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仲間の死体を見たハエは寿命が縮んでしまう。その理由とは?

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(著) (編集)

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 小さなミバエには、闇属性とか死属性のような能力があるようだ。仲間の死体を目にすると、老化が速まり、寿命が縮まるという。

 といっても、我々人間には無害だ。だがミバエにとって、仲間の死体はそのような呪いの効果を発動する。

 なぜミバエの死体を目撃したミバエは寿命が縮まるのか? これまで謎に包まれていたが、新たな研究ではその秘密が明らかになっている。

 『PLOS Biology』(2023年6月13日付)に掲載された研究によれば、この呪いの効果はとある神経細胞群が関係しているのだという。

 この呪いの謎を解くことで、新たな人間の老化予防(アンチエイジング)を考案できる可能性もあるそうだ。

死を知覚すると寿命が縮まるメカニズム

 老化は、遺伝子と環境の両方から影響を受ける複雑なプロセスだ。何を見たかが老化に影響を与えると言ったら、信じられるだろうか?

 その実例が、今回のミバエの「死の知覚」の影響である。

 ミシガン大学の研究グループは以前にも、このミバエの死体の呪い効果を報告している。そしてその時は、この呪いが神経伝達物質「セロトニン」の受容体と関係しているらしいことまでは突き止めた。

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死んだハエを見たことで脳内の2種類の神経細胞が変化

 今回の研究では、まるでファラオの呪いかのような謎の死体効果の仕組みがさらに追求されてい

 研究チームは、「蛍光標識法」(生物の分子や細胞に蛍光マークをつけて、その働きを観察する方法)という技術で、仲間の死体を目にしたミバエの脳の働きを観察した。

 すると「楕円体」という領域が活発になることがわかったのだ。

 さらに楕円体の神経細胞の働きを詳しく見てみたところ、2種類(R2、R4と呼ばれる)の神経細胞と、そこにそなわっている「5-HT2Aセロトニン受容体」がこの呪いを発動させているらしいことが判明したという。

 実際、こうした神経細胞を人工的に活性化させてやると、仲間の死体を見ていなくても寿命が短くなることが確認されている。

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人間の老化予防につながる可能性

 そもそも死体を目撃すると老化が速まるなどという、ダークなメカニズムが発達した理由は不明だ。

 だがこの死体の呪いを解明すれば、人間の役に立てることもできるかもしれない。

 たとえば救急隊員や戦場の兵士など、日常的に人間の死を目撃する人たちは、それによる大きなストレスを受けていると考えられる。

 ミバエの呪いメカニズムからは、そんな彼らの健康を守るヒントが得られるかもしれない。

References:How seeing corpses reduces the lifespan of flies / Seeing Dead Flies Makes Other Flies Die Faster, But Why? : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 35件

コメントを書く

  1. 素人考えだが、例えば蝉が素数年で発生するのは他の種と発生が被らないためという理由があるらしい。ハエは寿命周期が短いから、例えば成虫が長生きして子供を適当に生み続けたら、成虫になるタイミングもズレて繁殖に不利になるのではないか。昆虫ガチ勢の人に聞いてみたい。

    • +9
  2. セロトニンとかのホルモンが細胞分裂の限界を定めてるテロメアに影響してるって研究結果がある事をふまえて読むと分かりやすいわね

    • +8
  3. 自分が病院嫌いなのもこれなのかも。待合室の澱みに囚われる感じがするから、心身共に好調じゃなきゃ行きたくない。だからほとんど行かない。

    • +7
  4. まあ人間はな…
    葬儀屋や僧侶が短命なんて話は聞かないけど、終末期緩和ケアのナースが嫌になって新生児のところを希望した人知ってるわ

    • +8
  5. じゃあミバエも悲しんだり鬱になったりもするのかな

    • +9
  6. 死体を見る→感染症のリスクあり→さっさと繁殖すべき→摂食行動から繁殖行動への投資比率を増やす→結果的に短命化
    ってのはありうるかな?長寿命化は繁殖投資とのトレードオフの上で成り立っているからね。

    • +8
    1. >>10
      それだと死体を見てめちゃくちゃ興奮することになってしまう

      • +1
      1. >>34
        そういうことだよ。ただ興奮する相手は死体じゃないけどね。

        • +1
      2. >>34
        実際、吊り橋効果というか、
        災害や大事件の現場を一緒に潜り抜けてきた男女って
        妙な高揚感で恋に落ちやすい部分はあると思う。

        あと、データがせいせい数十年だから
        別の要因(環境化学物質の影響など)の可能性もあるけど、
        大戦後の頃より今のほうが男性の子種の数が減ってたり
        平時で他の楽しみもあって非婚化・少子化が進んでたりするし。

        • 評価
  7. 「呪い」も解明される日が来るかもね

    • 評価
    1. >>12
      呪いのまじないは掛けられたと対象の人物が気付いて初めて発動するものだと聞いた事がある
      ストレスによる体調不良や神経症が呪いの正体かも知れないね

      • 評価
  8. 早く死ぬシステムが組んであると、疫病などの拡散を防げるとかかな
    個体には不利だけど、サイクルが早くて増えやすい虫だと潜在的に持ってる群が有利になるのかも

    • +8
  9. 簡単なことだ

    死体が近くにあるとストレスがあるのは当たり前だろ

    • -5
    1. >>14
      それは自他の分別がつき更に死の概念を理解している可能性があるということで
      簡単なことではないと思う

      • +1
      1. >>20
        必ずしも、死の概念を理解している必要は無いのでは?

        物理的に臭い(腐敗には至ってなくても、例えばゴキブリの瀕死サインみたいに何らかの分泌物が出る等も含め)とか、動かない同族の死に顔が直感的に不気味、みたいなのだけでも「死体がそばに転がってることによるストレス」にはなりそうだし。

        • 評価
  10. 死へのバイアスが、子孫を残し環境変化に早く対応することを促しているのかな?

    • +5
  11. うつだけど、自分が大変な事ばかりにとらわれて、救命士さんや看護師さんの心理的ストレスまで気が回らなかったなあ。。。

    • +5
  12. 捕食されたらそもそも死体を仲間が見る機会はなくて、それ以外の原因で死んでるわけだもんな。自然下で寿命で死んでるミバエがどれくらいの割合いるのかとか調べようもなさそうだけど。

    • +6
  13. 死の概念なんか簡単には理解できないだろうから不思議だな
    人間だって小さな子供なら死の概念を理解することはできないし
    何年もの経験と知識がないと死というものは分からないと思う
    1ヶ月程度しか寿命のないハエではそれを学べる時間はないだろうし

    • -1
  14. 人間も病気の人や落ち込んでる人を見かけるとなんとなく気落ちすることあるし…

    • +6
  15. >神経細胞を人工的に活性化させてやると、仲間の死体を見ていなくても寿命が短くなる

    心理的ストレスとかバイアスの問題じゃなくて
    本当に発動すると分泌物が変わって寿命を短くしてるって言う仕組みがあるとわかったのはすごいな
    死体の取り扱いは気の持ちようとかでどうにかできるもんではなくて大気汚染とかと同じように実害のある環境要素ってのが証明される

    • +2
    1. >>24
      ストレスによって脳内の分泌は変わるわけだから同じことじゃね?

      • +1
    2. >>24
      別に実害ってわけではないよ。ある特定の条件下では行動パターンを変えることによって「太く短く」生きるようになってるんだと思う。たとえ子供の絶対数が減ろうとも「細く長く」生きる個体よりも多く子供を残せればその性質が次世代に増えるわけで。自然選択は単に生存期間が長ければいいってもんではないんだな。

      • 評価
  16. ホモ属の葬儀って習慣もこのあたりに起因してそうなのが興味深い。

    • 評価
  17. 自我の境界線が保てなくなったら。
    アンチATF展開
    補完計画発動

    • 評価

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