
海辺の家に住んでいたある女性は、飼い犬と逃げ遅れて、天井近くまで水でいっぱいとなった家の中から出られなくなってしまった。
だが女性と犬の命を救うきっかけになったのは、1ドルストアで購入した小型キャンドルライトだった。
もはや絶体絶命の状態で、家の中を流れていたライトを見つけた女性は夜空に向けてSOSの光を放ったところ、近所の夫婦がその光を発見したのだ。
Hurricane Ian Leaves Florida’s Southwest Coast Unrecognizable
過去最大級のハリケーンで家が浸水、愛犬と共に命の危機に
看護師のトレイシー・オレアリーさん(64歳)は、ニューヨーク州のロングアイランドからフロリダ州リー郡の海沿いの平屋に引っ越して10年が経つ。過去にも何度か、フロリダでハリケーンの被害にあったことはあるというが今回は破格級だった。かつて経験したことのない洪水が家を襲い、猛烈な勢いで浸水を始めた。
ペットのテリア犬「アンガス」を連れて避難しようと、正面玄関のドアを開けたが、既に水圧で開くことができず、家の中に閉じ込められた。
泥水が胃の辺りにまで上昇すると、空気も薄くなり、トレイシーさんは恐怖を感じたという。
家中の家具が浮き始める中、できるだけ高く安全な位置に留まろうと、トレイシーさんは片手で愛犬を抱えてキッチンカウンターに登った。
犬は、とても怯えて狂ったように吠えていました。状況は、まるでホラー映画のようでした。(トレイシーさん)吹き飛ばされて割れた窓から、衣服やステレオ、家具など、あらゆる所有物が流れ出た。

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このまま自分も流されてしまうかもしれないという恐怖の中、上昇を続ける水の中からなんとか頭を出して喘いでいたトレイシーさん。日が落ちて暗くなってきた時、ちょうど頭が天井のファンにぶつかり、限界が近づいていることを感じた。
その時、目の隅にかすかな光が水の上にちらついているのを捉えた。
小型ライトが命を救うきっかけに
泥水に浮かんでいたのは、先日トレイシーさんが1ドルストアで購入した99セント(約144円)のろうそくの形をした小型ライトだった。停電に備えて、前日トイレに置いておいたものが、流れ出てきたのだ。トレイシーさんは、その小型ライトをなんとか掴み、割れた窓越しに光を投げた。
何時間も経っていたのに、安い小型ライトがまだ点灯していたことに驚きました。
生きる希望がほとんど消えてしまっていたけれど、最後の力を振り絞ってライトを振りかざして助けを求めました。(トレイシーさん)

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ライトの光を目撃した近所の夫婦が助けに来る
すると、約30メートル先で、このわずかな光を目にした人物がいた。数年前にニューヨーク州ロチェスターからフロリダに引っ越してきたオルソフスキーさんは、2階の自宅で歯を磨いていた時、思わず窓の外を凝視した。かすかに、光が見えたと思ったのだ。
確信が持てなかったオルソフスキーさんは、妻のシャナさん(42歳)を呼び、それが本当に光であるか確認してもらったところ、シャナさんにも光が見えた。
避難した他の隣人を自宅に受け入れていた2人は、既に避難していると思っていたトレイシーさんが、まだ家に取り残されていたことを知って驚き、すぐに着替えてトレイシーさんの家に向かった。

image credit: youtube
最初、2人は水の中を歩いていたが、激しい流れのために泳ぐことを余儀なくされた。なんとかトレイシーさんの家に辿り着くと、トレイシーさんが家の中から助けを求めて叫んでいる声が聞こえた。
「助けに来たよ!」という声を聞いた時、トレイシーさんは最初警察だと思ったが、近所の夫婦が命がけで救助に来てくれたことを知った。
まずはずぶ濡れになって震えている犬のアンガスをシャナさんに手渡した後、トレイシーさんは粉々に割れた窓を通り抜けてジェシーさんの背中に乗った。
その後、ジェシーさんはトレイシーさんを背中に乗せたまま自宅へ連れ帰り、2階の安全な場所に運んだ。
夫婦の10 代の娘は、トレイシーさんが洪水から逃れるために受けた切り傷の手当てをしてくれたそうだ。
トレイシーは1時間半ほど震えが止まりませんでした。私たちは彼女を落ち着かせ、快適に過ごせるようにしました。(ジェシーさん)残念ながらトレイシーさんの家は、住める状態ではなくなってしまった。現在、トレイシーさんはネイプルズにある赤十字社の避難所に滞在している。
後日、その避難所からメディアの取材に応じたトレイシーさんは、当時の恐怖体験を涙ながらに語った。

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ハリケーンで、全ての所持品を失ってしまいましたが、生きていることにただ感謝しています。フロリダ州に甚大な被害をもたらした大型ハリケーン「イアン」による死者数は100人を越え、現在も地域の住民の捜索や救助活動が現在も続け荒れている。
ジェシーさんとシャナさんが、私の命を救ってくれました。私が今ここにいるのは、彼らのおかげです。そしてあの小型ライト。奇跡の小さな光が、私を救ってくれたのです。
だがそんな中、地域の消防署員や住民たちが、危険と背中合わせになりながら、逃げ遅れた人々の救助し、救い出すことに成功している。
最悪の状況の渦中にあって、改めて人間のやさしさに気が付くこともある。
以下の動画では自らを危険にさらしながらも住民や動物を救ったヒーローたちの5つのケースがまとめられている。
5 heroic rescues during Hurricane Ian | Humankind
References:Hurricane Ian survivor Tracy O'Leary saved by $1 candle / written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
1ドル144円か〜
それでもって原油の高騰
鎖国だな
2. 匿名処理班
助かって良かった。
過去に洪水のあった地域に住むときは、平屋でなくて二階建て以上にしたほうが良さそう。
救助にいったご夫婦も助かって良かった。下手したら流されてたかもしれない。
今年の夏、近くの一級河川が氾濫しそうになった。こんなこと聞いたのは初めてだった。あんなにデカイ堤防があるのに?と信じられなかった。昔は暴れ川で、自分の住んでいたところも洪水のときは水浸しだったらしい。
3. 匿名処理班
※2
記事と似たような被害の話で80年ぶりの洪水っていうのがあったよ
そういうのが増えたのは気候変動が関係してるのかもね
4. 匿名処理班
>吹き飛ばされて割れた窓から、衣服やステレオ、家具など、あらゆる所有物が流れ出た。
なぜここから脱出しない?
5. 匿名処理班
最近は色々な災害が多くなり
物が多いと被害が出た時大変かも…
ちょっと身軽になりたいな〜と思い
来年50歳だし色々と若い頃の様にはいかないので
終活も兼ねて起きて半畳寝て一畳を目指そうと
漫画4000冊を処分したw
6. 匿名処理班
>>5
デジタルで読めるものありますし。
でもちょっと早いんじゃないかな?なんて。
早い人は早いけど、遅い人は遅いですね。