、また鶏肉をより食べることに熱心になっている傾向があると思います。

また、果物と野菜を「1日5個」食べると体に良いという、消費者に向けたメッセージも一役買っているかもしれません。スーパーマーケットのお買い得品も消費者の気を引いていると言えるでしょう。

 バーミンガムにあるアストン大学栄養士のドゥエイン・メラー博士も、様々な要因が重なって、イギリス人の赤身肉の摂取量を減らしていることに同意している。

鶏肉に切り替えて肉の消費量を減らすという変化は、おそらく販売価格や嗜好、そして特に赤身肉の健康への影響についてのメッセージの組み合わせでしょう

 イギリスを代表する「イングリッシュ・ブレックファスト」には、昔からソーセージやベーコンといった加工肉が使用されていて、今でもそれは定番となっている。

 しかし、腸がんは毎年17000人近くのイギリス人を死亡させていることから、NHS(イギリス国民健康保険サービス)では何年も前から赤身肉や加工肉の食べ過ぎは腸がんのリスクを高めると警告している。

 イギリス人が勧められているそれらの肉の消費量は1日最大70g、1週間で約490gだそうだ。

 近年イギリスでは人々が肉食を控えているからか、野菜や果物の摂取量が増加傾向にある。

 ただ、赤身肉を食事から減らそうとしている人は、体に必要な栄養素が不足していないことを確認するための措置を講じるようNHSから警告が促されている。

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気候変動を考慮した消費者が増加したことも要因の1つ

 個々が健康的な食生活を考慮するようになったことにくわえて、イギリス人は地球環境にも関心を持つようになったのではとメラー博士は言う。

これらの食生活の変化を説明するのに役立つかもしれない他の理由は、食肉生産の環境的側面に対する懸念かもしれません。

 大規模な畜産は生息地を破壊し、温室効果ガスを発生させるからだ。

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じゃがいもやパンの消費量も激減

 比較可能なデータの最も古い年である1974年以降に変化したイギリス人の食生活を見ると、肉だけではなくじゃがいもの摂取も激減しているのがわかる。

 かつて70年代、イギリス人は平均して毎週1.5kg近くのじゃがいもを食べていた。

 これは、料理に使用される生のじゃがいもとスナック菓子のポテトチップスのような加工品の両方の摂取量だ。

 昔からイギリス人は、昼間のサンドイッチのお供として小さなパッケージのポテトチップスを食べる習慣があった。

 そのため、全体としてじゃがいもはかつて平均的なイギリス人の1週間の食事の約17%を占めていたが、現在はわずか10%にまで減っている。

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 もうひとつの主食であるパンも同様に人気がなくなっている。

 週に1kg食べていたパンの摂取量が500g以下に減っているという。これは主に、白パンを買う人が激減したことが原因だそうだ。

 白パンそのものは全粒粉の代替品に比べて栄養が乏しく、健康的な消化に不可欠な食物繊維も不足しているとして悪者扱いされてきた。

 イギリスでは、今は米(365%増)やパスタ(177%増)といった他の炭水化物の人気が高まっているようだ。

 ピザは最も劇的なブームのひとつで、1975年には週4グラムだったのが、2022年には76グラムにまで増加している。

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イギリスと言えば紅茶だったはずがコーヒーに

 衝撃的なことに、イギリスといえば飲み物は紅茶と言われてきたが、近年コーヒーは紅茶を抜いてイギリス人が選ぶ飲み物になっている。

 1974年、イギリス人は週に平均68グラムの紅茶を購入していたが、2022年にはわずか22グラムに減少している。

 対照的に、コーヒーはインスタントと焙煎コーヒー豆の両方で、1974年の週18グラムから2022年には27グラムとなり、グラム単位では紅茶を上回っているという。

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スィーツとお酒好きのイギリス人

 イギリス人はケーキやビスケット、チョコレートのようなお菓子が大好きだ。1週間の食品購入量の約8.3%を占めている。

 グラムに換算すると、455グラムから524グラムに増えており、これは1週間に75グラムのチョコレートバー1本分に相当する。

 結果としては、イギリス人が70年代に比べてより多くの果物や野菜、赤身の肉を選ぶようになったが、アルコール消費量は当局がビール、ワイン、蒸留酒の購入データを記録し始めた1992年以降急増していることが判明した。

 ビールは21%、蒸留酒は48%、ワインはなんと61%も増加している。

 つまり、平均的なイギリス人は毎週ビール360ml、スピリッツ40ml、ワイン209mlを消費していることになる。

 これはパイント半分(284ml)強、ショット2杯、ワイン小グラス2杯に相当する。

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 この側面を見る限り、イギリスの食生活が変化したのは「健康面への配慮」が理由とはいえないようだ。

 また、最近ではインフレの影響で肉や魚の値段が高騰していることから、それらの摂取を控えているという人も決して少なくはないだろう。

 いずれにしても、イギリスの食生活は大きく変化してきている。

 もしかしたら10年後には、「フィッシュアンドチップス」がイギリス人にとって“懐かしの食べ物”になってしまうかもしれない。

References:How Britain’s fallen out of love with red meat (as well as tea, potatoes, bread and milk!): Fascinating charts show how diets have drastically changed since the 70s – and we now eat up to 80% LESS beef, pork and lamb/ written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 48件

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  1. 移民で民族構成が変わったことが大きな原因では?
    タンパク質は鶏肉や魚、炭水化物は米というのはインドやバングラディシュ、中近東の人の食文化じゃないかな?
    白人の人の食文化を変えたかどうかの憲章が必要に思う。

    • +40
    1. 地産地消で、冷涼気候で育つ作物の品種が限られていたり
      鮮度を保った海外からの輸入が難しかった昔とちがって、
      ジャガイモや内臓肉に固執しなくても、
      もっと美味いパスタや米料理、地中海みたいな果物や野菜
      が容易に入手可能になったなら、そっちへ流れるのは自然では。
      日本も、米や魚の消費量は、昭和よりだいぶ減ってるし。

      あと、>>4で指摘されている
      インド系移民・アフリカ系・カリブ系・中華系なんかの
      移民料理の影響が大きいと思う。
      代々の白人が食べるにしても、ロンドンとかカレー屋は多いし。

      • +11
    2. >>4
      テレビでレイチェル・クーの料理番組良く見ますが、移民が作る屋台の食事や多国籍料理のレストランが流行しているから、これが正解と思います。

      • +6
  2. より安い物への移行とは違うのかな
    それならどの国でも起きてる筈だけど

    • +9
  3. この様子だとマーマイトの消費変わってなさそうだな

    • +5
    1. >>6
      マーマイトって何?て調べたら
      発酵食品だし、ビタミンあるし、
      むしろ消費伸びてそう

      • +3
      1. >>23
        かなり有名なのに…
        イギリス料理の付け合せ調味料的存在

        • +7
  4. 伝統的な食文化は味付けや調理法を変えにくい
    新しく入ってきた外の料理なら自分達に会うように変えるのに抵抗が無い

    • +8
  5. 米が増えた?
    カレーライス普及のチャンスだな。

    • +1
    1. 米8
      すでにチキンカレーはイギリスで大人気のはず

      • +7
    2. >>8
      カレーライスってイギリスから伝わったんでは
      逆輸入か

      • +5
  6. 一日にお肉70グラムって本当ーーに少ないよ?
    本当だろうか・・・

    • +6
    1. >>10
      赤身肉や加工肉についての推奨量
      肉全体ではない

      • +1
      1. >>37
        なるほど
        レス見る前に>>41書き込んじゃった汗

        • 評価
  7. フィッシュアンドチップスを手放したのかい…!?

    • +7
  8. 安くて美味しい食材の消費が多くなっただけでは?

    • +6
  9. 日本の影響でより健康になってるって事だろ
    そりゃどの国だろうと寿命は伸ばしたいだろうし日本の食生活を参考にするのは当然だからな
    ポテト、パン、赤身肉なんてたまに食うくらいがちょうどいい

    • -19
    1. >>13
      極端に平均寿命が短いならともかく、平均なら長年かけてその食生活に適応したって事だから猿真似は少し疑問だな
      今まで油自体摂取しなかった日本人がオリーブオイルとか大量に取っても逆に不健康だろ

      • +1
  10. いや金欠が原因じゃないの……?
    日本と同じで

    • +18
  11. 体重の遷移と実際の体型もどうなっていったか知りたい

    • +11
  12. 日本は逆に米を食わなくなったから食の平均化みたいなんが起きてるのかな

    • +7
  13. イギリスでイギリス人の友達と外食に行ったら美味しい料理が次々と出てきたのでびっくりして
    「イギリスがメシマズってのは嘘だったんだね」
    と言ったら
    「最近のコックはみんな移民だからね」
    だとさ

    • +16
    1. >>20
      移民のおかげで、単調だったメニューが豊富になった、ってどこかで見たよ。ドイツもそうらしいね。

      • +10
  14. ずいぶん昔の本だが「僕が肉を食べなくなったわけ」という本があったが確か著者はイギリス人だったな

    • 評価
  15. 鶏肉の消費が増えたのはタブーとするメジャー宗教がないからじゃないかな
    KATSUカレーもチキンカツが使われているものを指すそうだし

    • +11
  16. 日本のおかげって意見には笑うしかないぜ。カレーやラーメン絶って毎日煮しめだけの生活してみて欲しいぜ。

    • +9
    1. >>27
      インド人が日本のカレーライス食べて、「これは美味しい日本食ですね」と言うらしいね

      • +3
    2. >>27
      どちらかと言えば日本は元来の健康食から逆行してるイメージだよね

      • +3
  17. 値段の比較が無いのでダメダメな記事

    鶏肉が増えたのは貧乏になったからじゃねーの?

    • +1
  18. パンがダメでパスタはOKってのがよく分からん

    • +7
    1. >>30
      パンは純粋に穀物だけじゃないからね。
      バターや砂糖が入ってるから。

      • +1
  19. 各国一人当たりの食肉消費量ってデータ見りゃ分かるけど、国家の経済状況は案外それほど影響しない
    健康志向やグローバル化の次ぐらいの要因ではあるかもしれないけどね
    羊肉消費見ると戒律の影響もデカそうなんだよなぁ

    • +3
  20. 自国の料理が不味いってようやく気づき始めただけじゃない?

    • 評価
  21. これは昔の方がひどい偏食だったって話だと思う
    イギリスは産業革命の時期にいったん食文化が壊滅しちゃって、貧乏な庶民は砂糖たっぷりの紅茶やお菓子を食事の代わりにしてた有様だった(キットカットはそんな背景で生まれたお菓子だった)
    この記事の内容見るに、二時大戦後ですら安い炭水化物ばっかり食べて腹の足しにしてたんだろね
    一度壊滅したイギリスの食文化が「復興」しつつあるって話だと思う

    • +2
    1. >>36
      「復興」というか……壊滅的になったイギリス食がいよいよ本格的に駆逐されて
      外食しか残ってない状態なんじゃ

      • +3
  22. 言うて紅茶1杯作るのに使う量って2g~3gだから、ほぼ日に1杯は飲んでない?

    • 評価
  23. 解せない・・・
    ファミチキ1個で90グラムだよ?
    一日に70グラムしかお肉たべないってあり得る?
    マジで何食べてるんだ彼らは・・・

    • +1
  24. フィッシュ&チップスがおばあちゃんちの料理扱いされる日もくるのだろうか
    ニシンのパイのごとく

    • +5
  25. どうでもいいことだけど、自分イギリスのレストランで働いてたことあるけど、向こうの豚肉って日本と比較したら滅茶獣臭いよ。マジで次元が違う。
    たとえば豚カツ作るのに胡椒に加えて相当量の臭い消し用香辛料を加えても揚げたやつカットしたら獣臭いっていうw
    むわーっと畜舎の匂いがするんだよ。
    ベーコンも日本のものと比較して明らかに臭かったのが印象に残ってるわ。
    日本で売ってるスウェーデンとかからの輸入豚肉って臭くないのに地理的に近いイギリスの豚肉がこんなに臭いのはいったい何故なんだぜ?と困惑してました。

    • +8
    1. >>44
      育成環境が違いすぎるからな
      あくまでも家畜は家畜で肉を得ることが最重要なので育成環境はかなり劣悪。

      • +1
    2. >>44
      イギリスでラーメンが人気で、しかも豚骨ラーメンが人気らしい
      豚骨ラーメンが人気なのってそういうことなのかもね

      • 評価
  26. 日本と変わらんな。他国と交わる国は料理の傾向が変わる。

    • +3
  27. ただ単に高齢化で肉食が少なくなってるとか

    • 評価
  28. むしろ今までどんだけ肉とじゃがいも食ってたんだよ……

    • +1

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