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富士山山頂の雲の中でマイクロプラスチックを発見。雲水では初検出

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(著) (編集)

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 非常に微細なマイクロプラスチックによる環境汚染が世界規模で進んでいる。早稲田大学の研究チームによると、なんと富士山の山頂の雲の中からも小さな粒子が見つかったそうだ。

 それはペットボトルや衣料などの原料となる「ポリエチレンテレフタレート」や「ポリカーボネート」といった、私たちにも身近なプラスチックだ。

 こうしたプラスチック粒子が大気とくっついて雲を作り出すのでは?との疑いは前からあったが、実際にそれが検出されたのは今回が初めてのことだ。

 それは地球の気候に影響与えている可能性があるだけでなく、「プラスチックの雨」を降らせ私たちの大切な水源を汚染している恐れがあるという。

マイクロプラスチックの雲

 マイクロプラスチックは特に海を汚染することで知られているが、じつは大気からもこれらの小さな粒子が見つかっている。

 陸上や海から発生したマイクロプラスチックは大気中に放出され、「自由対流圏(自由大気)」に乗って世界中に運ばれていると考えられている。

 自由対流圏とは、高度2~2.5kmにある対流圏の上の摩擦の影響受けず、風が吹きやすい大気層のことだ(たとえば、日本の気候に大きな影響を与える偏西風がそれだ)。

 一般にプラスチックは水を弾く性質をもつ。ところがそのような上空では紫外線が強いために劣化が進む。すると本来は水を弾くはずのプラスチックに、水がくっつくようになってしまうのだ。

 そのため、こうした大気中のマイクロプラスチックが核となって、雲を作り出す可能性がこれまで指摘されてきた。そのことを示すように、雨からマイクロプラスチックが検出されたこともある。

 それでも、これまで実際に雲から検出されたことはなかったため、本当のところどうなのかはよくわかっていなかった。

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photo by Pixabay

富士山山頂の雲からマイクロプラスチックを検出

 そこで早稲田大学の大河内博教授が率いる研究チームは、最新の技術を用いて、本当に雲の中にマイクロプラスチックがあるのかどうか調べてみることにした。

 調査されたのは、標高3776mの富士山の山頂だ。その高さは自由対流圏にある。ほかにも大気境界層に位置する富士山南東麓(標高1300m)と丹沢大山山頂(標高1252m)の雲も調べられた。

 その結果、合計70個、9種類のプラスチック片や粒子が発見されたのだ。

 とりわけ多かったのはペットボトルや衣料に使われる「ポリエチレンテレフタレート(PET)」や、スマホのボディや建材、医療機器などに使われる「ポリカーボネート」といった私たちには身近なプラスチックだ。

 他にも包装材料、繊維、文具、プラスチック部品などに使用される、身近な「ポリプロピレン」なども見つかっている。

 さらに、こうしたプラスチックは主に海からやってきただろうことも明らかになっている。

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早稲田大学プレスリリース

プラスチックの雨が、地球の気候に影響を与えている可能性

 実際に雲の中からマイクロプラスチックが見つかったことで、こうした粒子が核となって雲が形成されているだろうことがいっそう濃厚になった。

 研究チームによると、こうしたマイクロプラスチックによって作られた雲は、太陽の光を反射するとともに、雨のパターンも変化させ、地球の気候に影響を与えている可能性があるという。

 さらに懸念されるのが環境への影響だ。こうした雲からはなんと「プラスチックの雨」が降ると考えられるのだ。

 雨は私たちにとって欠かすことができない水源だが、マイクロプラスチックの雲はこの大切な水源を汚染し、農業や畜産業を通じて私たちの体に取り込まれている恐れがあると、研究チームは指摘する。

 こうした状況が日本だけでなく、世界的なものなのか、まったくわかっていない。そのため国際的なネットワークを作ることが急務であると、研究チームは主張する。

 また大気中のプラスチックは雲となって日光を反射し、雨に影響与えるだけではない。それが紫外線で劣化する過程で、メタンや二酸化炭素といった温室効果ガスを放出している可能性もある。

 それが気候に影響を与えるのだとしても、温暖化につながるのか、それとも冷却化につながるのかはわからない。こうしたことの解明が研究チームの今後の課題であるそうだ。

 この研究は『Environmental Chemistry Letters』(2023年8月14日付)に掲載された。

References:雲水の野外観測で初めてAMPsを検出 – 早稲田大学 / Plastic cloud: New study analyzes airborne mi | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo

追記(2023/10/06)誤字を訂正して再送します。

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この記事へのコメント 33件

コメントを書く

  1. もう石投げればプラスチックに当たる時代だな

    • +8
  2. ゴジラvsビオランテで散布してたのはヨウ化銀だったかな

    • +2
    1. >>2
      雲作って人工雷を起こすやつね。
      ゴジラを倒すより殺し屋を消す方に役立ったという。

      • +1
    2. >>2
      中共が北京オリンピック時に大砲やミサイルに搭載して大量に高空に撃ち込んでそこでばら撒く事で北京周辺から雨雲を消していたアレの主要成分だな。

      • +1
  3. 地球環境までぶっ壊してると少々のことでは
    びっくりしなくなってきたのが怖い

    • +3
  4. うーん雨にほこり混じってるのと何が違うんだ?自然界の水なんて元々何な混じってるもんだろ。そこまで既に蔓延してて目立った健康被害も無いならそんな気にするもんかな

    • +10
    1. >>5
      その辺の土埃なんか風にのって多少なりとも口や目に入ってきてるけど、問題起こらないもんな
      消化出来ないのはプラも土埃も同じだし

      • +9
      1. >>9
        粒子片のサイズが違うんじゃないっけ? まさに「μ」サイズなのが問題になっているはず

        >>17
        プラスチック由来の不織布のマスクで体内にマイクロプラスチックが取り込まている実験結果なんてあるの?

        • -3
  5. >研究チームによると、こうしたマイクロプラスチックによって作られた雲は、太陽の光を反射するとともに、雨のパターンも変化させ、地球の気候に影響を与えている可能性があるという。

    いつも思うんだが、なぜ可能性で発表するのか?

    科学者なら、人心をいたずらにあおらないように、証拠を見つけてから発表しろよ

    • -4
    1. >>7
      研究ってそんなに簡単に結論でるもんじゃないぞ
      人間に置き換えると
      ①体の不調を調べたいです
      ②血液検査やエコー、CTスキャンなどいろんな方法で調べました
      ③痛いのは胃だとわかりました
      ④胃が痛いという結果から、原因は食あたりやストレス、胃がんなどの複数の可能性が挙げられます
      ⑤原因を調べるための次の検査をしたいです
      って感じよ
      ②で結構な時間取られてるから⑤以降の調査までしてたらいつまで経っても研究なんて終わらんのよ
      とりあえずここまでわかったから一旦発表しとくねって感じで共有して後続へ託してる
      問題は④で考えられる多くの可能性の中から極端なものをピックして報道する輩がいること
      他にも提出する学術誌や研究機関によって引用の仕方や文字数や表記やら細かく全部違うから時間かけて⑤以降1人でやっても査読やらでいっそう時間がかかったりそのせいで他の研究者による派生の研究なんかも進まなくなる
      煽ってんのは研究者じゃなくてメディアよ
      研究者自体は得られた結果から考えられる点を探して次への道筋を示しているだけにすぎん

      • +8
  6. その一方
    イギリスでは廃プラスチックからバニラアイスを生成することに成功していた…

    • 評価
  7. 現在のマイクロプラスチックでは目立った健康被害は起こっていないけれども
    将来拡散するプラスチックの量が増大したり、あるいはPCBのような害のあるものが拡散すると
    全地球規模で問題が発生する可能性はある

    • +1
    1. >>10
      一方でマイクロプラスチックを分解する生物も存在するし、実験も進んでる。
      人間も馬鹿じゃないから、知らない所で頑張ってる人々もいる事を忘れない様にしたいね。

      • +6
      1. >>16
        遠い未来ではプラスチックは屋外ではすぐ朽ちちゃうようになるかもね

        • +4
  8. >マイクロプラスチックの雲はこの大切な水源を汚染し、農業や畜産業を通じて私たちの体に取り込まれている恐れがあると

    水は汚染されれば分かりやすいが、食べ物に紛れて摂取してしまう可能性があるのであれば、呼吸するだけで影響ありそうだけどね。喫煙率が下がってるのに肺がん率が上がってる事とか、既に関係してるかも。

    • +2
  9. 流石に良い兆候とは考えづらいな
    昆虫被害も最初は大したことないと思ったら気づけば繁殖を許して農作物に甚大な被害を及ぼしたり
    早い段階で警戒して芽を摘んでしまうことは大切だと思う

    • +1
  10. プラスチック由来の不織布のマスクをして、存分に体内にマイクロプラスチックが取り込まれてるはずなのに、大気や海のマイクロプラスチックを大騒ぎするの不思議だよね

    • +8
  11. もう恐れたってしょうがなくない?
    プラゴミ問題についてはこれからも考えていかなければいけないけど
    毎日マスクしてがっつり吸いまくってるんだからそこらにあったとしても今更でしょw

    • +1
  12. まあ、今まで人間がやってきた事なんだからそんなに大騒ぎするほどの事は無いでしょ😸💦昨今の異常気象だって人間がやり続けた事の結果なんだから甘んじて受けましょう😸💦勿論自分も含めてね😸💦‼️

    • +1
  13. タンスの奥から・・
    マイクロビキニ発見!

    • 評価
  14. 5000年後に西暦2000年代の地層を判別する示準になっていそう。

    • +1
  15. ちょっと前にヒトの脳血管からマイクロプラスチック見つかったって言ってなかったっけ?
    もう、どこにでもあるし、取り除きようがないよね、

    • +1
  16. 見過ごされてきた事が積もり積もると 
    いずれ連鎖的に爆発的に影響が出るんだね

    • +1
  17. プラスチック無き生活なんて今更むりだぞ。
    世界中の水道管を交換するのか?なんて代替品に?って次元の話になっちまうよ。
    他に良い物無いからプラスチック使ってるインフラなんて腐る程ある。

    • 評価
    1. >>28
      今すぐプラをゼロにできるとは誰も思ってないでしょ。
      まあ代替品を使える所は使えばいいし新しい素材の研究も大事。
      何も一度に全部変える必要はないんだから。

      • +1
  18. だいぶ前に聞いた話ですが、武田先生がおっしゃるには、スーパーのビニールの袋の地球への影響なんて微々たるもので、実際にマイクロプラスチックとして地球に一番影響を与える素材は衣類などの化学繊維だそうですよ

    麻や綿やシルクやウールなどの服だけ着るのは、値段やお洒落の事もあるけど、洗濯や手入れの手間が化繊よりかかるものが多い気が・・・

    • +1
  19. 化学繊維の服を脱ぎ着してるんだからもう相当吸い込んでるよ

    • +1
  20. 富士山頂なんて人気スポットになってるのに
    そこで採取されても別に何の不思議もなさそうなもんだが

    • 評価
  21. 動物の死骸って最終的に石油になるんじゃなかった?
    だったら循環してるだけじゃないの?

    • 評価
  22. 化粧品の方がよほど体に悪いと思うけどね
    けっこう吸い込んでるよ

    • 評価
  23. いろいろな場所でマイクロプラスチックを発見することは熱心にやっているが、
    それがどう悪影響があるのかは一向に解明されない。
    いつも「どう影響するかはわからないという」「悪影響を及ぼす可能性がなくはない」
    という曖昧な文で締められる。
    人間の健康寿命は伸び続けているので健康への悪影響を解明することは難しそうだ。
    となると環境への影響を調べなければならないが、研究は進まない。
    なぜなら、他の環境へ影響するあらゆる事象に比べ、マイクロプラスチックの影響力はあまりにも小さいからだ。
    環境に放出される小さな粉は花粉や火山灰などいくらでもある中、プラスチックだけに特異な悪影響があるということは考えにくい。
    一度の火山の噴火で放出される尖った微小なガラス質である火山灰がどれほどの量か。それがどれほど環境に影響するかを考えれば、マイクロプラスチックのことを考えるのがバカらしくなるだろう。

    • -1
  24. いずれ月でも見つかったって言い出すだろうな

    • 評価

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