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墓地近くで垂直に刺して埋められたバイキングの剣を2本発見。その歴史的理由は?

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(著) (編集)

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 スウェーデンの考古学者たちが、古い墓地の近くからバイキングの剣2本を発掘した。まるで、その場所が目印であるかのように垂直に刺した状態で埋められていたという。

 直立状態で埋められていたこの鉄の剣は、およそ1200年前のものだ。これを埋めたのが誰だろうと、長い剣を40センチも地中に差し込むのに、石やハンマーのようなものを使ってかなりの苦労をしたことだろう。

 つまり、これは意図的に直立になるよう埋められたものだ。いったいなぜそうする必要があったのだろう?

ヴァイキングの剣がそれぞれ埋まっていた2つの墓

 この秋、高速道路建設のプロジェクトに先だって、スウェーデン中部ヴェストマンランドを発掘調査していたところ、この2本の剣が見つかった。

 60メートル×60メートルという範囲に大きな墓地が存在することを発見し、少なくとも100体の火葬された遺体が埋葬されていることがわかった。

 ここが使われていた当時、墓地はふたつの農地と境を接していたという。

 墓地は、鉄器時代後期にさかのぼるもので、石で作られた墓は、直径7メートルになるものもある。

 剣が見つかったふたつの墓は、それぞれ直径5メートルで、バイキング時代の西暦9世紀もしくは10世紀のものだ。

 しかし、これらの墓は両方とも、ガラスのビーズが出てきた3番目の墓と同様、西暦7世紀または8世紀の初期の墓の上に築かれていた。

 つまり、これらの墓の主は、”多年代の墓碑”の一部だったということだ。鉄器時代後期に、古い墓を新しい墓に組み込むことは、非常に珍しいという。

これはおそらく、特定の個人、先祖、社会的集団とのつながりをつくるために、意図的に剣を備えたふたつの石の墓を作ったことを示していると思われます

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剣のひとつを掘り出す考古学者 / image credit:The Archaeologists/National Historical Museums

バイキングの剣だけではなく生贄の骨や埋葬品も

 バイキングの剣は高価なものだ。こうしたものを墓に埋めると、将来は使えなくなってしまうわけで、”大きな投資”だったに違いない。

 見つかった剣はどちらも、長さ90センチほどで、折れていた。1000年以上も地中にあったため、錆びついてぼろぼろになるなど、かなり劣化している。

 発掘チームは、剣の正確な長さや形状を見極めるために、断片をつなぎあわせる作業を計画している。

 木や皮でできた鞘や柄の部分の銀の象眼など、崩れ落ちてしまった部分の痕跡がわかるかもしれない。

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何世紀も地中にあった剣の一本 / image credit:The Archaeologists/National Historical Museums

 ふたつの墓からは、剣だけでなく、荼毘に付された人骨や、馬、犬、鳥など動物の骨も出てきた。埋葬儀式ののための生贄だと思われる。

 さらに、クジラの骨で作ったゲームの駒、銀細工、陶器の容器、バイキングの船や木造の構造物に使われたらしい鉄の釘、鉄のリベットなども出てきた。

 腐敗した毛皮のついたクマの爪も見つかっていて、穀類はおそらく、次の世界への運賃だったのではないかという。

なぜ、剣を垂直に刺して埋葬したのか?

 「剣の位置は、象徴的な意味をもつ行動を反映しているのです」スウェーデンの考古学企業アーケオロゲルナの考古学者、アントン・ザイラー、フレドリック・ラーソン、カタリーナ・アペルグレンは言う。

墓から剣が出てくるときは、次の世界に向かう航海の忠実な供として、埋葬されている人間のそばに置かれることが多いのです

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墓地で直立した状態で見つかった剣 / image credit:The Archaeologists/National Historical Museums

なぜ2本の剣は垂直に埋められていたのか?

 なぜ、2本の剣が垂直に埋められていたのか、その正確な理由はわかっていないが、ひとつは、直立の剣と、北欧神話の主神にして戦争と死の神「オーディン」とその宮殿である「ヴァルハラ」との関連だ。

 ヴァルハラは、オーディンの指揮の元、戦死した戦士たちの霊が住んでいると言われている、いわば「戦死者の館」だ。

 故人をオーディンの元におくるのに、地面に剣を刺すことで(槍や矢じりの場合もある)は、ヴァルハラへの移動を容易にすると考えられた可能性があるという。

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photo by Pixabay

 また、鋭利なものを地面に突き刺す行為は、死者がよみがえるのを防ぐためだという研究者もいる。

剣は非常に貴重なものだったので、墓のために象徴的に使われたとは考えにくいのです。代わりに遥かに安価だったナイフや矢尻が使われた可能性はあります

 理由はなんであれ、剣は生きている者にとって、故人を思い出させる役割もあったかもしれない。

 剣の柄は、バイキング時代には墓の表層に出ていて、目に見えていたに違いない。遺族が墓を訪れ、剣に触れて故人とのつながりを感じ取っていたのかもしれない。

 考古学者たちは、剣が見つかった墓の人骨を分析する予定だ。これによって、性別、死亡年齢、埋葬されたのがひとりなのか、複数なのかがわかるだろう。

 墓には、男性が埋葬されたと思うが、断定はできない。女性のバイキングが武器と共に埋葬された例もあるからだ。

 放射性炭素測定による分析もしなくてはならず、剣が出てきた墓は同時期に建てられたものである可能性も考えることもできるという。

 互いに隣り同士に、似たような墓、似たような副葬品と共に埋葬されているため、彼らは同じ戦闘で亡くなった兄弟、あるいは姉妹なのかもしれない。

 いずれも仮説にすぎないが、確かにわくわくするような可能性を秘めているといえよう。

References:2 Viking swords buried upright might have connected the dead to Odin and Valhalla | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo

追記:(2022/11/16)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. 激怒じーちゃん
    「お前あの剣をぬいたのか!」
    号泣ばーちゃん
    「海のT(トリトン)さんを呼ばなきゃ…」

    • +1
  2. 剣を墓標代わりにって創作だとよく見るけど、当時は躊躇する程に高価だったんだな

    • +10
  3. 単純に剣を墓標に使った初期の事例かと思ったんだけど…

    >>剣は非常に貴重なものだったので、墓のために象徴的に使われたとは考えにくい

    う~ん、違うかあ。
    そうだとすると、埋葬された人物の身分とか背景がわからないと難しいなあ。

    • +7
  4. まさかあの封印が解かれたのか…
    機関の戦える者は今すぐ現地に向かえ…!

    • +2
  5. 今は忘れられただけでひょっとすると伝説の剣だったりして。
    あるいは共に勇猛果敢に戦った戦友への餞だったり…。
    いろいろと妄想できて楽しいね。

    • +3
  6. 高価だとしても弔われた人物の地位とかに拠っては墓標説有り得ないんかな?
    盗難考えたら矢っ張りやらない?

    • +5
    1. >>8
      当時の鉄って鉄鉱脈から人力で鉱石を掘り出して、石造りの窯に砕いた鉄鉱石と大量の炭を入れて焼き、何日も掛けてふいごで延々火を入れ続けて窯の温度を1200度位まで上げて、ようやく溶けたスラッジ混じりの鉄を底から流し出して冷やし固め、精錬を続けてようやく僅かな鉄が出来る、みたいなもん
      それを一振りの剣を作れる量にするには更に膨大な時間と人手、そして木がいる
      金を積めば簡単に手に入るもんじゃなかったんだと思う
      そんなお宝を雨晒しにしてすぐに朽ちる墓標に使うなんてちょっと考えづらいと思うよ

      • +6
  7. この剣を引き抜くことができた者こそ、次の王となる!

    と思ってしまう。真相は歴史の彼方かあ。

    • +2
  8. 「ヴァイキングの剣がそれそれ埋まっていた2つの墓」……「それぞれ」?

    • 評価
  9. 「手間がかかる」「レアだから」という理由で埋葬品に使われないならば、金だって埋葬品には使わないだろうと
    レアな鉄製品を埋葬品の一部に使うのは世界的にもよくある事だし、地位や(もしかしたら)業績によっては使うでしょ?
    ただその使い方がちょっと特殊だっただけの話で

    • +1
    1. >>14
      金は貨幣価値とか装飾や富としての価値。鉄は道具としての価値。価値の意味が違うんよ。
      だから今でも墓標に金は使わないだろ?盗まれるから…

      • +2

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