
超軽量でとても丈夫なため、プラスチックに変わる強度のある素材として注目を集めている。
フィンランドVTT技術研究センターをはじめとする研究チームによると、その優れた特性の秘密はキノコの3層構造にあるという。
そのユニークな特性を利用すれば、「ボディーアーマー(防弾ベスト)」、「飛行機の外骨格」、「フロントガラスの表面コーティング」など、さまざまな製品に応用できるかもしれないそうだ。
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「ツリガネタケ」の素材に注目
フニャッとしたイメージがあるキノコだが、その菌糸体(菌糸が張り巡らされたもの)や細胞壁の成分である天然素材「キチン」は、火星の建物の素材に有望視されるほどの丈夫さがある。『Science Advances』(2023年2月22日付)に掲載された今回の研究では、サルノコシカケ科の多年生のキノコ「ツリガネタケ(学名 Fomes fomentarius)」が、軽量でありながら頑丈な秘密を探るために、CTやX線などでその内部構造を探っている。
お寺の釣鐘を思わせるツリガネタケは、日本、アジア、ヨーロッパ、北アメリカと世界中で見ることができる。
食べることはできないが、大昔のヨーロッパでは火口(最初の火をつけるための素材)として使われていた。
1992年にオーストリア・アルプスで発見された5000年前の人間の遺体「アイスマン」が持っていたのも、このツリガネタケなのだ。

photo by Pixabay
ツリガネタケの軽量・高強度の秘密は3層構造
検査の結果わかったのは、ツリガネタケは「硬い外皮」「泡状の層(コンテクスト)」「ぎっしりと密度が高い中空の管(子実層托)」の3層構造をしていることだ。3層とも主に菌糸体でできているが、構造と密度を変えることで、それぞれが独自の特性を発揮できるようになっている。
これは注目すべき特徴だ。なぜなら、ツリガネタケから作られたキノコ材料はちょっと調整してるだけで、特性を大きく変化させられるということだからだ。いちいち新しい材料を作り出す必要はない。
もう1つ明らかになったのは、ツリガネタケが軽量でありながら、それよりずっと重い材料に匹敵する強度があることだ。
一般に材料の強度を高めるには、密度を上げねばならない。しかし、それは重くなるということでもある。
そのためどの材料を使うのか決めるには、強度だけでなく、重量も考慮しなければならない。その点、ツリガネタケの子実層托は木材と同レベルの強度でありながら、それよりはるかに軽い。

photo by Pixabay
未来の防弾ベストはキノコで作られるかも
こうした特性を活かせば、ツリガネタケから作られた材料を「防弾ベスト」「飛行機の外骨格」「フロントガラスの表面コーティング」などに応用できるかもしれないとのこと。ただしキノコ材料をもっと身近なものにするには、子実体(キノコの部分)が胞子からどのように作られるか理解する必要がある。今のところ、そうした研究はそれほど進んでいないようだ。
研究チームのペジマン・モハマディ氏は、今回のような新発見が、キノコをはじめとする生きた材料への関心を高めてくれるよう願っている。
「もっと研究者が集まれば、こうした発見を応用して、センサー・学習・自己修復・各種状況への適応ができるプログラム可能次世代材料を開発できることでしょう」と語っている。
References:The complex structure of Fomes fomentarius represents an architectural design for high-performance ultralightweight materials | Science Advances / Futuristic Body Armor Could Be Based on This Weird Mushroom, Study Finds / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
>未来の防弾ベストはキノコで作られるかも
ΩΩΩ<な、なんだってー!!
(Ω ← きのこ)w
2. 匿名処理班
キノコで防弾とかマリオか
3. 匿名処理班
「生きた材料」は人類の次のステップだろうな
「この車は人工筋肉でできており、人体と同じく99%の熱量をとりだせます!」「素材が人口細胞なので簡単に分解されます!」みたいな
4. 匿名処理班
イメージとしてはスパイダーマッのスーツみたいな感じになるのか
5. 匿名処理班
こういう天然の素材を、一から人工的に再現できるようにならんとなかなか製品化は難しいだろうな
6. 匿名処理班
確かにサルノコシカケって驚くほどカッチカチよな。
何でそこまで防御力に振ってるのか不思議なくらい。
大抵のキノコは触ると簡単に壊れるのに。
7. 匿名処理班
サルノコシカケで頭を殴られると痛い
8. 匿名処理班
一定時間以上着てると菌糸が人間に伸びて
マタンゴになってしまうとか
9. 匿名処理班
スカイリムでキノコに住んでる地域があったはず
科学的に正しかったんだなw
10. 匿名処理班
(*´・ω・`)つ 蜘蛛の糸
11. 匿名処理班
これと蜘蛛の糸を合わせれば最強ってことだな!
12. 匿名処理班
防弾チョッキに使えるなんて
戦場で生きのこるのに必要な素材なんですね
13. 匿名処理班
防弾ベストを誰も必要としない未来を望みます…⚠
14.
15. 匿名処理班
キノコのくせに何でそんな剛性必要なんだろな
16. 匿名処理班
>>3
栄養液あげるの忘れて、生きてる車を死なせる人が多発する未来が見える…
17. 匿名処理班
>>3
モルカーかな?
18. 匿名処理班
軍事力は「たけのこ」より「きのこ」方が上なのか・・・
19. 匿名処理班
キノコそのものを使うという方法だけでなく、その構造を真似るという方法も
20. 匿名処理班
>>12
生 きのこ る
21. 匿名処理班
かこう(火口)って読んじゃった💦
ほくち(火口)なのね😂
22. 匿名処理班
>>19
確実にそちらがメインになるでしょうね。わざわざキノコを栽培する方が非効率
23. 匿名処理班
>>1
Ω←きのこ
↑
唐突にコレ
草じゃなくてくさびら(きのこの古語)生えたΩΩ
24. 匿名処理班
>>15
コノ先生にきいてみよう