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4分で電気自動車のフル充電が可能に。新たなバッテリー冷却技術が開発される

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(著) (編集)

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  世界各国で普及促進が図られている電気自動車(EV)だが、気になることの1つは、バッテリーの充電時間だ。どんなにクリーンなEVであっても、必要なときにさっと充電できないのでは困ってしまう。

 だがオランダ、アイントホーフェン工科大学の学生レーシンググループ「InMotion」が開発した技術なら、急速充電のファステストラップが狙えるかもしれない。

 その技術は水冷エンジンならぬ、水冷バッテリーとでもいうべきもの。

 そのおかげでレーシングカー「Revolution」に搭載された29.9kWh(最大航続距離250km)のバッテリーを、わずか3分56秒でフル充電することに成功したそうだ。

 ガソリンで走るレーシングカーのピットストップに迫らんばかりの電光石火の急速充電だ。

急速充電で発生する熱を取り除く技術

 電気自動車をいかに速く安全に充電できるかが、普及のカギの1つとなっている。そのため、急速充電技術の開発が世界各国で進められている。

 昨年もアメリカで、10分以内に9割充電できるという技術が考案された。

 だが、こうした急速充電は、それによって大量の熱が発生し、バッテリーの劣化が一気に進むという問題を抱えていた。

 そこで以前、学生レーシングチーム「InMotion」は、「バッテリー・モジュール」の隙間に冷却液入りの冷却プレートを差し込むという仕組みを考案したことがある。

 これはバッテリーの冷却にかなり効果的だったのだが、もっといい方法があった。それは「バッテリー・セル」の隙間に冷却液を流し、セルレベルで冷やすというやり方だ。

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InMotionの電気レーシングカー / image credit:InMotion / Charlie Acuna

バッテリーの劣化を抑えつつ、効率的に冷却する技術

 そもそもバッテリーの「モジュール」や「セル」とは何のことか?

 セルとは、バッテリー(電池)の一番基本的な形のことだ。つまりは正極と負極と電解液で構成されるもの。お馴染みの乾電池は、筒のような形をしたセルそのものだ。

 そして、このセルをいくつか組み合わせたものがモジュールだ。さらに、モジュールに保護回路や制御システムなどを取り付け、ケースに入れて最終的に使えるようにしたものを「パック」という。

 つまり今回の技術は、バッテリーの最小単位レベルで冷却を行なっているということだ。こうすると、モジュール・レベルでの冷却よりもさらに効率的に熱を排出することができる。

 チームマネージャーのユリア・ニーマイヤー氏は、「寿命にも繰り返される急速充電にも大きなメリットがあります。24時間のテストでは、バッテリー・パックの劣化が最小限であることがわかりました」と説明する。

 彼女によると、セルとセルとの隙間が数ミリしかないため、実際にやるのはかなり難しかったという。セルレベル冷却を実現するには、きわめて精密な作業をこなす必要があったのだそう。

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ル・マン24時間レースで実証

 この冷却技術が優れているのは、ただ充電速度をスピードアップできることだけでない。さまざまな大きさのバッテリーに応用できる高い柔軟性も見逃せない点だ。

 小さなバッテリーなら手軽に充電でき、大きいものほど時間がかかると思うかもしれない。だが、じつはそれは誤解なのだという。

 InMotionのテクニカルマネージャー、スティン・ファン・デ・ヴェルケン氏によると、「パックをどんなに大きくしても、充電ステーションが十分な電力を供給できるなら、充電速度は変わりません」と説明する。

 それゆえに、さまざまな大きさのバッテリーに柔軟に対応できるセルレベル冷却技術には大きな意味がある。

 なお、この技術は世界三大レースの一つ、「ル・マン24時間レース」のプロトタイプ3(LMP3)に参戦するInMotionのレーシングカーに採用されている。

 長時間かけて戦う栄光のレースで、この技術の実力を証明するのがチームの狙いであるそうだ。

References:Battery-cooling technology means four minute EV charging / InMotion develops fastest-charging electric race car in the world / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 38件

コメントを書く

  1. ガソリンなら同じ分のエネルギーを9秒で補充できる

    レース用の給油機は毎秒12Lを給油できる
    (技術上もっと高速化可能だがレギュレーションで抑えられている)
    この記事のバッテリーは250km分だから、
    F1並みの燃比であるリッター2.5kmでは100Lの燃料が必要で、
    その給油には9秒かからない
    まだ完全EVは遠い

    • +4
    1. >>1
      てか電気自動車の資源コスト下げないといくら充電問題が解決してもしゃーないよね

      現状電気自動車一台作る過程で消費する資源でハイブリッド2~3台、ガソリン車なら5台くらい作れるし

      • +2
  2. 凄い。

    …が、一般家庭でその速さが使えるようになるのはいつの日か。

    • +2
  3. ペルティエ素子+冷媒循環か、頑張ってくれ
    中国では充電せずバッテリーパックを交換する方法を試してるし
    日本には走りながら受電できる方法(道路からあるいは電波等から)を研究してる人もいる
    トヨタは水素燃焼式の車を目指しているし

    これらのいずれにも役立つ技術、バッテリーやエンジンの冷却に役立つはず

    • +5
    1. >>3
      バッテリー交換式が一番シンプルで手堅いんだけど車用バッテリーなんかサイズがでかすぎ重すぎなのがねえ。
      自転車のやつでもうっざいくらいなのに。
      ポケットサイズとは言わないけど片手でひょいひょい持てるくらいにならないと厳しいよな。

      • +1
  4. で、それを市販車に応用したとして1台おいくらになりそう?メンテや耐衝撃性、耐候性はどんなもん?
    セルレベルの隙間に冷却水流すとかいう構造だと軽自動車レベルでも億はしそうだし、どっかで詰まったり漏れた瞬間爆発すらありえそうだけど
    そこまでしてもガソリンの給油に全く勝てないんじゃ少なくとも2100年くらいまで普及は無理だろうね

    • -5
  5. 家庭では時間かかってもいいのよ
    1日で使った分を一晩で充電できればいいんだから
    SAとかの出先でだけ急速充電できれば実用上は問題ない

    • +4
  6. 水冷って、どうせ油冷だろ。それで発火しやすいリチウムイオン電池がさらに発火しやすくなるとか。

    • -13
  7. すごい
    特に学生のアイデアというところ

    ただ気になるのは冷却には追加のエネルギーが必要なはずで、それがどの程度かというあたり
    数分の冷却ならそんなでもないのかな

    • +4
  8. バッテリーの充電、さらに冷却にまで電気を使うようになったら発電能力がますます問題になってくるな。日本はこのまま火力発電を増やすのかな?それだとクリーンと呼んで良いのだろうか?

    • +3
  9. うちのEV、夏季の航続距離がカタログスペックの半分しかない
    冷房とバッテリー冷却がそれだけ持っていく
    そしてバッテリー冷却音がマジでうるさい
    パソコンの冷却ファンが全力で回ってる時の音する

    通常仕様と寒冷地仕様は仕様変更ってレベルじゃなくて
    冷却方法が異なる全く別の車として開発するしかないと思う

    • +3
  10. 最終的にハイパーデンドーデンチ方式になりそうな予感

    • -1
  11. 今充電するステーションの方が熱で逝っちゃってるんですが、そっちの対策はどうなってますでしょうか

    • 評価
  12. 今回の実験で用いられたのは走行距離にして250km相当のバッテリーである事は留意する必要がありますね
    ちょっとした買い物や通勤など短距離走行を主とした使用なら事足りるけど、長期利用による容量低下や週末の長距離移動も視野に入れると単純計算で容量2倍の500kmなら充電時間も相応に6分程度になり、さらに倍の1000kmなら12分
    それでも充電時間の短縮に向けて様々な技術が開発される事そのものは良いと思いました

    • 評価
  13. 冷やせば急速充電でも傷みにくいのは知らなかった

    • +2
  14. 充電時間は短縮されるかも知れないがこのシステムを搭載する事により只でさえ重い車重が更に増してしまうという問題が・・・

    • +3
    1. >>19
      冷却のための冷媒を挟み込むことにより
      バッテリーとして求められる重要な要素である
      「エネルギー密度を高める」ことと相反するという致命的な欠陥がありますね

      • +3
  15. 15分で充電できれば、店舗の駐車場に充電設備を整えると、買い物をしている間に充電が終わるので、ほぼ実用的とEV所有者が言っていたね。
    高速でもトイレ休憩の間にフル充電できるなら実用になる。
    充電時間問題は、もう実用域に突入したっぽい。

    • 評価
    1. >>20
      例えば、EV普及率50%になったとして、駐車場10台の店にEV充電が5台もある未来が見えるかな…
      半分が家庭で充電すると考えれば3台でいいか…それでもなぁ

      • -1
      1. >>26
        取り合いになって事故と渋滞が増えるのか。
        マックのドライブスルーから溢れて道路塞いでるような光景が更に各地で増えるのか?

        • +1
  16. 100%石油に依存しない電気じゃないと意味が無い

    • 評価
    1. >>22
      そんな事はないよ、定置式発電機は燃料を選ばないから、燃料価格が安くなる。
      よく精製されたガソリンや軽油は高価だ、それだけでも利点に繋がる。
      排ガス処理も、重量やサイズの制約から解き放たれるので環境汚染にも有利。

      • +1
  17. ヒートガイジェイみたいに活動後にぶおおおおおって蒸気を噴出するマシン描写が大好物なんだけど、電動機械でもいずれそんな光景が現実のものになったりするかしら。どうしかしら。

    見た目が蒸気機関の時代に逆戻りしそうではあるけど。

    • 評価
  18. クラッシュしたら大爆発するんでしょ?
    一発で死んじゃうじゃん。

    • 評価
  19. 冷却とか時短充電とか、そういうのは技術が解決するだろうとは思う。
    もっと問題なのはバッテリーの寿命に伴う交換でかなりの出費が発生することかな。バッテリーだけレンタル方式にして、交換時のユーザーが負担する金銭的な負担をもっと減らして欲しい。

    • -1
    1. >>25
      バッテリーを「ガソリン」と考えれば別に交換式でも何ら問題はないよね
      そして日本の企業グループで統一した規格つくれば日本規格で世界獲れる
      まー…日本企業はなぜか日本企業同士で手を組むのが負けだと思っているのか
      意味もなく他国企業と組んで、技術吸われて終わっていく流れになるだろうけど…

      • -1
      1. >>27
        電気はガソリンと同じと考えればいいけど、バッテリーはガソリンじゃない
        わかってる?

        バッテリー交換にかかる費用って200万円くらいになることもある、長く乗るほど金食い虫になっちゃう
        だから電気自動車は寿命前に下取りで売るしかないんだよ

        • 評価
      2. >>27
        交換できる重さじゃないと思うけど、交換する方が時間がかかるよ。

        • 評価
  20. ①石油 → 火力発電 → 電気 → 充電 → 車

    ②石油 → 精製 → ガソリン → 車

    どっちのほうが効率的なの?
    こういう重要な事って誰も研究していない気がする

    • 評価
    1. >>28
      私は内燃機関希望派だけど、見る資料はだいたい 1 のほうの電気自動車のほうが効率は良いとされています。もっとも資料はだいたい電気自動車推進派が作っているのでそうなりがちですけどね。電気自動車の場合は送電ロスとバッテリの充電ロスが大きくまたモーターでの推進力への効率も低いらしく、内燃機関の場合はエンジンの推進力への変換効率の低さが問題らしいです。乗り込んで目的地を言えば済むようになるなら私はどっちでもいいんですが、自分で運転している間は内燃機関でマニュアルトランスミッションで運転しないと道路を逆走しそうですw

      • 評価
  21. 充電済みバッテリーパックの交換が一番早そうなきがするんだけど・・

    • 評価
  22. >ガソリンで走るレーシングカーのピットストップに迫らんばかりの電光石火の急速充電だ
    4分もあったら2周遅れになるんですが…

    • 評価
  23. 冷やしすぎてもダメだしバッテリーは面倒くさいなぁ・・・

    • 評価
  24. 所詮学生のお遊びでしょ。マジレスするほどの話題では無い。

    • 評価
  25. EVの急速充電、例えソレにバッテリが耐えたとしても、充電器がその電力を供給出来たとしても、一斉に充電されたらその負荷に発電所が耐えられなく可能性がある。

    • 評価
  26. EVに批判的なコメントは結構だが、
    新しいことに取り組めない理由探しばっかりしてるとおいてかれますよ~
    むしろEVスタンドは増えてて使い勝手良くなってるから、これから国内で買う人も比較的はじめやすいですよ

    • +1

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