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後期更新世の氷期が終わった理由は、地軸の向きの変化の影響が大きいとする最新研究

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(著) (編集)

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 地球の過去80万年を振り返ってみると、地球の氷河時代はおよそ10万年で寒い「氷期」と暖かい「間氷期」が繰り返していることがわかる。

 これまで、氷河時代の周期は、地球の公転軌道が円から楕円へと変化していることが一番の原因とされてきた。

 しかしカリフォルニア大学サンタバーバラ校などの研究チームが、深海や洞窟の堆積物から過去64万年の気候を探ってみたところ、「軌道の変化(公転軌道の離心率)」よりも、むしろ「地軸の向きの変化(歳差運動)」が大きな要因であったことが明らかになったという。

氷河時代にはなぜ周期があるのか?

 氷河時代というと、地球は常に氷に閉ざされているかのようなイメージがあるが、そんなことはない。

 過去80万年を振り返ってみれば、氷河や氷床が大きく広がる寒い「氷期」と、それらが後退し、かわりに海面が高くなる暖かい「間氷期」とが交互に繰り返していることがわかる。

 一体なぜ、氷河時代にはまるで季節のような周期があるのか?

 その理由は、3つの要因によって、地球に届く太陽光の量が周期的に変わることだとされている(この太陽光の周期のことを「ミランコビッチ・サイクル」という)。

 3つの要因とは、地球の「公転軌道の離心率」「地軸の傾き」「地軸の歳差(さいさ)運動」の変化のことで、それぞれ次のようなものだ。

・公転軌道の離心率:太陽を中心にぐるぐる周る地球の軌道は、10万年周期で円からやや細長い楕円へと変化している。これが離心率の変化だ。そのために太陽との距離が変わり、地球に届く太陽光の量が変わる。

・地軸の傾き:地球が自転する軸の傾きの変化のこと。地軸の傾きは4万1000年周期で22.1~24.5度の間を揺れており、季節の差に影響する。

・歳差運動:ごく簡単に言えば、地軸の向きの変化のことだ。くるくる回るコマの回転軸を観察すれば、円を描くようにゆっくり動いていることがわかる。地球の地軸もこれと同じように、1万8000~2万3000年の周期で移動している。

 これまで氷河時代の周期に一番関係するとされてきたのが、離心率の変化だ。ところが最近の研究では、むしろ地軸の傾きや歳差運動の方が影響があるのではという説が唱えられている。

 そうした説によれば、氷河時代の10万年の周期は、たとえば地軸の傾きの周期(4万1000年)の2、3周分に一致しているのだという。

 だがこの仮説には、地軸の傾きと歳差運動の影響をはっきり区別できないという問題がある。一体、どちらが氷河時代の周期により大きな影響を与えているのだろうか?

 今回、カリフォルニア大学サンタバーバラ校などの研究チームが取り組んだのが、この疑問だ。

How Ice Ages Happen: The Milankovitch Cycles

後期更新世の氷期が終わった理由は地軸の歳差運動の影響が大きい

 彼らの結論は、氷河時代の周期に一番強く影響するのは歳差運動であるというものだ。

 とりわけ後期更新世(12万9000年~1万1700年前)においては、その影響で夏の北半球の氷床が大量に解け、氷期が終わったと考えられるという。

 その手がかりの1つとされるのが、「酸素同位体」(同じ酸素であっても、原子の質量が違うもの)だ。
 酸素同位体の1つ「16O」は気温が高くなると蒸発し、水の中にはそれより重い「18O」が残る。

 都合がいいことに、海の生物はこうした水を取り込み、酸素同位体を殻にとどめる。だから深海の底に積もった堆積物に含まれている大昔の小さな生物を調べれば、当時の地球の温度を推測することができる。

 同じようにして、洞窟の生成物(たとえば底生有孔虫や方解石など)も、そうした気候を推測する手がかりを残している。

 研究チームは、こうした手がかりに基づき、過去64万年間の年代モデルを作成し、その間の9度の氷期が終わった時期を突き止めた。

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北大西洋の底生有孔虫から得られた酸素同位体(18O/16O)比を、岩塩の年代測定記録と既知の斜方位・歳差運動と照合したもの / image credit:

 その時期を地軸の傾きや歳差運動と照らし合わせてみると、どちらからも影響されていることがわかったが、より強く影響しているのは歳差運動だったのだ。

 こうしたとから研究チームは、後期更新世の氷床は、歳差運動によって北半球の夏の日差しが強くなったことで解けたと結論づけている。

 この研究は『Nature Geoscience 』誌に掲載された

References:Late Pleistocene 100-kyr glacial cycles paced by precession forcing of summer insolation | Nature Geoscience / New research finds Late Pleistocene glaciations terminated by Earth’s axis tilt rather than orbital eccentricity / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 11件

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  1. ミランコビッチサイクル的に見ると次の氷期は
    数万年後に来るとされてるけど、今のCO2濃度だと
    温室効果のせいで氷期が来ないとも言われてるね。

    もともと氷期・間氷期のサイクルが始まったのも
    CO2濃度の低下で温室効果が弱まって
    日射量の変化による影響が相対的に強まったことなので。

    • -2
  2. これが確実にわかるのは、3つの要因を1周期分経験した後の10万年後ということか。
    それまで記録を取り続けないとダメだね。

    • +1
  3. 2030年代には結構な確率で氷河期が来るって話しがなかったっけ?
    太陽光の都合で気温が下がるとか聞いてたけど

    • +1
  4. 別の研究で地表付近の温度は上昇する一方で
    ジェット気流の流れる高層の温度は低下する現象が起こっているというのがあるけど
    それらとの関係も気になるところかな

    • 評価
  5. 平安時代の平均気温が今より高かった、中世温暖期ってのもあったし、寒冷化と温暖化は繰り返してるよね。

    • 評価
    1. >>8
      中世温暖期はヨーロッパなどは温暖だったけど
      世界平均気温は今より低かったとされてるよ。

      • +1
  6. 誰か地軸の傾きの変化と歳差運動の違いを教えて

    • 評価
    1. >>9
      シロートですけど、この 5 分で読んできたことをまとめると次のようになります。
      歳差運動のほうですが、地軸の傾きの変化を含んでいません。コマを回した時を例にとって説明します。歳差運動はコマを回した時にその軸の先が円を描くように変化することを言っています。つまりコマの軸が傾いているけど一定の角度で軸の先端が回る状態です。この記事でいう地軸の傾きの変化はコマの軸の傾きが立ってきたり寝てきたりすることで記事中では「4万1000年周期で22.1~24.5度」変化すると。歳差運動は2万6千年周期らしいです。この辺の組み合わせでえぇ感じになったときに暖かく、そうでないときに氷河期になったりですかねぇ。
      以前の温暖化、今でいう気象変動ですが暖かいほうが植物の生産性が高い(寒いところでも耕作ができるようになる)ので個人的には温暖化は歓迎なんですが、島が沈んだり今までと作物を変更しないといけないとかいろいろ大変なのであまり受けないだろうなとは思います。変化できるものが生き残るという考えで行くと人類は対応できると信じています。

      • 評価

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