メインコンテンツにスキップ

マウス実験でわかったこと。マイクロプラスチックはあらゆる臓器に侵入し、行動に変化

記事の本文にスキップ

33件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 マイクロプラスチックはいたるところに存在し、人間の体内からも発見されている。つい最近では心臓からも見つかっているが、体内に入り込んだマイクロプラスチックが、健康に与える影響についてはまだよくわかっていない。

 そこで研究者は、マウスにマイクロプラスチック入りの水を3週間ほど飲ませてみたところ、脳を含むあらゆる器官に、この極小物質が侵入していることを発見した。

 特に高齢のマウスでは、落ち着きをなくした不安定な行動が見られたほか、肝臓と脳の免疫マーカーも変化することが確認されたという。

 「マイクロプラスチックを大量に摂取したわけでもないのに、わずかな期間でこのような変化が見られたことに驚きました」と、米ロードアイランド大学の神経科学者のジェイム・ロス博士はプレスリリースで説明する。

マイクロプラスチックの影響を調べるマウス実験

 これまで、極小のマイクロプラスチックが、人間の便血液など、体のいたるところから見つかっている。

 こうした異物は私たちの健康にどのような影響を及ぼすのだろうか?

 これを調べるため、米ロードアイランド大学の神経科学者のジェイム・ロス博士ら研究チームは、高齢のマウスと若いマウス、それぞれを2つのグループにわけ、蛍光ポリスチレンでできたマイクロプラスチックを混ぜた水か、普通の水のどちらかを3週間ほど飲ませる実験を行った。

 そしてこの間、周囲を探し回る行動や明暗の好み(本来ネズミは明るい場所を嫌う)など、マウスの行動や習性に変化がないかどうか観察した。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

マイクロプラスチックを3週間飲んだマウスに行動の変化

 その結果、マイクロプラスチックを含む水を3週間飲んだマウスは、行動が大きく変化し、落ち着きがなくることがわかったのだ。

 とりわけ高齢のマウスではよく目立ったという。

この画像を大きなサイズで見る
若いマウスと高齢マウスの脳内に蓄積するマイクロプラスチック(赤い点) / image credit:Gaspar et al., International Journal of Molecular Science, 2023

 またロス博士らによる最新の研究では、マイクロプラスチックが体内に入ると、脳の細胞をサポートする「GFAP」というグリア線維性酸性タンパク質が減少することがわかったそうだ。

GFAPの減少は、アルツハイマー病やうつ病など、いくつかの神経変性疾患の初期段階と関連しています。マイクロプラスチックがGFAPシグナル伝達を変化させることに驚きました(ロス博士)

マイクロプラスチックはマウスの全身を循環する

 実験終了後の検査では、脳・肝臓・腎臓・消化管・心臓・脾臓・肺など、検査対象だったあらゆる組織からマイクロプラスチックが見つかった。さらにフンや尿からも見つかっている。

 マイクロプラスチックが消化器以外の組織からも検出されたということは、それはマウスの全身を循環するだろうということだ。

この画像を大きなサイズで見る
あらゆる臓器にマイクロプラスチックが循環していた / image credit:Gaspar et al., International Journal of Molecular Science, 2023

 この結果はあくまでマウスでの結果で、人間にも当てはまるとは限らない。だが、とりわけ懸念されるのは、それが脳からも検出されていることだ。

 脳には血液脳関門というバリアのような構造があり、この重要な器官に異物が流れ込まないようになっている。だが小さなプラスチック片はこれを通過してしまうのだ。

 なお、今年初めに発表された別の研究では、マイクロプラスチックを口したわずか2時間後に脳で検出されたと報告されている。

この画像を大きなサイズで見る
イメージ図 / image credit:Kopatz et al., Nanomaterials, 2023

体内のマイクロプラスチックは健康にどう影響するのか?

 こうした体内のマイクロプラスチックが健康にどのような被害を与えるのかは、まだよくわかっていない。

 今回のロス博士もいくつもの疑問を口にする。

体内のマイクロプラスチックのライフサイクルについては、まだよくわかっていません。

マイクロプラスチックは歳をとるにつれて、全身性の炎症を引き起こすのでしょうか? 簡単に体内から取り除くことが可能なのでしょうか? 細胞はこうした異物に異常な反応を示すのでしょうか?

 何度も言うように、今回の研究結果が、人間に直接当てはまるとは限らない。だが、このような動物モデルによる実験は、臨床研究の重要な第一歩となる。

 2022年の同様の研究では、ポリスチレン微粒子がマウスの脳に蓄積することで、炎症や記憶力の低下といった症状が出ると述べている。

 だが今回の研究では、少なくともそのような症状は見られていないという。

 ロス博士らは今後、こうしたマイクロプラスチックの影響について詳しく調査する予定であるそうだ。

 この研究は『International Journal of Molecular Science』(2023年8月1日付)に掲載された。

References:Microplastics infiltrate all systems of body, cause behavioral changes – Rhody Today / Microplastics Infiltrate Every Organ, Including Brain, Study in Mice Shows : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 33件

コメントを書く

  1. この手のお話を見て、プラスチックのまな板を捨てて木のまな板を買ったワタシ

    • +4
    1. >>1
      木のまな板はどんなにお手入れしても、木の繊維に目に見えないカビが入り込んで、マイクロ胞子出すからなぁ…

      • +7
      1. >>8
        カビなんて、
        人類が猿だった頃からずっと身の回りにあるものだし、
        きれいに手入れした上で残る目に見えない程度の胞子であれば
        日常的に免疫力で対処してるモンじゃね?

        登場してから年月が浅く
        影響が未知数なマイクロプラスチックに比べれば、
        多少のカビ胞子のほうが遥かに安全な気がする。

        • +1
    2. >>1
      その逆で衛生的なことを考慮してプラ系にかえたワタシ…
      なんなら使い捨てのシートまで使ってます
      ハイごめんなさい

      • +5
      1. >>11
        フロリダ・アトランティック大学の研究チームは、、Apple Watchやその他のウェアラブルデバイスのリストバンドについて、バンドの素材とバクテリアの蓄積に関係があるかどうかを調査し、学術誌「Advances in Infectious Diseases」で発表したレポートにおいて、ほぼすべてのリストバンド(95%)」が何らかの細菌に汚染されており、汚染度が最も高いのは布やゴム、プラスチック製のバンドであることが判明した。
        研究チームによると、最も多い細菌は食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌属で、すべてのバンドの85%から検出されていた。また、肺炎や血液感染などを引き起こす可能性のある緑膿菌(シュードモナス属)が、30%から検出。大腸菌も60%から検出された。
        研究チームはさらに、バンドの素材ごとの細菌の多さを分析した結果、布>プラスチック>ゴム>皮革>金属の順に細菌数が多いことが判明した。
        この実験結果で示されたように、金属製の調理器具、食器を使用するのが最も衛生面でもマイクロプラスチックの摂取抑制に於いても優れているのでは?

        • -1
      2. >>11
        視力が低下したので色付きのプラまな板が有難い
        木にさつま揚げ、白に大根とかよく見えないので
        薄いから食材を切ったら曲げて鍋にバサっと投入できるし
        便利さを追求するとあっちこっち皺寄せが行くのが困り物

        • +1
    3. >>1
      もうすでに化学繊維をたくさん吸い込んでらっしゃいますよ

      • +1
    4. >>1 新聞の雨除けビニールを猫のトイレそうじに
      手袋のようにして毎日使ったりするなど気負わず
      プラゴミ減らしてるけど、やっぱり増えてしまう。
      例えば昔は浅漬け用専用器(陶器・ガラス・プラ)が
      使われてたけど、今は毎回ビニール袋の中で作って、
      お箸で穴開けてしぼるとすごく便利でおいしいのでつい。。。

      • +1
  2. 1万年後地上には知的生命体は居なかった
    調査に来た異星人が見つけたものは元の住人の遺骸
    調べてみると微小な物資が蓄積し子孫を残せなくなっていることが判明
    人類は自分たちが作り出したもので滅んだのであった

    • +1
  3. タッパーに入れたお惣菜でも、ラップかけたご飯をレンチンしても、プラ容器に入ったカップ麺食べても、ペットボトルから水飲んでもマイクロプラスチックを吸収するとか言ってたやん。
    健康に影響があるとか言われてももう回避するの無理じゃね?

    • +21
    1. >>3
      祖先の生み出した陶器という、プラスチックとは無縁な素晴らしい文明の産物があるではないですか

      • +1
      1. >>5
        何千年も使い続けているんだから、きっとマイクロ陶器が世界中の海を汚染してると思うよ。

        • 評価
    2. >>3
      今のままじゃ難しいから
      法的に規制をかけていくしかないだろうね。
      プラスチックを使わない商品へ移行させてく。

      • -3
  4. 弱った
    ペットボトルで飲みメラミン食器で食べる、カトラリーはプラ、箸もプラ塗装、外食やコンビニはほぼそれ
    自炊しても、買うのはプラのまな板で切ってトレイにラップした肉や魚、野菜も同じ、米はビニール袋入り
    衣類は合成繊維、空調機器も人工樹脂、歯科治療はレジンが主流
    さて、口に入れない(吸い込みもしない)方法は…

    • +16
  5. 化繊の服、ぬいぐるみや布製品全般を生活から排除できるだろうか…。
    私には無理だな。

    • +12
    1. >>6
      毎日口に入れて擦る歯ブラシなんかも、
      木製で馬毛や豚毛って品も無くはないが、
      たいていの人はポラスチック製品だしね…。

      • 評価
    2. >>6
      自分の家から化繊を排除しても外に埃として無数に飛び交ってるから無菌室で暮らしでもしない限り吸い込むのは諦めるしかない

      • 評価
  6. 空気中や水にも入ってるから避けられないのだが‥

    • +4
  7. しゃあない。
    ワシはマイクロプラスチックを血肉にして生きることにする。

    • +7
  8. 将来、「この時代の人間はマイクロプラスチック暴露が原因で精神的困難を抱える人が多かった」とか言われる日が来るのだろうか。

    • +5
  9. もはやここまで世界中に広がったプラスチックを排除するのは無理だ。人体が免疫を獲得するしかないだろうな。

    • +2
    1. >>14
      免疫獲得してもプラスチック量が増え続けたらジリ貧だから
      どっちみち規制は必要だと思う。

      • +1
  10. 日本の食品会社や製塩会社が頑なにマイクロプラスチックの問題を論ぜずに無視してるのマジで恐怖を感じるわ。
    検索しても行政のサイトや海外ニュース、大学の論文や個人ブログしか見つからないし。

    • +1
  11. 赤ちゃんの頃からプラスティックまみれの生活だからもう手遅れです…

    • +2
  12. まだ本当かわからないのでみんな落ち着こう

    • +3
  13. 戦後からプラスチック使いまくって
    今じゃ禁止されてるような添加物モリモリ食べてた
    爺さん婆さんが90歳100歳まで生きてるわけで・・・

    • +3
      1. >>27
        つまり人類の平均寿命はもっと延びていたはずだった!?

        • +1
  14. 環境関連のほぼすべてが金儲けのネタ。
    考えたやつは商売の天才!
    それで躍らせられているのは・・・。

    • 評価
  15. カップラーメンとか持ち帰りの容器とかプラスチック製の容器を器に箸でガリガリやってたべてるからね。

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。