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キノコの皮で作る画期的な電子回路基板はリサイクルもできる優れもの

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33件のコメントを見る

(著) (編集)

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 コンピュータチップやバッテリーの基板をリサイクルしたいのなら、「キノコの皮」で作るという素敵なチョイスがありそうだ。

 導電性の金属で作られる電子回路は、絶縁性と冷却性に優れた「プリント基板」という板の上に配置される。

 ほとんどのコンピューターチップの基板には、リサイクルできないプラスチックポリマーが使用されており、チップの寿命が尽きれば廃棄するよりない。そのおかげで毎年5000万トンもの電子機器廃棄物が発生している。

 そこでオーストリアの研究チームは、リサイクルできる生分解性の基板を開発している。その素材が「霊芝」というキノコの皮なのだ。

丈夫な上にリサイクルもできる基板に最適な霊芝

 朽木に生えるマンネンタケ科の「霊芝(Ganoderma lucidum)」の肉質は弾力性に富むコルクのようで、表面はニスがかけられた様な光沢がある。古くから健康効果があるとされ、薬として使用されてきた有名なキノコだ。

 霊芝のもう1つの特徴は、細菌や外来の菌から菌糸体を守るために皮を作り出すことだ。

 この皮を乾燥させると、柔軟で絶縁性が高く、200℃以上の温度にも耐える紙くらいの厚さのシートになる。これが電子回路の基板としてぴったりなのだという。

 ヨハネス・ケプラー大学のマーティン・カルテンブルンナー氏によると、霊芝の皮は、湿気や紫外線への対策をしておけば、何百年ももつだろうという。

 なので電子機器より先にダメになることはない。また重要なことに、土に埋めてしまえば2週間程度で分解されるので、リサイクルも簡単だ。

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霊芝 photo by iStock

従来の回路基板とほぼ同等の導電性

 このキノコ基板の上に金属回路を配置してみたところ、一般的なプラスチックポリマーとほぼ同等の導電性があることが確認されている。

 キノコ基板は2000回以上曲げても性能が衰えることはなく、さらにBluetoothセンサーのような低電力デバイスのバッテリーに使用してもきちんと機能するという。

 研究チームによると、このキノコ基板は、「ウェアラブルセンサー」や「無線タグ」のような、長期間の稼働を前提としない電子機器での使用が期待されるとのことだ。

 この研究は『Science Advances』(2022年11月11日付)に掲載された。

References:Computer chip made using mushroom skin could be easily recycled / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 33件

コメントを書く

  1. 丈夫で再生可能、土に植えれば分解される
    しかも大量栽培できれば製造コストも下げられるだろうし良いことづくめじゃないですか
    実用化されると良いですねえ

    • +10
  2. このキノコ自身を使って材料を作るのは大変そうだけど、このキノコの機能を人工的に模倣して似たような材料を木材から作るというなら期待が持てるかな

    • +5
  3. >湿気や紫外線への対策
    これ結構な難題だと思うぜ…特に湿気

    • +9
    1. ※4
      湿気に関しては、いまでも湿気による錆防止で錆止め塗布されているから特に問題はないと思う
      紫外線に関しては、野外で露出して使うようなものには難しいけど、こちらは使い分ければ問題ない

      • +2
  4. 飛行機とか生命維持装置とかの回路基板が作動中に勝手に生分解され始めると恐ろしいいのだが?

    • +2
    1. ※5
      本文読みなよ。

      「ウェアラブルセンサー」や「無線タグ」のような、長期間の稼働を前提としない電子機器での使用が期待される

      って書いてあるから、そういう用途にはそもそも使われない。

      • +2
      1. ※28
        ユニクロなどの電子タグなどにわざわざプラ基盤使うよりも
        これらで代用できるならばその方がいいのかな?

        • +2
  5. さて何人が、サーバールームのラックにお生い茂るキノコを想像しただろうか・・・

    • +7
  6. >霊芝の皮は、湿気や紫外線への対策をしておけば、何百年ももつ

    オーストリアの気候は知らんけど、ヨーロッパだしもともと乾燥してそう
    日本の湿気に耐えられるのかは疑問

    • +9
  7. ラジオゾンデや生物につけ動きを調べるGPSなどの
    自然に離れたり、使用後廃棄決定してる部材に使える
    この部材回収は想定してるけど、不可能に近いからな

    • +5
    1. >>8
      廃棄確定してる系の基板に使えるのはそうだけど、生分解性される特性がどれだけコントロールできるかが一番重要になりそうだな

      • 評価
  8. えーっと、原子力発電所の制御基板にこれが使われたら、安全!って思える人ってどれくらいいるの?

    • 評価
    1. ※10
      別に使用を義務化する訳やないで?
      選択肢が増えるだけや

      • +6
  9. 残業でおなかへったと気に角っこ焼いて食ったりしそう

    • +1
  10. 電子回路に使うんならよっぽど信頼性が高くないとちょっと使いたくないよなあ
    おもちゃとかのならすごく良いと思うけどね

    • +5
  11. ええやん
    紙ストローの代わりにしよう
    紙の風味よりキノコの出汁の方が良いやろ

    • +1
  12. 霊芝の大量生産が難易度高そうだけど…どうなんだろう

    • +5
  13. 心配したらきりはないけど、あったかい電子機器に入り込んだ虫に食べられたりしないか心配
    色んな選択肢が増えて研究されるのは良いね

    • +3
  14. >土に埋めてしまえば2週間程度で分解されるので、リサイクルも簡単

    これって、リサイクルなん?
    廃棄が簡単なのは認める。

    • +2
    1. ※18
      まぁ、英語のrecycleは
      語義的には「再循環させる」って感じだから、
      生物分解して土壌の栄養に戻るなら、広義には含むんじゃ?

      • 評価
  15. おもちゃ程度の回路基板に使うのなら大丈夫だと思う

    今の電子機器に使うには、電気的絶縁性、誘電率、マイグレーションの問題、熱量の多い電子部品による変形、ソルダリング時の熱への耐性、オートクレープへの対応、色々とクリアしないといけないことが多すぎるね
    紙エポキシ基板よりも信頼性が高まれば使い道も出そうだけど

    • +5
  16. 霊芝って漢方薬じゃないの?
    生育するの時間掛かりそう。

    • +5
  17. 基板って電化製品の中でそんなに割合が大きくなくない?
    基板以外の内部金属部品とかコード類とか製品の外側を形作るプラ・金属の外殻とかの方がよっぽど質量ありそうだけど

    • 評価
  18. 霊芝w
    「これは貴重なものだから」って表にニス塗ったものを祖母が貰ったが
    数ヵ月後、庭に一本生えてきた、どちらも今も実家にある

    で「木材腐朽菌みたいだから栽培できるはず」とググると栽培法は確立してるようだ
    ただし、毒があるよ、全体にも胞子にも(だから薬用かも)
    これから栽培する人は注意

    • +5
    1. >>26

      ニス塗ってるんじゃなくて、元々ニス塗ったような表面らしいよ

      • +2
      1. ※27
        ありがとう
        でもニス様の塗料でした
        新しく生えたのにはなかったし
        (条件で表面が変わる可能性はあるかも)

        • +1
  19. 畑から基盤が採れる時代か
    ある種SFチックやな

    • +1
  20. 霊芝…霊芝エスモンとかいう漢方薬だか健康食品だかが昔あったな

    • 評価

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