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かつて恐竜と哺乳類は死闘を繰り広げていた。火山からその証拠となる化石を発見

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(著) (編集)

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 1億2500万年の白亜紀、当時はまだ恐竜の天下で、哺乳類はその足元にも及ばないと思われていたが、実際にはやられてばかりではなかったようだ。

 2012年、中国遼寧省、盧家屯にある地層「義県層」から風変わりな化石が発見された。なんとそれは、アナグマのような大昔の哺乳類と恐竜が死闘を繰り広げる姿だったのだ。

 化石が発掘された地は、突然の火山噴火が当時の生物を瞬時に生き埋めにしたことから、「中国のポンペイ」と呼ばれている。

 そしてこの死闘で勝ったのは、意外にも小さな哺乳類だったことがわかったのだ。

 だが無念にも、恐竜にトドメを刺したその瞬間、突然の火山泥流に襲われ、両者もろとも飲み込まれてしまった。

白亜紀前期、哺乳類は恐竜の激しいバトル

 哺乳類と恐竜の激しいバトルを物語る化石は、2012年に白亜紀前期の義県層(イーシェン層)で発見された。

 哺乳類は、現代のアナグマにも似た「レペノマムス・ロブストゥス(Repenomamus robustus)」。当時最大の哺乳類とされる動物だ。

 一方恐竜の方は、草食恐竜の「プシッタコサウルス(Psittacosaurus)」。鳥のようなクチバシを持ち、尾になんだかトサカを思わせる棘状の突起(羽毛なのかケラチン質のトゲなのかよくわかっていない)があるのが特徴的だ。

 どちらもまだ大人になりきっていないが、レペノマムスの体長は鼻から尾までが約47センチ。プシッタコサウルスは約120センチあるので、体格的には恐竜に分があった。

 だが『Scientific Reports』(2023年7月18日付)に掲載された論文によれば、勝者は体格で劣るレペノマムスだったようだ。

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恐竜「プシッタコサウルス」に襲い掛かる哺乳類「レペノマムス・ロブストゥス」のイメージ図 / image credit:Gang Han

勝者は哺乳類のレペノマムス・ロブストゥス

 化石のプシッタコサウルスはうつ伏せで倒れており、後肢は体の左右に折りたたまれている。また首と尾を左側に丸めている。

 一方のレペノマムスは、プシッタコサウルスの左半身の上に、右に曲がるような姿勢で横たわっている。その左手は恐竜の下アゴを、左足は恐竜のスネをつかんでいるかのようだ。

 レペノマムスが勝者だという決定的な証拠は、その歯が恐竜の胸に食い込んでいることだ。これがトドメの一撃だった可能性がある。

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プシッタコサウルス(恐竜)とレペノマムス(哺乳類)の絡み合った骨格を示す化石。哺乳類が恐竜の肋骨に噛みつき、獲物をつかんでいる様子を拡大した断面。スケールバーは10cm / image credit:

哺乳類が戦いを制した瞬間、火山の泥流に飲み込まれる

 戦いを制したレペノマムスだったが、おそらく勝利の余韻に浸ることはなかっただろう。

 死闘が終わりを迎える頃、両者が予想もしないことが起きたからだ。突然、火山による泥流がその場を襲い、勝者も敗者もともに飲み込んだのだ。

 こうして1億2500万年の死闘は予想外の結末を迎え、我々現代人によって再発見されることになる。

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レペノマムスの歯は、プシッタコサウルスの胸に食い込んでおり、これがトドメの一撃だったろうことがうかがえる / image credit: Gang Han

レペノマムス・ロブストゥスは普段から恐竜を襲っていたのか?

 じつは以前にもレペノマムスの胃(もちろん化石だ)からプシッタコサウルスの骨が見つかったことがある。

 残縁なことに、これだけではレペノマムスが狩りをしたのか、それともただ死体を漁っただけなのかわからなかった。

 だが今回の化石からは、どうやらレペノマムスは普段からプシッタコサウルスを襲って食べていたらしいことがうかがえる。

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1億2,500万年前、発見された化石から、レペノマムス(哺乳類)に襲われるプシッタコサウルス(恐竜)を復元した図 / image credit:ang Han

哺乳類が恐竜を捕食したことを示す初の証拠となる可能性

 だがこの事実は、恐竜と哺乳類の関係についての常識をくつがえすものだ。

 これまで恐竜が哺乳類を襲って食べたとしても、その逆はないと考えられてきた。ところが、太鼓の生存競争はそんな甘いものではなかったようなのだ。

 カナダ自然博物館の古生物学者ジョーダン・マロン氏は、「哺乳類が恐竜を捕食したことを示す初めての証拠です」と、プレスリリースで述べている。

 研究チームは今後も、義県層で発掘を続け、恐竜と哺乳類の関係について探っていく予定であるとのことだ。

References:Unusual fossil shows rare evidence of a mamma | EurekAlert! / An extraordinary fossil captures the struggle for existence during the Mesozoic | Scientific Reports / Final moments of dinosaur and mammal’s epic ‘mortal combat’ battle preserved by volcanic eruption | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 32件

コメントを書く

  1. 現代でもワニを捕食するネコ科動物がいるから信じられなくはない

    • +10
  2. なんだってまた、そんな火山が噴火してるそばで殴り合いなんかしてたんや君たちは

    • +12
    1. >>2
      そりゃもう無我夢中で戦っていたんだし

      • +6
    2. >>2
      有刺鉄線電流爆破デスマッチみたいなもんじゃない?笑

      • +1
    3. >>2
      レぺノマムスの左足首がプシッタコサウルスの左大腿と左脛に挟まれているので、
      恐らくプシッタコサウルスが絶命した後もレぺノマムスはそこから動けなかったと思われる。
      それと、レぺノマムスが肋骨に噛み付いているとのことだが、どうも違和感がある。
      これだけ体格で上回る相手ならば、首や脊椎を狙うのがセオリーだが、首に噛み付くことが出来たであろう位置関係なのにそうしていない。また、レぺノマムスの顎の大きさ・プシッタコサウルスの胴体の曲率・「噛み付いている」位置がプシッタコサウルスの方のすぐ後ろであることを考えると、肋骨に噛み付いているならばレぺノマムスは下顎をプシッタコサウルスの体内深くに突き刺していることになる。それが可能なようには思えない。さらに、レぺノマムスの首がいくらなんでも深く曲がり過ぎているように見える。
      泥流に巻き込まれそれに沈む過程で、プシッタコサウルスの首に噛み付いていたレぺノマムスの頭がプシッタコサウルスの胸の位置にズレ、そして泥の重さで肋骨に歯が押し付けられたようにどうも自分には思える。
      それらから考えると、戦いの後すぐに埋もれたわけではなく、その後しばらくレぺノマムスが抜け出せないでいるうちに泥流が発生し埋もれてしまったのかもしれない。
      あるいは、レぺノマムスがプシッタコサウルスを捕食しようと襲った状況ではなく、両者ともに火山活動から逃れようとしているうちにたまたま出くわしてしまい、興奮状態で戦いとなった状況だった可能性もある。

      • +2
  3. >だが無念にも、恐竜にトドメを刺したその瞬間、突然の火山泥流に襲われ、両者もろとも飲み込まれてしまった。

    妄想ですな

    恐竜の死骸を食っていたと考えるのが妥当

    • -16
    1. >>4
      プシッタコサウルスの後ろ足にレペノマムスの後ろ足が挟まれていること。
      死体を食べるのに、体を丸めるような無理な姿勢をとっていること。

      2点から少なくとも生きている間に起こった出来事だろうと
      私は推測しました。

      • +5
    2. >>4
      爬虫類側も噛み付いてるから、少なくとも死体では無いのでは?

      • +2
      1. >>14
        プシタコの口は半開きのように見えるから
        噛みついてるわけではないんじゃないかな。

        • 評価
  4. 爬虫類と哺乳類って地球に登場したのはほぼ同じ時期だからね
    爬虫類があっという間に巨大化して主導権を握った

    • +2
  5. すごいわー。戦ってる最中に化石になってしまうなんて。どんな確率だ。
    1億2500万年前かー。人類史なんか、まだ数千年やぞ。

    • +10
    1. >>6
      人類史は数千年だけどホモ・サピエンスは最長で40万年続いてる
      色々なドラマがあったんだろうなあってたまに妄想してる

      • +6
  6. 中国古典かイソップのネタにできそう。「漁夫の利」みたいな。
    でも、一分一秒単位で両者ピンチなのに食い合いをやめずにその場で生き埋めなのは、現代人にとってもなんか考えさせられるとこあるな。

    あと、想像図の絵が何ともほのぼのした感じでムダにかわいい。
    「遊びに行こ!」「背中に乗りなよ!」からの「大好きだよ……」

    • +5
  7. 最近ほのぼのアニマル記事多いから
    超仲良しだった説が自分の中から消えない

    • +4
    1. >>11
      このお二人さんだって仲良し同士、じゃれ合っていたのかもしれないし

      • -1
  8. >これまで恐竜が哺乳類を襲って食べたとしても、その逆はないと考えられてきた

    そんなことはないのでは?
    鳥類を別にしても鶏サイズの恐竜だって居たわけだし、
    哺乳類に襲われることもあったと見た方が自然だろう。

    ただこの化石だと狩りなのか死肉漁りなのか良く分からないな。
    有名なヴェロキラプトルVSプロトケラトプスの化石みたく
    双方が攻撃し合ってる痕跡があるんだろうか。

    • +1
    1. >>15
      レぺノマムスの左足首がプシッタコサウルスの左大腿と左脛の間に挟まれている。
      プシッタコサウルスの死体にレぺノマムスが接触したのならば、まずこうはなるまい。

      • +1
    2. >>15
      恐竜VS哺乳類と見るよりは草食獣(恐竜)VS肉食獣(哺乳類)と見たほうが良い気がしますね。草食の恐竜が全く襲われなかったというのは不自然なので。

      • 評価
  9. 現代のクズリやラーテルの向こう見ずな狂暴さを見れば草食恐竜を捕食するなど不思議じゃない

    • +4
    1. >>17
      いえいえ、羽生善治 対 マングース竜王

      • -3
  10. 完全な化石でも大抵は潰れて位置関係がわかりづらいが、これはそのまますぎて再現モデルみたいだ。
    ぎゅっと掴んだ手とか想像をかき立てられるな。

    • +5
  11. この化石のプシッタコサウルスの最後の姿が狩られた時のナルガクルガみたいになってるのがまた…

    • 評価
  12. 読んでる間ずっとピクルのことを考えていたのは私だけではないはず

    • 評価
  13. プシッタコサウルスが何らかの原因で弱ってたのかな?
    レペノマムスは短足で脚が早かったとも思えない体型だ
    もっとも奇襲とかで幾らでも手段はあるかもしれんが

    健康な成体だってなら、
    こうまで自分より小さいのにまであっさり簡単に狩られてるようじゃ
    肉食恐竜なんかはプシッタコを馬鹿みたいに簡単に捕食できたんだろうか?

    そんな弱さ(?)でよくも生存できてたな、という気もするが
    プシッタコサウルスは大成功した種だったようだし
    喰われる数より沢山玉子(子供)産めばいい、とかいう戦略だったのかな
    (現在のウサギとかネズミの戦略)

    まあ小型含めた肉食恐竜、特に成体達とってはレペノマムスごとき
    所詮はオヤツだったんだろうけどねー

    • -3
  14. 愛し合っていたという解釈はアカンの?(;^_^A

    • 評価
  15. 炭鉱カナリアよろしく鳥類は気嚢のおかげで哺乳類より効率よく酸素を取り込めるけど同様に有害ガスも速やかに吸収してしまう。プシッタコサウルスも火山性のガスで弱っているところを襲われたんじゃないかな。

    • 評価
  16. 当時から哺乳類は恐竜類に対抗出来る種であった。
    だが哺乳類は恐竜ほど巨大化は出来ない構造だった。
    恐竜類巨大化の要因の一つは哺乳類を種として
    抑え込む為である。恐竜類の中でも巨大化を捨てた
    鳥類は恐鳥類となっても哺乳類には対抗出来なかった。
    恐鳥類程度の巨大化では先に生態的ニッチを奪っても
    哺乳類には勝てないのだ。海洋でも同じである。

    • 評価
  17. この手の化石って前も適当な証拠で卵泥棒とか名付けてなかったか?
    今の研究だと卵泥棒ではなく親だったとか

    • 評価

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