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200万年前のDNAから明らかになった北極圏の緑豊かな生態系

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(著) (編集)

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 現在は氷に閉ざされた北極圏のグリーンランド北部だが、200万年前には多様な生態系が築かれており、緑豊かで様々な動物たちが暮らしていたことが明らかとなった。

 これは、世界最古のものと思われる地層に残った古代のDNAを最新の解析技術を駆使して分析し、今日より11~19度気温が高かった北極圏の姿を浮かび上がらせたことで分かったという。

 こうした研究は、気候変動の脅威に対して生物がどのように適応するのかを探るヒントにもなるとのことだ。

氷の中で保存されていたDNAから過去にタイムスリップ

 コペンハーゲン大学のエスケ・ウィラーズレフ教授らは、今回の16年におよぶ研究プロジェクトで、古い地層から採取されたDNAサンプルを解析している。

 そうした古代のDNAは、2万年かけて100メートルもの厚さに堆積した「カプ・コベンハウン層(Kap Kobenhavn Formation)」の奥深くで発見された。

 この堆積層は、グリーンランド最北端にある北極海に面したフィヨルドの河口にあり、200万年前のDNAは氷や永久凍土に閉じ込められたおかげで、人間に荒らされることなく守られてきた。

 だが、DNAを解析するには、粘土や石英の堆積物から採取された遺伝物質の断片を根気よくつなぎ合わせる必要があった。

 小さくて痛みもあるDNAの断片を特定して、つなぎ合わせることができたのは、新世代のDNA解析技術のおかげであるそうだ。

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photo by iStock

かつて北極圏には豊かな生態系が築かれていた

 こうした苦労の甲斐あって、200万年前のグリーンランド北部の半島には、トナカイ、ノウサギ、レミング(タビネズミ)、マストドン(マンモスに似た動物)など、さまざまな動物が生息する豊かな森が広がっていたことが明らかになった。

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マストドン想像図 / image credit:public domain/wikimedia

 こうしたDNAの中に肉食動物のものはなかった。だがそれはおそらく数が少なかったためで、古代のクマ、オオカミ、サーベルタイガーなども生息していただろうと推測されている。

 「何かは分かりませんが、おそらくマストドンやトナカイを食べる動物がいたでしょう」とウィラーズレフ教授は話す。

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photo by iStock

気候変動に適応してきた生物

 当時の北極圏は今よりも気温が高かったとはいえ、それでも冬のほとんどは暗闇に閉ざされるような場所だった。研究チームは、そのような北の地域でこれほどの動物が繁栄できたことは心強いことだと述べている。

 共同筆頭著者であるコペンハーゲン大学のミッケル・ペダーセン博士は、「大きく変化する気温に進化・適応できる種は、これまで考えられていたよりも多いだろうことを示唆しています」と述べる。

 だからと言って、今現在、世界の生物多様性が危機にさらされていることには変わりない。

 今日の地球温暖化は非常に速く進んでおり、生物が適応するための時間はそれほど残されていないかもしれないからだ。

 だからこそ今回のような研究は重要になる。ウィラーズレフ教授は、大昔の生態系を研究することで、生物が気温上昇に対してどう適応してきたかを知る手がかりが得られるかもしれないと説明する。

 たとえば、200万年前の草木が温暖化を生き延びるために身につけた方法を、遺伝子工学によって再現することもできるかもしれない。

 人間は数多くの動植物を絶滅に追いやってきたが、そうした技術を使って守ることだってできるはずだ。

 この研究は『Natrue』(2022年12月7日付)に掲載された。

References:DNA from 2m years ago reveals lost Arctic world / Scientists Reconstructed a 2 Million-Year-Old Ecosystem From Ancient DNA : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 14件

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  1. サハラ砂漠もかつては緑豊かな土地だったし、南極もかつては動物がたくさんいた
    人間のエゴによって自分たちの住みやすい環境を維持しようと考えないほうがいい
    私達も自然の摂理により滅ぶときは去るべき

    • -6
    1. >>1
      逆に言えば、気候変動にも対応して生き残ってきた生き物は沢山いるんだから、我々も対応していけば良いだけの話。
      個人的には砂漠を緑化しても良いし、ゴミ山から虫が大量発生したのを「豊かな生態系が生まれた!」とか喜ばずにきちんと撤去して人間に住みやすい衛生環境を整えて良いと思う。
      ただ、現在の地球温暖化=人間由来てのをきちんと証明できないまま大騒ぎして、植物は大事→ポリは危険だから紙袋、紙ストローに!とかの矛盾詐欺は批判すべきだよね。
      太陽光パネルやEvがどれ程の環境負荷を与えてるかとか、何も答えずに義務化しようとしてるのは何故なのかを考えていきたい。

      • -1
      1. ※12
        矛盾ではなく証明できないから仮説を潰していく正しい科学的検証をしている
        太陽光パネルやEVも問題があるならば問題を是正するにはどうするかという話になる

        とりあえず否定し、いまの楽な生活が何時までも変化なく続くという幻想はやめた方がいい

        • 評価
      2. ※12
        「変化に対応していけば良い」というのは
        どうあがいても避けられない変化に対してとるべき姿勢で
        まずは変化を抑える努力をする方が先だと思う。
        変化が大きくなれば対応も難しくなっていくので。

        温暖化のような地球規模の変化の原因については
        地球を複数用意して実験することができないので
        「証明」というのはそもそも不可能。
        「その可能性が高い」と考えられるなら対策をとるべきで、
        実際にそうしているのが現状。

        • 評価
  2. まあ変化のスピードの問題だろうな。
    自然の気候変動は1万年に数℃、みたいなペースだから
    適応できる生物も多いんだろう。

    • +7
  3. その当時は温暖でそもそも極地方にも氷がなかったと聞く。

    • +2
  4. 北極の気温がそれだけ高いと
    赤道付近はどれぐらいの気温だったんだろうか

    • +2
    1. >>4
      地球の温暖期は通常北極にも南極にも氷はないからな
      実は今は氷期ー間氷期ー氷期ー間氷期と繰り返していて1万年前から間氷期にあたってる。いずれ氷期がくるけどいつくるかわからない
      きたら現在の大陸の半分は凍結する

      • 評価
      1. >>7
        ノルウェーあたりは厚さ数キロの氷河に覆われていたと聞いて驚いたわ

        • +1
      2. ※7
        氷期と間氷期の繰り返しはミランコヴィッチサイクルによる
        日射量の変化が主な原因とされてるけど
        このサイクル的には次の氷期は3万年以上先と考えられてる。

        ただ氷期と間氷期が生まれたのは更新世になってからで、
        それ以前は日射量が弱まっても氷期にはならなかった。
        これはCO2濃度が高かったことで
        強い温室効果が働いていたためと見られる。

        現在のCO2濃度はこの時代の水準にまで戻りつつあるので
        ミランコヴィッチサイクルによる氷期は訪れないかもしれない。

        • +2
  5. その時人類が居なかったとしても、今まで何度か有ったように多様性は一旦失われても残った一部の生命から再び枝分かれしてくんだろうな
    地球さえ残ってれば

    • +1
    1. ※8
      地球の地軸傾斜とか歳差運動は調べ出すと意味が分からなくなる
      現在は北半球が冬至の時に太陽に一番近くなるらしいので冬が少し暖かい?
      地軸傾斜の方は平均値の値に近い位置にいるそうです

      • +1

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