
米ワシントン州立大学の研究グループは、砕いた火星のレゴリス(固体の岩石の表面をおおう軟らかい堆積層)とチタン合金を混ぜることで、建物に使える複合素材を作る方法を考案した。
複合素材はもとのチタン合金の2倍の硬度があり、3Dプリンターでも利用できるとのことだ。
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宇宙では現地調達が望ましい
月や火星に有人飛行し、長期間滞在する計画が進められている。となるとそこに必要なのは基地や設備だ。だが地球から物資を送るのはとてもお金がかかる。できることなら、そこにある資源をうまく活用して、現地調達したいところだ。
そこで月や火星の岩石の表面をおおう軟らかい堆積層の土「レゴリス」で、住居や部品などを作る方法が研究されている。
たとえば、高出力レーザー(あるいは太陽光)などで土を溶かし、3Dプリンターで成形すれば、建設用のブロックが作れるかもしれない。
今回の研究もそうした研究で、火星の塵とチタン合金を混ぜて、有用なものが作れないか試された。チタン合金は、丈夫で軽く、熱にも強いため、宇宙開発ではよく使われる素材だ。
The potential of 3D printing on Mars
チタン合金の2倍の硬度を実現することに成功
本物の火星のレゴリスは手に入らないので、実際に試されたのは、人工的に作られた「模擬レゴリス」だ。これにチタン合金を混ぜ、高出力レーザーで2000度まで加熱。溶けたものをさまざまな形に成形し、冷却してセラミックのような部品を作り出した。
強度や耐久性のテストをしたところ、配合比によって素材の性能が違うことがわかったという。
最適だったのはレゴリスを5%のみ混ぜた場合だ。この配合比だと、ひび割れや気泡ができることもなく、硬さがチタン合金の2倍にアップした。
一方、レゴリス100%にしてしまうと、冷えるときに割れてしまう上に、耐久性にも難があり、建築用の材料としては役に立たない。それでも放射線を防ぐコーティングとしては使えそうであるとのことだ。

まだまだ改良の余地はあるが、概念実証としては有望な結果だったとのこと。もっと改善すれば、さまざまな素材や技法を試せるだろうという。
実際にできるアイデアで、この方向性で考えるべきだろうことが確認されました。この研究は『International Journal of Applied Ceramic Technology』(2022年7月24日付)に掲載された。
プラスチックでは弱すぎますが、金属・セラミック複合素材で作られた部品なら丈夫で、さまざまな建材として利用できます(Amit Bandyopadhyay氏)
References:Astronauts could 3D print tools and parts from titanium and Mars dust / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ジャミラがどうやって宇宙船を修理して地球に
帰ってこれたのかを説明づける技術。
2. 匿名処理班
火星に小型原子炉でも持ち込まないと製造に必要な電力は得られないのでは?
三菱重工のマイクロ炉を送り込めばいいかな
3. 匿名処理班
5秒で考えつく問題点
そのチタン合金はどうやって調達するのだろう?
4. 匿名処理班
レゴリス5%って、ほとんどチタン合金ジャマイカ
5. 匿名処理班
そもそも火星の環境的にこれは出来なくはないが詰み要素が多くないか
特に放射線関連とか火星の気温関連で
6. 匿名処理班
建物になる生物を火星で育てればいいじゃないか
7. 匿名処理班
手近が一番なのは確かだが除染とか必須なのでは
8. 匿名処理班
『宇宙兄弟』のような技術にはまだ遠いな
でも100%現地素材でできたらもっと宇宙開発進むかもだから頑張ってほしい
9. 匿名処理班
5%ってw
そんなんじゃチタンで作った建材そのまま運んだほうがいいだろw
10. 匿名処理班
金属の重要な指標の「引張強さ」はどうなんだろう?
11. 匿名処理班
これが月面だとチタンが土壌にあるため、利用する話が出るのはまだ解る
火星だとチタンは土壌に含まれていないから、あの赤色の原因である酸化鉄の利用考えた方がいいのでは
12. 匿名処理班
ルナチタニウム合金ならぬマーズチタニウム合金(火星成分5%)か