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真夜中は別の顔。人はなぜ、深夜に危険な行為を犯しがちなのか?

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(著) (編集)

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 夜中に起きていると、ネガティブなことばかり想像してしまうことはないだろうか? あるいは後悔するとわかっているのに、カロリーたっぷりの夜食を食べたり、お酒を飲んでしまったことは?

 夜は昼間とは心の働き方が違うことを示唆する証拠はいくつもある。

 人はなぜだか、深夜0時を過ぎるとマイナス思考に耽ったり、危険な考えが魅力的に思えたり、あるいは抑制が利かなくなったりするのだ。

 この不思議な人間心理は「深夜のマインド仮説(Mind After Midnight hypothesis)」と名付けられており、進化によって形成された体内時計が関係しているのだそうだ。

不思議な人間心理「深夜のマインド仮説」

 人間の体と心は、ほぼ24時間でめぐる体内時計(概日リズム)に支配されている。

 昼間なら体内の分子レベルと脳の活動は起きて行動するよう調整されるし、夜になれば眠りにつくよう調整される。だから時間帯によって感じ方や行動が違ってくる。

 これは進化の視点からも理にかなっている。

 夜目が利かない人間は、昼間の方がずっと簡単に狩りや食べ物を集めることができる。ならば休むのは夜がいい。

 しかし大昔に生きた私たちの祖先は、夜になれば肉食動物に狩られる危険に直面した。危険な夜を生き延びるため、人は夜間には特にネガティブな刺激に敏感になった。

 何か危険な気配がすれば、さっと飛び起きれるようにだ。こうした変化は、報酬系・動機付け系にも影響していると考えられる。だから、夜は人を昼間にはやらないような危険な行為に走らせる。

 しかも夜ふかしをする人は睡眠不足にもなっている。ゆえに意識はさらに困った状態になる。

 「深夜のマインド仮説」を提唱するハーバード大学の神経学者エリザベス・クラーマン氏は、「大勢が夜遅くまで起きているが、脳が昼と同じように機能していないことを示すかなり確かな証拠がある」と語り、そうした人の健康と安全のためにももっと研究を進めるべきだと話す。

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photo by Unsplash

真夜中の自殺リスクは昼間の3倍

 クラーマン氏らは、「深夜のマインド仮説」を説明するために、2つの事例を紹介している。

 1つは麻薬中毒者が、昼間はどうにか欲求を抑えられても、夜になると我慢できず麻薬に手を出してしまうというケースだ。

 もう1つは、不眠症の大学生が、眠れぬ夜が続くうちに、絶望感や孤独感を募らせていくケースだ。

 どちらも最後は命取りになりかねない。じつは自殺も自傷も夜に多く見られる。アメリカの研究によると、深夜0時から朝6時にかけては自殺のリスクが3倍も高まるという。

 また2020年の研究は、「夜ふかしは自殺のリスク要因」で、その理由は「体内時計のズレによるものである可能性がある」と結論づけている。

 クラーマン氏らは、「以前なら信じられなかったことに、孤独や苦しみから逃れるための自殺が増えている。そうした学生は、自殺で失うものをよく考える前に、死ぬ手段を手にして実行の準備をする。しかも止めてくれそうな人が眠っている時間帯にやるのだ」と説明する。

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photo by Unsplash

 夜に自殺が増えるのと同様に、違法薬物も夜に服用されがちだ。別の2020年の研究によれば、夜中になるとオピオイド過剰摂取リスクが4.7倍に高まるという。

 こうした行動は寝不足や夜の暗闇も関係しているかもしれないが、深夜の神経学的な変化もまた影響していたとしてもおかしくはない。

真夜中過ぎの心は謎に包まれている

 クラーマン氏らによれば、これまで寝不足と体内時計が報酬系に与える影響を調べた研究はないという。

 だが、ライフスタイルが多様化する現代では夜に活動する人も少なくない。

 したがって医師やパイロットのような夜勤のある職業の人たちが、睡眠が不規則になりがちな生活にどのように対応しているのかよくわからない。

 真夜中からの明け方までの6時間、人間の脳がどのように機能しているのか、意外なほどわかっていないのだ。寝ているにせよ、起きているにせよ、真夜中過ぎの心は謎に包まれている。

 この研究は『Frontiers in Network Psychology』(2022年3月3日付)に掲載された。

References:The Human Mind Is Not Meant to Be Awake After Midnight, Scientists Warn / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 25件

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  1. 真夜中の河川敷
    誰もいない。
    月夜に「あぉおーーん!
    と吠えてみる。
    1時間後、周囲は
    犬だらけになっていた。

    • +5
  2. > クラーマン氏らは、「以前なら信じられなかったことに、孤独や苦しみから逃れるための自殺が増えている

    信じられなかったってほんとかよ

    この人達、本当に研究者なの?

    • -4
    1. ※2
      学者は個人の感覚ではなくて統計で調べる”個人のお気持ち”なんて必要ない世界だからね
      反論があるならば絶対的な数値とその論拠を示して学者さんに問えばいいよ

      • +2
    2. >>2
      日本の自殺動機の統計調べてみたら
      圧倒的に病気や身体的故障による自殺者が多いんだってね
      アメリカはどうかしらないけど、統計上でも注目されるくらい孤独や本人しか知り得ない苦しみで自殺する人が増えてるのかな…

      • +3
  3. 確かに夜中は思索にふけるとネガティブな考え方してるってことがよくあるな。

    • +3
  4. 丑三つ時が不吉と言われるのは奇妙な行動をする人が多いからかもね

    • +6
  5. 自分は夜行性。危ない行動とか別の顔とかネガティブな思考とかないし、寧ろポジティブにテンション上がる。夜のほうが活発的で身軽に動けるし。最近は猛暑で日中は暑いからとかそういうのは別にしてもね。冬ですら、夜のほうが空気が軽く感じて好き。積雪が全くない地域に住んでるから言えることかもしれないけど。
    でもお昼に日向ぼっこするときのあのえもいわれぬ幸福感は、身体はやっぱり太陽を求めてるってことなのかな。

    • +6
  6. 単純に人目が減る、他者からの視認性が低下するからでは
    人間の良心が社会性に大きく左右される証明かもね

    • +9
  7. 人間ってのも捕食動物の一種だからね
    夜になったら凶暴化するっていうより、平常時(健康状態化)では理性で攻撃本能を抑制してるだけだよね。

    • -4
    1. ※11
      人間が夜行性の捕食動物だったならば、それはその通り

      • 評価
  8. 夜中に入れたレスを朝に確認すると羞恥で悶え苦しむ様なのがあったり…

    • +7
    1. >>13
      夜中に書いたレポート…
      夜中に書いた日記…
      夜中に書いた手紙…
      夜中に書いた小説()…
      夜中に書いたポエム…
      夜中に送ったメール…

      • +7
    2. >>13
      自分は体内時計壊れて久しく
      昼間も夜のテンションで生きる様になり
      人類にとってはそこそこ無害で
      ちょっぴりクレイジーなモンスターに仕上がったので
      何も気にならなくなりました

      • +3
  9. 「抑制が効かない」「欝的思考」はあるだろう(体内リズムも)。
    でも、その理由は納得できないなー。

    昼夜、月齢、季節、砂漠、白夜、もっと臨機応変に環境に対処してきたと思う、そして広がった。
    その人類に共通の「脱抑」「欝」なのだから、違う理由があるだろう。

    • +3
  10. 16時になると無性に服を脱ぎたくなるのはそのリズムのせいだったのか・・・

    • +1
  11. そりゃ自殺する人は本気で死にたいんだから途中で止められるようなリスクは避けるだろうよ
    単純に自分の心が最も安らげる場所で可能な限り確実に死にたいとなったらそうなるって感じじゃない?

    自律神経ぶっ壊れて昼夜反転したりしてる人の場合も夜なのか、起床後10数時間経ってからなのか気になるな

    • +4
  12. 夜は、内面が外に出てきやすいと思う。
    その結果、欲求にしたがって行動を起こしやすいと思う。

    内面が出てきやすい理由は、個人的にだが暗いと内面と外面の境が曖昧になっているんだと思う。

    • 評価
  13. 夜は判断力が低下するので
    ヒトラーは夕方以降に集会を始め
    壇上に火を焚きヒラヒラさせた旗を見せて
    聴衆の気分を高揚させ演説をして
    国民をその気にさせたそうな

    • +2
    1. >>21
      ヒトラーの選挙ポスター、やたらとカッコよかったらしいね。ナチス党の軍服もスタイリッシュで、将校達は能力だけでなく見た目も重視して選んだとか。

      プロデュースの才能は確かに抜きん出てたんだろうが、だがしかし‥‥‥

      • +1
  14. 日本だと、これとは傾向が異なる
    ちょっと特徴的な統計データが出てた。

    昭和の頃は、性別や年齢にかかわらず
    起きて行動している昼間の自殺者が多かった。
    老人や女性は、今でもこの傾向にある。

    一方で、中年男性は、
    バブル崩壊~平成不況になってから
    新たに「月曜の朝が顕著に増える」という傾向が始まった。
    月曜以外でも、平日は朝が突出している。

    若年男性も、ややそれに近い傾向はあるが、
    朝よりも真夜中すぎあたりの方が多め。昼は少ない。
    他の年代では凹んでいる2~4時ぐらいの夜更けの時間帯も、
    高止まりして それなりの人数がある。

    • +6
  15. 夜中ほどじゃないけど暗くなってから静かな住宅街を歩くのが好き

    • 評価
  16. びっくりするほどユートピア気分になってることは稀にある…稀に。

    • +1

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