
ラケシュ・カトリさんは、鳥の生息地が減少するインドの都会で、スズメの巣を作って自然繁殖させることを、人生の最大の目標として献身的に尽力している。
彼がこれまでに作ったスズメの巣は、25万個にものぼるという。
カトリさんは自身の意志を若い世代に引き継いでもらうため、ワークショップを開催し、巣作りの仕方を伝授するという使命を持って日々活動中だ。
スズメの自然繁殖に人生を捧げたインドの男性
インドの都会デリーに住むラケシュ・カトリさんにとって、スズメのさえずりは常に「喜び」の源だった。1980 年代のデリーは、ちょうど産業ブームの前で、にぎやかな市場の近くにあるカトリさんの家の周りには、たくさんのスズメがいた。
実家の玄関先にはいくつかのスズメの巣があり、カトリさんの家族は毎朝心地よいスズメの鳴き声で目覚めていた。
敏捷性と強い回復力を持つスズメに魅了されたカトリさんは、子供の頃から友人たちと家や店の隅々に巣を作っていたスズメに餌をやって育ってきたという。

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スズメとの出会いを通じて、カトリさんは自然への感謝と鳥を保護することの重要性を学んだ。しかし、デリーの別の地域に引っ越した時、カトリさんはスズメの姿をあまり見ないことに気づいた。
スズメが巣を作ることができる古い建物が、その地域ではどんどん消えていったのだ。
この街はコンクリートジャングルに変わりつつあります。以前、人々はこれらの鳥が巣を作るためのスペースを確保していましたが、今では誰も気にしません。カトリさんにとって、特に 1990 年代後半以降のインドにおけるスズメの個体数の急速な減少は、深刻な懸念事項となった。
ある日、鳥が隠れていたパイプの穴を数人の男性がセメントで固めているのを見ました。私が、国立環境法廷に苦情を申し立てると言うと、彼らはすぐに作業を止めました。

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スズメの保護活動を支援するため財団を設立
2012年、カトリさんはスズメの個体数の減少に対する意識を高め、営巣スペースを提供するための慣行を促進しようと、エコルーツ財団を立ち上げた。カトリさんや保護活動の支援の結果、同年にスズメはデリーの州鳥になった。
しかし、依然として国際自然保護連合 (IUCN) のレッドリストでは、スズメは「軽度の懸念」に分類されている。つまり、重要な保護努力を必要としない段階だ。

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子供たちにスズメの巣の作り方を伝授
そこで、カトリさんはスズメのために巣を作り、子供たちにもスズメの自然繁殖を続けるよう促す活動を積極的にしていくことにした。学校の子供たちにスズメの巣作りを伝授していくことで、デリーでのスズメの個体を維持したいと思ったのだ。
これまでにカトリさんが作ったスズメの巣は、25万個にものぼるそうだ。
カトリさんは、オールド・デリー近郊にあるハッピー・スクール (Happy School)で、子供たちにスズメの巣を作るための材料を織り合わせる方法を教えている。
デリーのスズメが大都市に住み着けられるようにと、カトリさんは巣の耐久性を確保するためにココナツの殻、綿、小枝、草、その他の素材で巣を作って見せ、その後で子供たちに自分でやってみるよう指導をしている。

image credit:TheBetterIndia/Facebook
総生徒数10万人以上のインド全土の 3500 の学校で、カトリさんはスズメの巣作りのワークショップを開催し、彼の技術を共有している。デリー南東部のアリ・ビハールの路地を散歩しながら、カトリさんは自身が4 年前に設置した巣を探し、その中にスズメがいるのを見ると、大きな喜びを感じるそうだ。
廃棄物を再利用できるように、空のジュースの箱などを使用して巣を作ります。私たちが使用するすべての材料は、リサイクル可能です。カトリさんの努力により、ほぼ 50 万個の巣が生分解性の天然素材で作られ、完全にリサイクルされたそうだ。
熱心な環境保護主義者であるカトリさんは、小さなころから野鳥と育ってきただけに、人間と野生の生き物が共生できる社会がどれだけ大切かを理解している。
その思いを、子供たちに熱心に語るカトリさんの言葉は、重い。

image credit:TheBetterIndia/Facebook
私が作ったスズメの巣は、営巣期に重要な役割を果たします。スズメの家を奪って、人間の家を建てることはできません。確固たる使命を持って、スズメの巣作りを伝授しているカトリさん。彼の意志は、インドの若い世代を変える可能性を秘めている。
人間に家を奪われたスズメのために、彼らの家を作ることほど素晴らしいことはありません。
私たちが生きて幸せでいたいのなら、自然と共生していく必要があるのです。
追記(2023/05/11)
これはインドでのお話です。日本とは事情が異なります。日本の場合は鳥獣保護法により、野鳥の捕獲、保護や飼育が禁じられています。 もし怪我をしているヒナや鳥を見つけたら、地域の環境課、鳥獣保護課などに、指示を仰いでください。ヒナを見つけた時の対処法は「日本野鳥の会」のホームページを参考にしてください。
追記:(2023/05/13)本文を一部訂正して再送します。
References:‘Nest Man’ of India Has Built ,000 Homes for Sparrows–And Trains Students to Build More / written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
良い活動だね
気温高目になって虫が増えて来てるし小鳥が減ると増々虫天国になっちゃうもんな
2. 匿名処理班
日本にいる雀って外来種らしいな
3. 匿名処理班
日本でもやるべきなのよねチュンチュン
4. 匿名処理班
かわいいけど害鳥やろ
5. 匿名処理班
何も考えずに雀を皆殺しにしろと言って国を滅ぼしかけた国もあったなぁ
さすがは仏教発祥の地。急速な近代化の中でも自然や環境にも目が向く精神性や慈愛がある
6. 匿名処理班
日本でも減ってるんだよな
7. 匿名処理班
日本でも瓦屋根の家が減ってスズメが巣を作りにくくなってるというのを「ダーウィンが来た!」で見た
うちは瓦のある家なので季節になると屋根の上からスズメの家族の鳴き声が聞こえてくることがあってほっこりする
可愛いし、>>5さんの言うとおりスズメは米を食害する害鳥だと思って大量に駆除したら今までスズメに食べられて数が抑えられていた害虫が大発生して食糧危機…という事例もあったことだし、スズメは大切にしたい
8.
9. 匿名処理班
雀は益鳥やろ ホントに減ったよね雀・・チュンチュンってもう聞かないの(´;ω;`)
10. 匿名処理班
インドのすずめもかわいくて保護していく義務があると思う。種類と模様は違って興味深いと思う。
11. 匿名処理班
>>3
日本でもスズメ激減してるのよね
ちなみにツバメも減ってる
ただカラスは増えてる
12. 匿名処理班
>>4
米を食ったりはするけど害虫も食うから
総合的には益の方が大きいんじゃなかろうか。
13.
14. 匿名処理班
>>4
害鳥であり益鳥でもある。
米も食うけど虫も食うからね。
15. 匿名処理班
ヨーロッパでは90年代に使い出した農薬を使用禁止にしたところ、激減したスズメやミツバチが戻ってきた(再び増えだした)という事で、なんだかなーと思うことではあります
日本も90年代に新しい農薬に変えたところ、スズメやミツバチが激減しまして・・・ところが日本は未だに変えていないままでして、河川や海の漁獲量減少もこの農薬がかなり疑われております
16.
17.
18.
19.
20. 匿名処理班
スズメはかわいいからね、仕方ないね
いつか戸建てに住んだら巣箱つくりたい
21. 匿名処理班
雀をよく見たあとにインコを見ると脱力する
22. 匿名処理班
>>15
ネオニコチノイド系農薬ですね
少なくとも河川の漁獲量が激減したのはネオニコが使われだした時期と全く同じ
海産物の漁獲量に関してはただの乱獲だと思います
他国と日本の漁獲枠を比較すれば明白
他国は漁獲制限が厳しく、魚が脂が乗っていて高く売れる時期しか漁をしない
それに対して日本の漁獲枠は緩すぎて、痩せてる時期や幼魚までも捕る
ノルウェー産のサバは100%食用なのに対して国産のサバは多くが食用以外です
23. 匿名処理班
雀は繁殖期だけ「雛を育てるために巣を作る」とか聞いた
『私が作ったスズメの巣は、営巣期に重要な役割を果たします。』というのはそれかな
24. 匿名処理班
雀にエサをやる方法
団地のベランダで手すりにエサを毎日置いておくと
2,3週間でいっぱい来るようになります、雀が仲間を連れてくるのでどんどん増えます最大30匹ww
(下の階の苦情に注意)
で、ハトとかムクドリも来るんです、彼らだけを追い払うのは不可能で雀だけにエサをやる方法は
ハトやムクドリが居る時は餌を終う、居なくなったら出す、でした
餌は屑米でヤフオクで激安です、ただ虫が湧くのでペットボトルで密閉し炎天下で死滅させます
参考まで
25. 匿名処理班
交通標識から顔を出してたりするから、ああいうところに巣を作るのかな
巣立ちたての子雀が座り込んでぐずるのほんと可愛いし、それに手を焼く親御さんの仕草も生き物共通な感じでよい。
26. 匿名処理班
250万個作ったって時点で怪しい話しやな
毎日欠かさず100個作って何年やねん
27. 匿名処理班
>>4
丼飯くらい喰わせてやれって。
蝗害やウンカとかもっと恐ろしいぞ。
稲ダメにするしバッタは増えると群生体になるから数減らすために雀やカエルなどに虫やっつけてもらわんと。
28. 匿名処理班
俺が子供の頃なんてホントに沢山いたけど今じゃ全然見かけん
ご近所の軒先につばめが巣を作って、その下に新聞紙敷いて巣立つまで見守るとかも当たり前だった
カラスとドバトとムクドリはすごい増えた
29. 匿名処理班
>>26
一人で作ったとしたら約68.5年かかるけど
この人が絡んだ活動全体での数じゃないかな
30. 匿名処理班
>>24
特別な許可なく野鳥に餌をやるのは鳥獣保護管理法違反やぞ?
31. 匿名処理班
なにも考えずにエサをあげる前に
人になれてしまってフン害などで苦しんでる人のことも考えてみよう
呼吸器系の疾患や清掃それに騒音でトラブルもよくあります
32. 匿名処理班
>>26
人の粗探しばかりする生き方ってつらくないか?
33. 匿名処理班
インドのスズメもかわいいね
うちは田舎なのでスズメが山ほどいる
スズメが川べりの電線に数十羽もとまって大集会を開いている時は騒がしくなる
カラスやトンビが近づくと、どこかへ逃げていく
見ている分には可愛いが、菌や寄生虫の巣なので触ったりしてはいけないらしい
34.
35. 匿名処理班
田舎住みだけど家の庭によく来る
この広い日本国土でピンポイントでこの雀が自分の家の庭に来ることに運命的なものを感じる
36. 匿名処理班
私は百均で、雀だけ入れる網のカゴを自作してます。鳩は入れないので雀たちは落ち着いて食べれます。毎日ベランダで美味しく食べてる雀たちを見るのが幸せです。
37. 匿名処理班
>>4
それも事実ではあるけど、春先の子育て期は虫も食べるので益鳥なんだよ。
日本も家屋が瓦屋根が減ってるのと、田んぼが失くなってたりしてスズメの個体数が激減してるので他人事ではない。
我が家の周辺もよくみかけるのは、ハクセキレイとカラスとヒヨドリ
特にハクセキレイとスズメは生息圏と食生が被るのか、どちらかがいると追いやられたりしてる。
スズメはカラスと同じで人里に住み着くから減るときは一気に減るんだよね。
38. 匿名処理班
>>26
翻訳元見ると、Built 250,000ってなってるから25万個だね。翻訳間違い。
それでも凄い数だけど。
39. 匿名処理班
>>24
無責任に餌やることとこの話は全然違うよ
勝手に与えまくったらもともとの環境やバランスを乱すし、人間に与えられる餌に依存してしまってよくない、私有地ですらないなら糞の被害で衛生的にもよくない
40. 匿名処理班
地元ではよくいる野鳥なら変わらず見かけるから減ってるとは感じてなかったけど、いなくなってしまったところで生活してると心が寂しくなりそうだな
41. 匿名処理班
>>24
どうかマイナスを付けた人に天罰が下りますように アーメン
雀さんはわかってくれるのに、人は鬼畜ですね雀さん
42. 匿名処理班
>>2
どゆこと?根拠出してもらえる?
43.