iPhoneの次に来るウェアラブルデバイスはどんなものだろう? それはAIを搭載した画面のないデバイスかもしれない。
Appleで20年以上MacやiPhoneの開発に携わったイムラン・チャウドリ氏は、TedTalkに登壇し、今彼が取り組んでいる次世代のデバイスを紹介している。
彼が立ち上げたスタートアップ「Humane(ヒューメイン)」で開発されている新型AIデバイスには、もはや画面すらない。
AIがあなたのことを理解し、声でお願いするだけでなんでもやってくれる。必要な情報は手のひらに投影してくれる。
チャウドリ氏によれば、コンピューターとの関わりが、これまでよりずっと自然でシームレスなものになる、インテリジェントでパーソナルな次世代デバイスであるという。
The Disappearing Computer: An Exclusive Preview of Humane’s Screenless Tech | Imran Chaudhri | TED
コンピューターの次の進化は?
私たちはPCのおかげで、世界中のあらゆる情報に瞬時にアクセスできるようになった。だが、人間自体は机に縛りつけられたままだった。ノートPCが登場して私たちは移動の自由を手に入れた。が、やはりそれを使う時は、座らねばならなかった。
ついにスマホが登場した。そして誰しもポケットからいつでもどこでも世界につながれるようになった。それはスマートウォッチになり、さらに小さくなった。
ではコンピューターの次の進化はなんだろう? 一部の人が予想するようにVRゴーグルだろうか?
チャウドリ氏の予測では、もはや画面すらないAI搭載デバイスだ。
AIを搭載したスクリーンのないデバイス
2017年、伝説的なジャーナリスト、ウォルト・モスバーグ氏は、将来的にテクノロジーは目に見えなくなるだろうと予測した。チャウドリ氏のスタートアップ「Humane(ヒューメイン)」が開発する次世代デバイスは、まさにその通りに進化している。
TedTalkでこれを紹介するチャウドリ氏を見ても、それがどこにあるのかさっぱりわからない。
きっとあなたは、「ピロピロ♪」と呼び出し音が鳴って、チャウドリ氏の手に投影された拡張現実スクリーンに目を奪われるだろう。彼はそれを見て、妻から電話があったことを知り、ただ「もしもし」と答えるだけで電話に出る。
あなたは「なるほど、これが画面すらない次世代デバイスか」と納得するかもしれない。
だが次世代デバイスの真価はそれではない。このデバイスが本当凄いのは、そこに搭載されたAIとセンサーだ。
じつはHumaneの次世代デバイスは、チャウドリ氏の胸ポケットにチラリと上部をのぞかせるように入れられている。そこからAIがセンサーを通じて、周囲の状況をじっと観察している。
チャウドリ氏曰く、AIは「あなたが見たものを見て、あなたが聞いたものを聞いている」のだ。
AIがあなたのことを理解し、あなたの代わりにすべてやってくれる
チャウドリ氏によると、今後コンピューターはますます周囲に溶け込み、文脈に応じたものになるのだという。たとえば、AIが周囲を観察するようになったおかげで、次のようなことができるようになる。
あなたは長い会議に出ていたとしよう。その間、いくつか聞き逃したことだってあるはずだ。そんな時、AIデバイスに「会議の内容をまとめて」と話しかければいい。AIが即座に会議で決まった大切なことを教えてくれる。
あるいは、あなたが大好きなチョコレートを食べるかどうか迷っていたとしよう。そこでAIデバイスに「食べてもいいかな?」と聞いてみる。するとあなたの健康を心配するAIは、「(栄養的に)我慢した方が」とたしなめる。
それでいて、AIは融通も利く。「やっぱり食べるよ」とあなたが言えば、「召し上がれ」とそれ以上嫌な顔はしない。
なお、これらはすべてチャウドリ氏が実演したことだが、それがどこまで実際の機能なのかは不明だ。
もちろん今までのスマホのようにメッセージ送信や道案内だって、これまでよりずっと自然にやってくれるし、通訳だってお手のもの。
あなたが伝えたい言葉を、本当にあなたが話しているようにスラスラと外国語に訳してくれる。
革新的で人道的な次世代のAIデバイス
Humaneの新型AIデバイスは、スタンドアローンで動作するために、いちいちほかのスマホなどと連動させる必要もない。またセンサーで周囲を認識しているとなると、プライバシーなども心配になるが、もちろんその点を考慮して開発が進められているとのこと。
Humaneとは「人道的」という意味だ。Humaneのサイトによれば、同社が目指すのは革新的で便利であるのはもちろんのこと、信頼でき、倫理的で、透明性のある人道的なAIであるそうだ。
というかこうなるともう、SFの世界そのものだな。
追記:(2023/05/20)タイトルを一部訂正して再送します。
References:The Disappearing Computer: An Exclusive Preview of Humane’s Screenless Tech | Imran Chaudhri | TED - YouTube / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
AIがそれだけやってくれる時代なら、 長い会議なんて無くなっていてほしい。
3. 匿名処理班
>あなたは長い会議に出ていたとしよう。その間、いくつか聞き逃したことだってあるはずだ。そんな時、AIデバイスに「会議の内容をまとめて」と話しかければいい。AIが即座に会議で決まった大切なことを教えてくれる。
こんな有能なデバイスが実用化される頃なら、そもそも人間が会議に出席せずとも全てAIデバイス同士で会議させて、あとから会議の内容を知らせてもらえば良いのでは?と思った💦
4. 匿名処理班
ここまで来ると逆にもう何もしなくていいんじゃないかなレベル
5. 匿名処理班
トータルリコールで、ケイトベッキンセールが
手のひらに埋め込まれた端末と話してるのを見て
「あー、これは現実になるな」と思ったがやっぱり。
バージョンupは視覚で取り込むだけつまり目でトレースするだけで完了!とかになれば楽なのに。
6. 匿名処理班
この技術自体は面白いと思ったが「信頼でき、倫理的で、透明性のある人道的なAI」にどう繋がるのか良く判らなかった
7. 匿名処理班
紫色のクオリア。
8. 匿名処理班
ほとんどの試験に参加出来なくなるだろうなw
手のひらが光ってカンニングしてるんだから
9. 匿名処理班
いいえ、電脳です
10.
11. 匿名処理班
>>8
その頃には試験も暗記前提じゃなくて
カンニング当然でどれだけ優れた答えが出せるかに
シフトしてると思うよ
12. 匿名処理班
地球外少年少女
13. 匿名処理班
>>12
薄い手袋のの上に表示が出るタイプのデバイス使ってたね