時に、奇跡としか言いようがない出来事が起こる。アメリカ・インディアナ州に住む女性は、2021年に3人目を妊娠中コロナに感染し、生死の境をさまよった。
幸いにも、赤ちゃんは無事に生まれたが、生命維持装置をつけた女性の生存の可能性は「ゼロ」と宣告された。それでも夫は、妻の生命維持装置を外すことを拒否した。
その2か月後、奇跡が起こった。女性の容態が回復に向かい、生き延びたのだ。
感染前の肺の状態に戻ることはできないが、普通の生活を送ることは可能だと医師に言われた女性は、今生きている喜びをかみしめながら、愛する夫と3人の子供と一緒に幸せに暮らしている。
Mom reunited with family after 100 days in hospital with COVID-19 l GMA
妊娠中にコロナに感染した母親
2021 年 9 月、CDC(アメリカ疾病対策予防センター)は、現在妊娠中や最近妊娠した人、もしくは近く妊娠を考えている人は、コロナワクチンを接種する必要があるという健康勧告を出した。これは、「重病、死亡、妊娠合併症を防ぐ」ためだ。
インディアナ州に住むオータム・カーバーさんは、健康勧告が出される少し前の2021年8月にコロナの陽性と診断された時、3人目を妊娠中だったが、ワクチンを接種していなかった。
オータムさんは、2児の母親になっていたが、過去に流産の経験があり、それを繰り返すことを恐れて、ワクチン接種をしないことを決めていたのだ。
だが、その選択はコロナに感染したオータムさんを深刻な病に陥らせ、生命維持装置をつけていないと、呼吸ができない状態にまでなった。
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生命維持装置を外すことを夫は拒否
妊娠33週目で、オータムさんは息子のハクスリー君を緊急帝王切開で出産した。幸いにもハクスリー君は元気に生まれたが、オータムさんはコロナと闘い続けていたため、すぐに息子を抱くことができなかった。
出産直後からオータムさんは ECMO (体外膜酸素化) 装置に入れられた。
生命維持の一形態である ECMO は、赤血球から二酸化炭素を除去し、人工酸素化を可能にする役割を果たすという。
2020 年には、ECMO はウイルスの重症例の患者を治療するためにより一般的に使用されるようになり、死亡率を 59 〜 71% から 49% に減らすことさえできた。
だが、ICU(集中治療室)で命がけで闘っていたオータムさんの容態は、決していいものではなかった。
夫のザックさんは、担当医師から「奥さんの生存の可能性はゼロ」だと伝えられたのだ。
しかし、ザックさんはオータムさんの生命維持装置を外すことを拒否した。
医師からの宣告を受けた日は、私にとってまさに人生最悪の日でした。このように回顧するザックさんは、それでも希望を捨てたくないと、Facebookで頻繁にオータムさんの闘病記録をシェアし、愛する妻のために祈りを求め続けた。
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2か月後に回復の兆し現れる
オータムさんは、ECMO で 2 か月過ごした後、10 月にインディアナポリスの IU ヘルス・メソジスト病院から、シカゴのノースウェスタン・メモリアル病院に転院した。その病院で、オータムさんは肺移植を受けることが期待されていた。
オータムさんの容態を診断した専門外科医のアンキット・バーラト博士は、このように話している。
オータムさんと対面したとき、人工呼吸器と ECMO を長期間使用していたため、回復する可能性はかなり低いと思われました。しかし、バーラト博士もまたオータムさんの命を諦めたくないと思った1人だった。
通常、ECMO を 1 か月以上必要とする患者の場合、肺移植なしで回復する可能性は 5% 未満なのです。
オータムさんが自力で回復するのを最優先とし、移植を延期して、まずはECMOに微調整をくわえて、回復にもう少し時間を与えることを選択した。
すると、オータムさんの容態はゆっくりではあるが、着実に回復の道を進んでいったという。
image credit: youtube
バーラト博士の判断は正しかった。オータムさんは、2021年10月19日、自分の腕に息子のハクスリー君を初めて抱くことができた。そして11月3日、オータムさんがICUから解放されたことを、ザックさんはFacebookでシェアした。
生命を脅かす病気がクリスマスの奇跡に変わる
それからは、オータムさんは理学療法、作業療法、言語療法に通い始めた。コロナに感染してから99日間かけて回復した2021 年 12 月 1 日、オータムさんは夫と生まれた息子と一緒に我が家に帰ることができた。
ちょうどクリスマスに間に合うように、オータムさんは 2 人の娘に会うこともできた。
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バーラト博士は、次のように述べている。
オータムさんの今の肺活量は40% で、コロナに感染する前の肺機能に戻ることはありません。自分の生存を信じてくれた夫と、帰りを待ち続けてくれた娘たちのために、必死で出産し、闘病し、乗り越えたオータムさん。
また、脚の神経損傷も抱えていますが、ここまでの回復は「奇跡的」という言葉以外にはないでしょう。
無理をしなければ、オータムさんは今後も通常の生活を送ることはできます。
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現在、一家は生きていることの奇跡をかみしめながら、幸せに暮らしている。References:Woman Whose Husband Refused To Take Her Off Of Life Support Wakes Up Two Months Later To Hug Her Newborn Son/ written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
自分の身に起きた事と考えると
物凄くゾッとする・・・
小さな子供もいるし本当に良かったね
2.
3. 匿名処理班
>過去に流産の経験があり、それを繰り返すことを恐れて、ワクチン接種をしないことを決めていたのだ
ワクチン接種が流産の原因になるという科学的根拠は無いでしょ。
変なデマに流されたのだとしたら由々しき事態。
「奇跡」で済ませちゃいかん話だと思う。
4.
5. 匿名処理班
志村けんも新型コロナで肺が駄目になって、
ECMOをつけられたまま亡くなったけど、
長年の喫煙と飲酒で体力がもたなかったんだろうなって思う。
6.
7. 匿名処理班
長期間にわたりECMO装着を継続できた経済的人的な余裕があったればこそ
お母さん!良く帰って来ました!
8.
9. 匿名処理班
助かっても高額な医療費がやばい
10.
11. 匿名処理班
俺も意識戻って回復したかもしれないのに
12. 匿名処理班
奇跡っていうのは滅多に起こらないから奇跡っていうんだ・・・諦めないで良かったね(´;ω;`) コロナで一体何リットル分の涙が世界中で流れたんだろうね・・
13. 匿名処理班
>>11
成仏して
14.
15. 匿名処理班
アメリカかぁ
生命維持装置の延長が可能って事はソコソコ裕福な人なんかな?
そうじゃないなら医療費怖い
16. 匿名処理班
>>11成仏してください
17. 匿名処理班
>>3
この人たちにとっては助かったという結果が全て
摂取していればこの母子が重症化せず副作用も無く健康でいられたという科学的証拠を提示しなければいけないのは、ワクチンを作った側、ワクチンを勧める側だぞ
責任を放棄してる側が他人の思想や良心にケチつけるのは、日本やアメリカでは人権侵害
18. 匿名処理班
>>15
掛けてる保険によって内容も金額もぜんぜん違うからそれだけでそうとは言えないぞ、アメリカは全てが任意だから
この出来事のシーズン時にアメリカの保険屋がどうなってたか知らないが、普通に機能してたなら常識的(日本以外)な範囲内よ
19. 匿名処理班
>>3
ワクチン接種が流産の原因にならない論拠もありませんが?
過去に数度の流産を経験し、流産の原因になるもならないも科学的根拠はないが、
ワクチン接種で副反応が出る事実だけが存在したのだから、打たない事を選択をしただけでしょ?
副反応の結果、発熱とうの原因から流産をする可能性もあるわけだし
20. 匿名処理班
いくらかかったんだろう
21. 匿名処理班
職場の女性がワクチン接種して脱毛したらしくて、半年くらい経つのにまだ帽子被ってる。
自分はワクチン接種で38℃台、実際コロナにかかって39℃台の発熱だけで済んだからワクチン接種してよかったと思うけど(仕事してる方がしんどい)
流産とか考えたら迷うかも
22. 匿名処理班
喫煙歴があればアウトと言われてるからな。
しかし肺の機能40%か。走るのはもちろん階段もキツいやろな。
23. 匿名処理班
実体験としては日本の病院って親族がこの先心肺停止したら生命維持を望まないと書類にサインしたとしても限界まで生かすよ。
何度心肺停止しようが、毎回当たり前のようにお医者さん心臓再起動させちゃう。
いつも心臓止まってから看護師さんが偉い人呼びにいって、5分くらいたってから偉い人が来て脈測って「何時何分心肺停止を確認」と宣言したら取り巻きの若い先生方が数人がかりであっという間に蘇生させちゃう。
そしてささっと帰っていく。
24. 匿名処理班
>>3
未知のウイルス相手に自分で選択しなあかんかってんから、打たない選択したこの人を責められる人なんておらんやろ。由々しき自体だとか奇跡で済ませちゃいかんとか、さすがに外野すぎる
25. 匿名処理班
>>19
ワクチンはまだ前例が少ないし少数ながら後遺症もあるのは事実だから怖いのはわかる
ただ妊娠中にコロナにかかった結果胎児にも障害などの影響が出ることもまた事実だし
今回は奇跡的に助かったけどほぼお亡くなりになる直前まで行ってること考えると
ワクチン接種するリスクより感染するリスクのほうがはるかに高いと思う
26. 匿名処理班
>>23
DNR希望してるならマジで何もしない
モニターが伸びてきたり下顎呼吸になったら間に合うように早めに家族呼んで、来るまで声掛け続けるくらい
入院が必要な状態で5分も何もせず止まってたら蘇生はほぼ無理
妄想は実体験じゃないよ
27. 匿名処理班
ワクチンくらい受けなさいよ…
28. 匿名処理班
これは医師と病院の怠慢とミスでは?追及する必要あるんじゃない?
29. 匿名処理班
良かったねえ
30. 匿名処理班
>>24
この人を責める気は毛頭ないよ。
責めるとすれば根拠の無いデマを広めてる人。
未知のウイルスだからこそ常に科学的な観点から
最善を尽くして立ち向かう必要がある。
妊婦は普通の人よりコロナ感染によるリスクが大きいので
ワクチン接種が推奨される、というのが現時点での定説。
にも関わらずデマのせいで接種しない判断をしてしまったのなら
それはあるべきことではない「由々しき事態」という話。
31. 匿名処理班
奇跡は奇跡だけど、転院先の医師がエクモの微調整だかなんかしてくれたおかげでもあるから腕のよい先生にも感謝だわね
32.
33. 匿名処理班
>>26
本当の事だよ、俺の父親の話だし。
母が一番嘆いてたよ。あのサインは何だったのかと。
母が一番看病に疲れてたしね。父は10年ベッドの上で鎮静剤で眠った状態で
最後はSF映画みたいに大量の機械に繋がれてたよ。
34. 匿名処理班
親戚にやはり2ヶ月エクモに繋がれた人がいたけど、げっそり痩せた。
このお母さんはすごい血色よくてピチピチしてることに単純に驚いた。
35.
36. 匿名処理班
>>30
いまだにその認識ならだいぶ周回遅れだな。
37. 匿名処理班
>>36
WHOが先月末に発表した新たな指針でも
医療従事者、高齢者、糖尿病や心疾患などの基礎疾患がある人、免疫不全の人、妊婦については定期接種を推奨する、としてるよ。
健康な非高齢の一般人は推奨対象から外してるけどね。
38. 匿名処理班
この夫は偉いな。命よりも大事なものはない。
39. 匿名処理班
>>25
どちらもまだ十分な観察期間を経た上での科学的根拠があるとは言い難かった状況で、病気は感染すれば受動的にリスクを負うもの、一方ワクチンは自ら能動的にリスクを負いつつメリットを得るもの。
一度流産した人がどんな小さなリスクも避けたいと思う気持ちもわかるし、感染する可能性もある中で、それでも自らリスクを負いにいくことへの心理的負担も分かる。
心情を慮ると、デマに流されたと言い切ってしまう(この人に科学的リテラシーがないと断じてしまっている)ことには違和感がある。言い方の問題だけど。