image credit:Catt County Cat Nippers/Facebook
アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルス・ペット・メモリアルパークには、「ルーム 8(1947−1968)」という名前の猫の特別な墓石がある。ルーム8は、ある小学校と深いつながりがあった猫として有名だ。
ある日、ふらりとやって来て以来、ルーム8は夏休みの期間以外はいつも学校にいて、生徒や教師らと交流していたという。特にお気に入りの教室が8号室だったことから、その名が付けられた。
今回、21歳で旅立ったルーム8のお墓にまつわる、心温まる物語を紹介しよう。
学校にふらりと迷い込んだ1匹の猫、ルーム8
1952 年のある朝、カリフォルニア州エコーパークにあるエリシアン・ハイツ小学校の教室に1 匹の猫が迷い込んできた。学校側は、猫を追い出すことはしなかった。すると猫は、8号室の教室を特に気に入り、しょっちゅうそこにいるようになった。
学校側はその猫を「ルーム8」と名付けた。
ルーム8は、授業がある期間はずっと学校に住んでいたが、夏休みの間は姿を消し、9月に学校が再開すると戻ってくることを、1960 年代半ばまでずっと続けていたという。
生徒や教師たちは、ルーム8を愛し、交流を持つのが楽しみだった。
image credit:Los Angeles Historic/Facebook
メディアに報じられたことでルーム8は有名な猫に
ルーム8の噂が広まると、複数のメディアが新学期となる9月に学校を訪れ、ルーム8を撮影していった。やがて、毎日約100通を超えるファンレターがルーム8宛てに学校に来るようになり、全国的に有名になった。
さらに、ルーム8は「Big Cat, Little Cat」 というドキュメンタリー番組で紹介され、児童書「A Cat Called Room 8」や雑誌の写真撮影など、多くの媒体で取り上げられた。
image credit:Los Angeles Historic/Facebook
21歳の生涯を終え虹のたもとへ
晩年、ルーム8は他の猫との喧嘩で負傷し、肺炎を患って苦しむようになった。そのことを知った学校の近くに住む家族は、ルーム8を引き取ることを申し出て、ルーム8は居心地の良い家を得た。
だが、それからも毎日ルーム8は学校を訪れ続けたという。
最後の授業が終わるベルが鳴ると、学校の用務員がルーム8を通りの向こうにある家に連れ戻していたようだ。
1968年、ルーム8は21歳で虹の橋のたもとへ旅立ったが、以降も決して忘れられることはなかった。
image credit:Los Angeles Historic/Facebook
ロサンゼルス・タイムズの彼の死亡記事は、主要な政治家のそれに匹敵し、写真付きの 3 つのコラムで掲載された。ルーム8はとても有名な猫だったため、死亡記事は地元だけでなく、コネチカット州ハートフォードの新聞にまで掲載されたそうだ。
また、ルーム8の死後、生徒たちは彼の墓石のために資金を集めた。
そして、カリフォルニア州カラバサスのロサンゼルス・ペット・メモリアルパークにルーム8は埋葬された。
image credit:Los Angeles Historic/Facebook
1972年、ルーム8にちなんで「The Room 8 Memorial Foundation」という猫の救済団体が設立された。ルーム8が住んでいた学校には、彼に捧げられた壁画があり、学校の外の歩道にはルーム 8への思い出のメッセージが刻まれてある。
image credit:Los Angeles Historic/Facebook
教師たちは、今も新しいクラスを受け持つたびに、ルーム8にまつわる本を子供たちに読み聞かせている。21年という長い生涯を生き、たくさんの人と思いを通わせ、交流をはかったルーム8が人々に残したものは大きかった。
彼の心温まる物語は、美しい墓石に永遠に記憶されている。
ルーム8がこれほど愛した小学校に通う生徒は、自分の母校に誇りをもつことだろう。そして天国にいるルーム8に見守られながら、学校に通えることの喜びを感じることができるだろう。
References:Beloved Cat’s Gravestone Tells The Most Heartwarming Story You’ll Ever Hear/ written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
猫向け優良人間づくりは早期から。小学校で毎日授業を受ける野良猫、子供たちの指導係も(トルコ)
おいらも生徒にゃ。娘たちと一緒に小学校に通う猫。3年間通い続け、しれっとクラス写真撮影に参加
「この問題、とける者はいるか?はい君、答えて」イギリスのチェスター大学で一番人気の講師は猫。
そして猫は守護聖猫となった。12年間教会に住み人々を見守り続けていた猫が他界。追悼式が行われる(イギリス)
ロシア、エルミタージュ美術館に住む猫たち
コメント
1. 匿名処理班
ステキなエピソードだなあ
子どもたちとの交流が楽しくて居心地も良かったんだろうね
21歳と大往生だったのもいい猫生だったからなんだろうな
2. 匿名処理班
晩年の面倒を買って出てくれたご近所さんもルーム8と共に学び舎で過ごした人だったのかね
もうこういう記事で泣いちゃう歳になっちゃったよ…
3. 匿名処理班
8号室が好きだった猫か
発音的にroom eight =room mateで、
クラスの一員同然で愛されてたのかなと勝手に深読みして
勝手に感動してる
4. 匿名処理班
うちの猫は22年生きた
5. 匿名処理班
校舎に不登校児がアタシに構って!バイクブンブンするより野良犬が来た時の方がテンション上がるからなぁ。教室に来たらさぞ授業そっちのけになることか
6. 匿名処理班
ランキング1位おめでとう!!✨
7. 匿名処理班
8号室は陽当たり良かったのかな❓
8. 匿名処理班
21歳とは、長生きしたなあ。自由に生きて人にも愛されて幸せな猫だ
長寿の猫って家の外と中を自由に行き来して気ままに過ごしてきたような奴が多いよな。ストレスの少なさが長生きの秘訣なのだろうか
狭い日本では完全室内飼いが推奨されてるし自分もそうしてるけど、うちの猫も長生きして欲しいな
9. 匿名処理班
>>4
飼い主さんがしっかりお世話していたからでしょうね。
10. 匿名処理班
この猫が成長を見届けた子供たちはもう
70代 60代 50代で古き良きアメリカを知る貴重な思い出を持つ人たちになっているんだね..
華やかなディズニーランドがまだ誕生する前の頃からずっと子供達に愛され続けていて、その人たちの心の中ではディズニーを超える強烈なキャラクターとして ずっと語り継がれていくんだろうね。
愛猫家として、羨ましくてならない。😸
11. 匿名処理班
同年代の日本の長野県でも似たような実話がある
学校犬と呼ばれ生徒達から愛されたクロという犬がいた
書籍や映画化もされているので名前を聞いた事がある方もいるのでは
12. 匿名処理班
こういったお測ってずっと管理されるのかな?と不安に思ってしまう。
その当時の人はネコに思いれがあるから管理するだろうけど、数十年もあとの世代は全く興味ないよね。
13. 匿名処理班
南無阿弥陀仏
14. 匿名処理班
うちの子も旅立った時は21歳(と少し)だったから、色々と感慨深い
向こうで会ったら、仲良くしてくれると良いな
15. 匿名処理班
長生きしたねぇ(´;ω;`) 一体何人生徒を見送って来たんだろうね
16. 匿名処理班
フランス語のニュースで同じの見たわ。在米日本人の一家が引き取ったとあったけど、肺炎を患ったというのは記載がなかったわ。
17. 匿名処理班
すごー!
18. 匿名処理班
正確に書くと、70年以上前のペット専用フードなんかない時代に生まれて20年生きれたってすごいな。
ただアメリカだと、70年以上前から、猫用の健康を考えたペットフードが作られて、それを与えらえていた可能性もある。
19. 匿名処理班
晩年は飼われていたとはいえ野良で21歳まで生きるの凄すぎるわ